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空の青さを知っているか、波の音は聞こえるか 前編(3) テキスト版

はじめに

こちらは、創作漫画『空の青さを知っているか、波の音は聞こえるか』の場面解説を交えたテキスト版です。
ツイッターでも同様の内容で画像解説が埋め込まれているものをあげていますが、こちらはテキストも一緒に掲載しています。
お好きな方でお楽しみくださいませ。

また、前回の空波はこちら。

前編(3)

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空波前編(3) 1ページ目


学校の指定運動着(白いTシャツに、一本のラインが入った長ズボン)を着用している渚。
バレーの受け身の構えをしながら焦点の定まっていない顔でぼんやりと立っている。

「なぎさ!!」

誰かに名前を呼ばれるものの、上から落ちてきたバレーボールが渚の顔面に直撃。

渚「いてっ」

体育館のバレーコートの中ですっ転ぶ渚。周囲にいるクラスメイトたちが驚く。

【場面:体育後の化学の授業、理科室】
(渚、美桜、葵の三人が同じ机で実験のレポートをまとめている)

美桜「うわ〜めっちゃあか〜い」

ボールの直撃を受け、渚の額が赤く腫れている。

美桜「触っていい?」
渚「やめろし」

ふざけて額に触ろうとする美桜の手から額を守る渚。

葵「お前らふざけてんなよ。課題やれよ」

二人を注意する葵だったが、その後で渚を心配げに見つめる。

葵「でも本当に大丈夫か?
遅刻多いし、ノートも寝てて取れてねぇし。寝不足?」
渚「あー……まあ、うん」
美桜「あおい〜超過保護すぎじゃん?」
葵「バッ...! 俺は心配して...っ」
渚「ごめんごめん。たぶんだーいじょーぶだってー」

渚が苦笑いしているその後ろーー収納棚に器具を片付けていたひなたが心配げな表情で渚の様子を見つめていた。

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空波前編(3) 2ページ目

【場面:放課後、生徒用玄関】

下駄箱に上履きを入れる渚。物憂げな様相。

渚「(とは言ったものの……さっすがにキツくなってきたなー誤魔化すの)」

渚「(だってあの空、毎日毎日出るんだもん)」
(以下、空に視界を塞がれた渚の苦悩の日々)
・黒板が見えない
・道が分からなくなる
・しょっちゅうどこかにぶつかる(柱にぶつかる渚の図)

渚「(やっぱ病院行くか……でもな…...)」

物思いに耽っている渚のカーディガンの袖を誰かが引っ張る。

渚「(……ひなた)」

振り向くと、渚の側にひなたが立っていた。

渚「(おっと……スマホ)」

ひなたと会話をする時の癖で、いつものようにスカートのポケットからスマートフォンを探す渚。
しかし、それを遮るように、ひなたが「なぎっ...!」と声を出す。

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空波前編(3) 3ページ目

ひなた「あ...ぅ...」
渚「えっ?」
ひなた「…ぅ…っ」
渚「ひなた?」

ひなたの声を聞いて驚いた表情をする渚。
しかし、ひなたは辛そうに顔を歪ませるだけで言葉が続かなかった。

【場面:夕方、学校近くの大きい駅の周辺】

駅周辺には商業施設やビルが立ち並んでおり、ペデストリアンデッキには遊びに来た若者たちや会社帰りの社会人、観光客で溢れている。

その雑踏の中、学校帰りの渚が一人で歩いている。
渚「(結局なんも言わなかったな、ひなた。
でも、ひなたの声はじめて聞けた)」

物思いに耽りながら歩いていると、後ろから誰かが現れる。

?「あれぇーなぎさぁー?」

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空波前編(3) 4ページ目

振り向く渚。

?「あー、やっぱりなぎさじゃーん。ちょーツイてるかもぉ」

そこには白ヶ丘高校とは違う制服(モカ色のブレザーに緑色のスカートとネクタイ)を着た女子高生――かおるが立っていた。
(かおるは、渚の中学時代の友達。
明るく色染めし、肩ぐらいまでふんわりパーマをかけた髪。目から唇までばっちりとメイクされた顔ーーいわゆるギャルと言われるタイプの女子)

渚「えっ!? かおるん!? 別人じゃん」
かおる「ちょっとぉー。なんかその言い方ひどーっ!」
(中学時代のかおる→前髪ぱっつん【眉まで前髪を一直線に切りそろえている】に縮毛矯正の黒髪ストレートボブだった。ちなみに目元はもともと切れ長なこともあり、メイクでかなり垢抜けているように見える)

かおる「じゃなくて……今からどっか食べいかない?」
渚「えっ!? 今から!? あたし、今それどころじゃ……」

あまり乗り気じゃない渚だったが、かおるに引っ張られ商業ビルに入っているハンバーガー屋へ連れ込まれる。

ハンバーガー、ポテト、コーラが乗せられたトレイがテーブルに置かれている。

かおる「いーから! きょうはわたしがおごったげる」

【前編(3)終わり。つづきはこちら】


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