那須どうぶつ王国での春日フンボルトペンギン事件の話
2023年3月24日放送の情報番組『スッキリ』内で、春日氏がペンギン池で悪ふざけした問題。27日の番組内での謝罪を見たんですが、これ、どうもやっぱりテレビ局側が一番の問題点を理解していないようなので3点指摘します。他の局の担当者の耳にも入り、今後に生かしていただければと思います。
以下、加藤MCが謝罪した内容を文字起こししたものです。
(句読点は、僕が意味が通りやすいよう入れています。当然、元の音声には句読点はなく、字幕も確認できませんでしたので。)
「落ちる」には意図的、ミスの二通りある
さて、まず一点指摘したいのは、テレビ局側の日本語表現の甘さと、一般常識からの乖離です。
加藤氏は
TV局:「池に落ちてもいいですか?」
公園側:「池に落ちても大丈夫ですよ」
というやりとりがあったと主張しています。しかし、「落ちる」という語には2通りあり、
落ちる:自動詞、ミスで落ちる、意図的に落ちる
落とす:他動詞、意図的に落とす
という風に、「ミスで落ちてしまう」「意図的に自ら落ちる」が同じ語形です。本来はこれに補助の形容詞や形容動詞や副詞をつけるか、意図の有無を明言する必要があります。状況的には、
TV局:「(笑いを取るために、意図的に)池に落ちてもいいですか?」
公園側:「(ミスや事故で少々)池に落ちても大丈夫ですよ(しょうがありません)」
というやりとりであったと推測できます。どちらも確認不足と言えばそうですが、これはやはり主体であったテレビ局側が説明を尽くすべきでした。
常識の乖離
第二に指摘したいのは、TV局側と那須どうぶつ王国の常識のズレです。常識というのは常に変化するものですから、僕はあまり常識ハズレということで相手を責めることはしたくありません。しかし、「ペンギンの排泄物や汚れでまみれた池に意図的に落ちる」という行為が一般人からは想定外であるということは指摘したいと思います。報道では度々「教師は狭い社会で威張っており社会常識がない」「政治家には一般常識、世間の金銭感覚が欠けている」などと批判していますが、この点においてTV局は同じ程度に非常識です。
自分達がお笑いや報道のセンセーショナルさを追い求めるあまり、世間からずれつつあること、それを自覚しなくては同様の事件は減らないでしょう。TV局の仕事も専門職ですから、世間ずれしてしまうのはある意味仕方ありません。一生懸命頑張っている結果ともいえます。しかし、「ずれているかも」という自己懐疑は常に持っていてほしいと思います。
そもそも面白くないのでは?
第三の指摘、これは僕の主観ですが、芸人が穴に落ちるとかトラブルを起こすのは、大体面白くありません。特に、自己完結せず、他人や他の動物に迷惑をかけるようなトラブルネタはまったく笑えません。これはまあ、視聴層に合わせるべきなので、僕の意見は1億2000万分の1の少数意見で無視してもらってもいいのですが。一度きちんと「面白かったのか」、視聴者からフィードバックを受けてみてはどうでしょうか。危険を冒してやっていたネタが、実は全然笑えず、その後のフォローや女子アナの対応の方が人気だったりするかもしれません。
以上、読まれた方で報道関係の知り合いが居られましたら、「こういう意見があった」程度にでも伝えていただければと思います。