空の青さを知っているか、波の音は聞こえるか 前編(1) テキスト版
はじめに
こちらは、創作漫画『空の青さを知っているか、波の音は聞こえるか』の場面解説を交えたテキスト版です。
ツイッターでも同様の内容で画像解説が埋め込まれているものをあげていますが、こちらはテキストも一緒に掲載しています。
お好きな方でお楽しみくださいませ。
前編(1)
1ページ目
【場面:晴れた朝の街中】
通勤途中の人びとが行き交う街中。
車道を跨ぐように架けられた歩道橋の上で、通学途中の女子高生(制服のセーラー服を着用。襟元に大きなリボン、上にカーディガンを羽織っている。スカートは膝丈程の短さ)が空を見上げて立ち尽くしている。
女子高生の視界にはビルとビルの合間に広がる青空が映っている。しかしその一部分を遮るように【朝焼け空】が映っている。まるでシミのように映ったその朝焼け空は、唐突にぱっと消えた。
女子高生「赤いな……」
目の前で見えた現象に唖然とする女子高校生。
ゆるいパーマのかかったセミロングの髪が風で靡いた。
2ページ目
【場面:白ヶ丘高校。1−4組の教室】
ホームルームを待つクラスの生徒たち。
そんな中、自席に座る女子高生ーー渚が顔に左手をついて目を細めている。
渚「(うーん……なんだったんだ、あの空)」
一人で考え込んでいると横から「なーぎさっ」と声をかけられる。声の先に女子生徒、美桜(みお。渚と同じセーラー服。そでを肘までまくっている。斜め上の高い位置に結んだお団子ヘア)と男子生徒、葵(ツーブロックのショートヘア。制服の白シャツにゆるくネクタイを締めている。黒いズボン)の姿があった。
渚「みっちん、あおい。おはよー」
葵「おっす」
美桜「はよっす」
渚の隣に座る美桜。葵は二人の机の間に立っている。
美桜「つーか数学、抜き打ちやるってだるくない?」
渚「マジ?」
葵「マジ。三組の奴が言ってた」
渚「げっ」
葵「やべーよな。オレ昨日バイトでさ」
言いかけた葵に突然誰かがぶつかる。
3ページ目
葵「……おっと、わりぃ」
葵、慌てて振り向くと女子生徒がぺこりと頭を下げた。
葵「あ、河内さん。平気? どっかぶつけた?」
女子生徒――ひなた(美桜、渚と同じセーラー服。ゆるくワンカールしたボブヘア。小柄)が葵に話しかけられているが呆然としている。
葵「……あのマジで大丈夫?」
美桜「あーあおいー。女子こまらせたぁー」
葵「おまえな……」
質問攻めに合うひなた。狼狽えたままとうとうその場から走り去ってしまう。
葵「おわっ、ちょっ……えっ……!?」
走り去ってしまったひなたに驚く葵。
葵「……オレ、嫌われてる?」
渚「ちがうと思うよ~」
落ち込む葵に渚が苦笑いしながら励ますと、渚のスマートフォン(以下スマホ)のバイブが鳴る。
美桜「いや~あれはぜったいきらわれてるわ~」
葵「あーマジか……」
二人の話を他所に、スマホを右手に持ち画面を見る渚。
4ページ目
スマホの画面には『8時13分』の表示と、ひなたから送られたメッセージの通知が表示されている。
ひなた『おはよう(笑顔と太陽の顔文字)』
スマホから目線を外し、顔を上げる渚。
斜め前の席に座るひなたと目が合う。
ひなたが渚を見てにこっと笑う。渚も笑い返す。
【場面:お昼。1−4組の教室】
自席に座るひなたの後ろに、コンビニの袋がぬっと現れる。
ひなたが後ろを振り返ると渚の姿が。
渚「ひなたっ。お昼たべよ」
にこりと笑う渚。
【前編(1)終わり。(2)はこちらから】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?