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“応援する”側から“応援される”側になってみて

 12月10日〜11日の2日間、ブラインドサッカー日本選手権に、いちプレイヤーとして出場した。


 僕が所属している、スフィーダ世田谷BFCは初めての公式戦出場となった。グループステージ3試合での試合結果は…

 0勝3敗、勝ち点0、得失点差−47

 結果だけ見れば、大惨敗だった。

 だけど、この2日間での3試合で僕が得たものは大変欠けがいのないものだった。


・日本選手権のスタンドには…

・スフィーダ世田谷について

 まず、僕が所属しているスフィーダ世田谷BFCは、スフィーダ世田谷というなでしこリーグ1部に所属している女子チームが母体となっている。ちなみに、2022年のなでしこリーグ1部のチャンピオンである

 女子のチームは、公式戦を戦っている合間を縫って世田谷区内を中心に朝の清掃活動を始めとした、様々な地域貢献活動を行なっており地域との交流を深めている。ブラインドサッカー部門でも、実際に競技を行なっている部門とは別で保育園や児童館に訪問しての絵本の読み聞かせや、体育館でのウォーキングサッカー体験イベントを定期的に行なっており、地域の子供やご年配の方々、スポンサードしてくださる企業の方々との交流を深めている。

 僕も有給などを使って時間がある時はウォーキングサッカーのイベントに参加したりして、参加者の方々と一緒にボールを蹴る中で顔や名前を覚えたりしてもらったり、逆に覚えたりしていた。そういった形で、チームの地域貢献活動に参加していた。

 大会当日、ウォーキングサッカーのイベントに参加してくださっている常連の方々がスタンドにいるのをピッチの上、ベンチから目の当たりにしてビックリした。

・ゲーム中は…

 いざ、試合になると初めての公式戦で、本物の強さ、速さと圧倒的な個の力量差を見せつけられて、どうすることも出来なかった。

「何で止められないんだ…」
「もっと寄せろよ!」
「決めてくれよ…どフリーじゃん…」

ピッチの上で無力感とか虚しさで気が立っている状態だった。

 3試合で47失点、僕はその約3分の1の17失点を受け持った。対戦した松本山雅BFCには、高校1年生で日本代表に選出された平林太一という選手がいたのだが、彼に50本近くのシュートを打たれ、17失点した。言い訳したい気持ちも山々だったが、それだけではないような力の差を個人的に痛感した。

 試合終了を告げるブザーが鳴った後、チームの皆と一緒に応援してくださる方々がいたスタンドに挨拶に行った。

 正直なところ、不甲斐ない結果になってしまったので、挨拶に行きたくないのが本音だった。それでも、挨拶に行ったが、そこで掛けられた言葉は…

「ナイスゲーム!」
「最後まで、よく頑張った!」

 というような、僕らを労うような言葉だった。

・“応援する”側から、”応援される”側になって


・サポーターの気持ち

 この不甲斐ない結果に何故拍手されたのか、労いの言葉を掛けてくれたのか、その時は分からなかった。

 これが率直な気持ちだ。

 だが、後で試合の映像を見返してみて、自分がこのチームのサポーターだったらこの試合内容、結果でも罵声は浴びせないよなと思った。

 長いこと、FC東京を応援してきて、良い試合を観た時もあれば、罵声を浴びせたくなるような不甲斐ない試合を観てきた。

 そんな中でも、自分が観ていてピッチで戦っている選手達が最後まで諦めない姿勢を見せてくれた時は、ブーイングをしなかったし、声を涸らしながら歌い続けていた。

 今回、僕も含めてチーム全員で大会の3試合を通じて、持てる力を出し切って、最後まで諦めずに、戦う姿勢を見せたと思っている。それが、観ている人にも伝わっていたのではないだろうか。


・観ているファンの姿勢、態度はプレーしている選手の鏡になっている。

 僕もスタンドで応援している時にピッチで戦ってる選手が、明らかに戦えてない時は勝ち負け関係なく、愚痴を言っているし、熱量も下がっているような気がする。

 そういう時って、不思議とピッチ上も比例するように不甲斐なく見えてくる。

 逆に、ひとつ、ふたつ戦っているシーンを目の当たりにすると、熱量も上がるし、それに比例してピッチ上の選手も頑張り出す…

 それまで、スタンドで「もっとこうすれば良いのに」って感じていたことを初めてプレイヤーとして、フィールドで感じることが出来ました。

 ピッチで戦っているプレイヤーに呼応して一緒に観ている方々は盛り上がっていた!

・選手とファンの距離感

・ピッチとスタンドの信頼関係

 選手はファンのことを気にしていない。

 SNSとかで、選手に馬耳雑言を浴びせているのを目の当たりにすることが多いと思う。

 サッカー先進国になると日本の比にならないぐらい凄いけど、そのあたりの話はとりあえず置いておく。

ピッチにいる選手は、ファンの動きが見えているし、見ていると思う。

 マイナースポーツのブラインドサッカーの日本選手権だけど、観戦に訪れていたファンの方々の温かい声掛け、ハーフタイムからピッチに戻る時の青いハリセンを叩く姿は目に焼き付いているし、試合後のSNSでの投稿も目にしている。

 今回は、不甲斐ない結果に終わってしまったけれど、それでも最後まで応援してもらえた姿を忘れずにもう一度、今回出来なかったことを出来るようにしていきたい。それができるように、トレーニングに励んでいる。

 ただ闇雲に持ち上げるだけでなく、ダメな時はダメだとはっきり意思表示をする。感情的にはならず、本質的に…

それがお互いに理解し合えた時に初めて“信頼関係”って出来るんじゃないかな…

・まとめ

 今回、ブラインドサッカーの日本選手権にひとりのプレイヤーとして参加してみて、初めてサポーターのありがたみというのが分かったような気がする。

 たとえ負けゲームでも、応援に来て下さった方の声援は励みになったし、その姿はちゃんと脳裏に焼き付いている。

 その姿を忘れずに、来年はブラインドサッカーに取り組んでいきたい。

 “忘れ物”を取りに…



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