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#ゼロハンカー
「フェンス」 横山 睦(むつみ)
果てしなく落ちる夜のスピードは透明な色でした。
灰色や黒色ではありませんでした。桃色と水色と紫色を混ぜて薄めたような初恋に似ていました。重力を失って太陽が沈もうとする夕暮れの空に投げ出された感覚です。
「何かに捕まらなくちゃ」とミキは手を伸ばしました。
太陽が沈むと星が見えない夜がこの街にやってきます。このままでは永遠に宇宙を漂ってしまうと思ったからです。ミキは怖くありませんでした。怖くない
果てしなく落ちる夜のスピードは透明な色でした。
灰色や黒色ではありませんでした。桃色と水色と紫色を混ぜて薄めたような初恋に似ていました。重力を失って太陽が沈もうとする夕暮れの空に投げ出された感覚です。
「何かに捕まらなくちゃ」とミキは手を伸ばしました。
太陽が沈むと星が見えない夜がこの街にやってきます。このままでは永遠に宇宙を漂ってしまうと思ったからです。ミキは怖くありませんでした。怖くない