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3試合43失点からの再始動

 ブラインドサッカー日本選手権の予選ラウンドから1ヶ月が経過した。

 その間、チームとしてのトレーニングに僕は参加していない。

 1試合で17失点して、そのショックで立ち直れなくなったわけではなく、年末年始ということもあり、仕事であったり、様々な予定が重なっていてトレーニングに参加できなかった。

 もちろんその中には、普段参加している個人参加型のフットサルも含まれている。

 個人参加のフットサルに参加し、日本選手権で炙り出た課題を克服できるよう、意識的に取り組んでいた。一朝一夕には進まないが、悪い癖が出た時は自分でも「今のは悪い癖が出たな」というのが理解できるようになっていた。それだけでも進歩かもしれない。

 そのように12月の後半を過ごし、年が明けて最初のブラインドサッカープレイヤーとしての活動が1月7〜8日に行われた清水パラフットボールフェスティバルである。

・新たなサッカーを再確認した2日間

・清水パラフットボールフェスティバルとは

 清水パラフットボールフェスティバルとは、その名の通り、清水で行われた障がい者のサッカーのイベントで、ブラインドサッカーの他にアンプティサッカー、電動車椅子サッカー、知的障害者サッカーのチームが集まって交流試合を行ったり、体験ができるイベントである。 

 今回で8回目らしく、意外と歴史があるなというのが、個人的な感想。まぁ、清水は古くからサッカー処として全国にその名を馳せていて、「なでしこ JAPAN」という言葉が登場する遥か昔から、女の子もボールを蹴るのが当たり前という土地柄なので、障がい者サッカーにも理解が深くても、あまり驚かなかったが…

・サッカーを通じて障がい者と触れ合ってみて

 GKとして、本格的にブラインドサッカーに携わるようになって1年近くになる。

 改めて障害者の明るさ、元気の良さに驚かされた。

一般的に障がい者というと、どこかネガティブなイメージを持たれることが多いが、明るく、面白く、元気で、楽しく、バカな(褒め言葉!!)人達が多い。目が見えないとか、耳が聞こえないとか様々なハンディキャップがあるけど、そこの部分の解決方法さえ理解していれば皆1人の人間だし、平等なのかもしれない。

 一緒にプレーしたり、ピッチサイドでゲームやトレーニングを眺めていたりしていて、僕ら健常者には理解、実践できないようなパフォーマンスを披露してくれる。

 触れ合っていくうちにハンディキャップあるなし関わらず、同じフィールドに立ってボールを追いかけたり、コミュニケーションを図るうちに、「こういうサッカーの楽しみ方もあるんだな」というのを再確認できた。


・日本のブラインドサッカー史上初!?FPは全員女子!!

 2試合を戦ったフレンドリーマッチ。結果は以下の通りである。

 第1戦 スフィーダ世田谷BFC 0-2 コレチーボ静岡
 第2戦   スフィーダ世田谷BFC 0-4 たまハッサーズ

 結果だけ見れば惨敗だとお思いの方もいるかもしれないが、日本選手権を経てチームとしての成長を感じることのできた2試合だった。ちなみに僕は2試合とも前半だけ出場した。

•コレチーボ静岡戦

 第1戦のコレチーボ静岡戦の前半、GKの僕を除いたFPは全員女性だった。


 日本のブラインドサッカーの公式戦では現状、男子も女子も関係なく同じ試合に出ることになっている。そうなると、どうしても体格差などで女子が不利になり、コンタクトプレーなどでケガをしてしまうリスクもある。そういった理由でサッカーやってみたいけど、二の足を踏んでしまう女性プレイヤーも少なくないのが現状だ。

 そこで、日本初の女子だけのブラインドサッカーチームを作るというのがスフィーダ世田谷BFCの目標である。その第1歩がコレチーボ戦の前半戦だった。女性のGKがまだいないので(絶賛募集中!!)GKは僕が出場することに。

 試合前は、初めて試合に出る子もいたり、体格差もあったりするのでボコボコにやられるのではないかと最後方にいて心配していた…

 だが、僕の心配は杞憂だった‼️

 全員普段の練習の成果を出してきちんと身体を当ててディフェンスしたり、パスを繋ごうとしたり、そこからシュートチャンスを作ったりしていて、思ったより戦えていると感じた。

 正直ここまでやれていることに後ろから見ていて驚いたし、チームとして道筋が明るくなっているように思えたし、男女の体格差に臆せず、正々堂々と戦っている姿に感動すら覚えた。それだけに前半1失点してしまったのが勿体無く、残念だった。

•たまハッサーズ戦

 試合前、挨拶をするために両チームで並んだ際、相手のメンバー見て…

 パラリンピックで観た選手が2人もいる!!

 どこまでやれるのか、どれくらいやられてしまうのか、期待と不安が入り混じりながら試合に入っていった。

 前日のミーティング、たまハッサーズ戦の話になった時に、日本選手権での嫌な記憶が蘇っていた。

 僕は、前半だけの出場と決まったが、相手との力量差を考えると、10失点は覚悟しなきゃいけないと本気で思ったし、ミーティングの中でもそう話していた。ポジティブはイメージは全く浮かばなかった。

だが、試合が進むにつれ、段々と気持ちがポジティブになっていった❗️

 相手の感覚が合っていなかったことにも助けられたが、FP4人全員が身体を張ってディフェンスをしていた。相手には日本代表が2人もいるのにも関わらず…

みんな、相当戦えているぞ!!すごい、レベルアップしてる!!

 その成果もあって、前半をスコアレスドローで終えられた時、正直ホッとした。だが、後半は地力の差が出て、瞬く間に4失点を喫した。

•1泊2日での遠征で2試合を振り返って

 日本選手権の3試合で43失点して、チームとしてこれからどうなるのかと正直不安な気持ちで頭が一杯だったが、不思議なことに日本選手権からチームとしての練習はほとんどしていないのにも関わらず、レベルアップしているように感じた。

まだまだ、トップランクのチームには全く歯が立たないが、「このレベルのチームにはある程度戦える」というのをチームとして実感することができたと思う。

 僕個人としては、日本選手権で炙り出た悪い癖を修正することに取り組んでいたが、それがほとんど修正できていなかった。それを修正するための手段、考え方を知ることができたので、現在はそこに取り組んでいる。

 昨年忘れていった公式戦での初ゴール、初勝利を今年は何とか達成したいし、その瞬間はピッチの上で迎えたい。





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