空の青さを知っているか、波の音は聞こえるか 後編(9-最終話) テキスト版
こちらは、創作漫画『空の青さを知っているか、波の音は聞こえるか』の場面解説を交えたテキスト版です。
ツイッターでも同様の内容のもの(画像解説付き)をあげていますが、note版ではテキストも一緒に掲載しています。
お好きな方でお楽しみくださいませ。
なお、前回のお話はこちら。
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(前回【後編(8)】のつづきです。
外にある二階の渡る廊下の上で、渚とひなたが二人で話をしているシーン)
突如、渚から支援学校に転校する事を告げられたひなた。スマホに目を移し、トークアプリの画面を見つめる。
大きな戸惑いに顔が俯くひなた。
しかし、やがて何かを決心したように顔を上げふたたび渚の方に顔を向ける。
ひなた「なぃさ」
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ひなた「ゎたしがんばぇたの、なぃさがぃてくれたからだよ。
……あぃがと。なぃさ。」
渚の左手を両手で包むひなた。
ひなた「はなぇるのやだけど、ぁたしもここでがんばる。
こんぉはちゃんとね、なぃさとはなしたぃから」
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ひなたの言葉に何も言い出せないでいる渚。
そこへ突然、突風が吹く。
先ほどの女の子二人組とスタッフの白高生が持っていた風船が風にさらわれて手から離れる。
渚「……あー」
スマホを持った右手で顔を拭う渚。
その上を女の子が持っていた青い風船が飛んでいく。
渚「こんなん泣くなってムリじゃん…」
涙声で言う渚。
二人の上に広がる青く澄んだ空に、色とりどりの風船たちが悠々と飛んでいった。
【場面:朝、白ヶ丘高校。1−4組の教室】
朝の教室。黒板横のボードには白高祭の思い出の数々を撮った写真が飾られている。
(白い大判の用紙に白高祭の最終日に撮影した集合写真や、祭当日の和気藹々とした様子を写した写真が貼られている。
また、用紙には【1-4 コスプレ喫茶 白高祭おつかれ〜!! みんなサイコーだったよ〜♡】と書かれている)
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ざわついた教室の中で一人、ひなたが自席に座っている。
手元のスマホには「08:10」の表示と、渚からのメッセージが入った事を知らせるトークアプリの通知。
「あたらしいがっこに ついた!」という渚のメッセージを見て、ふと後ろを振り向くひなた。
葵や美桜たちと楽しく談笑する渚の姿が刹那に思い浮かんで消えていく。
かつて渚がいた場所には、どこか寂しそうにしている葵と美桜の二人だけしかいなかった。
前にさがった髪を耳にかけ、決意を固めた顔表情で立ち上がるひなた。
ひなた「あのぉっ」
葵と美桜に声をかけるひなた。
ひなたに気づいて二人が振り向く。
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【場面:同時刻、星の杜(ほしのもり)希望学園。1年生の教室】
車椅子の生徒、アイマスクの生徒、ヘッドフォンをしている生徒、(絵では確認できないが)補聴器をしている生徒や義足の生徒がそれぞれ着席している教室で、クラスの担任らしい初老の女性教師が、手話を使いながら着席している五人の生徒に声をかける。
教師「はーい。
今日ははじめに、あたらしいおともだちを紹介しますよ」
『青葉 渚さん』と書かれた黒板の前に白杖を持って立つ渚。
(真新しいブレザーの制服を着ている)
渚「はじめまして。
白ヶ丘高校から転校してきた青葉渚です」
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ひなた「ぁたしとっ」
渚「よろしくお願いします!」
(空色のバックに青字でタイトルコール)
後編 波の音は聞こえるか
後編 終
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