未知の世界に飛び込んでみて

 仕事中の営業車内では東京FMを流しているのだが、先日Blue Oceanという番組こんなメールテーマで番組が進行していた。

 配送ドライバーの仕事をしているのだが、業務に集中しているためラジオはほとんどBGM状態。なかなかメールテーマに食い付いたり、実際に番組宛にメールを送ったりすることはほとんどないので、今回のメールテーマに対してもほぼスルーしていた。

 ただ、今回はメールを送らなかったことを少し後悔した。

 なぜなら、「未知の世界に飛び込む」というテーマは、僕が今まさに遭遇しようとしていることだからだ。

 自分にとっての「未知の世界」、それは視覚障がい者の同行援護ガイドヘルパーである。

 同行援護ガイドヘルパーとは、視覚障がいの方の外出時のやり取りなどのサポートを行うヘルパーのことで、自治体や事業所で活動を行うには、講習を受けて資格を取得しなければならない。

 ブラインドサッカー(視覚障がい者の5人制サッカー)でGKとして約3年、チームに所属して、公式戦や練習、体験会等でほぼ毎週末、視覚障がい者と接してきて、試合中のコーチング(指示伝達)や、日常生活での移動中の同行時の手法に「この方法で良いのか?」と限界を感じるようになっていた。

 そんな時に、チームやJBFA(日本ブラインドサッカー協会)から同行援護ガイドヘルパーの資格取得の話を持ちかけられた。それまでも何度かそのような話はあり、時間の制約や面倒くさがりやという性格から、取得する気は全く無かった。しかし、ヘルパーがやらなきゃいけないこと、やってはいけないこと、基本的な知識や技法も知らずに接してきたので、資格取得の講習を受けることにした。

 講習は5日間で、初めの3日間はオンラインでの座学、あとの2日間は土日を使っての実技である。仕事をしながら受けるのはなかなかハードだった。しかし、大学を卒業してから約10年が経過して、勉強らしい勉強からすっかり遠のいていたのだが、未知の世界で知識を得たり、技術の習得をするうちに発見があったり、勉強したり、知識を得る面白さを改めて体感したような気がする。5日間の講習を乗り切り、修了証を貰い、資格を取得したときは達成感のようなものを感じた。

 学生時代はあまり勉強が好きではなく、成績も決して褒められたものではなかったが、ひとつひとつ知識を得る面白味を知って、現在は「また何か資格を取ろうかな」と思うようになっている。資格取得をした喜びもあるのだが、そういった気持ちが自分の中に芽生えたことが一番大きいのかなと思う。

 資格を取得した後、日本ブラインドサッカー協会(JBFA)が行なっている視覚障がい者の同行援護サービスのガイドヘルパーとして、活動することになる。

 近日中に面接を行うことになっているのだが、面接を通過し、ガイドヘルパーとして、登録することが出来たら、ブラインドサッカーの世界に足を踏み入れて、チームメイトをはじめとした視覚障がいのある仲間たちに様々なことを学んだので、多くの視覚障がいを持つ方々に可能な範囲で共に楽しい時間や機会を共有、体験する手助けをしたいと思っている。

 僕の場合は、サッカーが好きで、ひょんなことからブラインドサッカーという視覚障がい者の世界に入り、時に現役のプレイヤーとして共にフィールドで勝利を目指して戦い、時に指導者として関わっている。その流れで同行援護ガイドヘルパーという福祉関連の、それまで未知だった世界の資格を取得することになった。しかし、そんな未知の世界で新たな自分を発見することができたような気がする。

 本来の目的地から逸れて、寄り道をした場所で新しい何かを発見したり、大切な何かを学ぶことが決して悪いことではない。今回、久しぶりに資格取得のための講習を受けて、スキルを習得する、知識を学ぶという本来の目的以外に、学習する面白さと「自分はもっとできるんじゃないのか?」という自信のようなものがついた。

 自分の好きなこと、興味があること、得意なことを活かして未知の世界でチャレンジしてみるのもよいのではないか。失敗しても、そこから新しい発見ができれば万々歳。また、そのチャレンジをきっかけに他の何かに拡がれば良いと思う。プライベートでも仕事でも…

 

 

 


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