何者にもならない
何者かになろうとして20年ほど経つと思う。小学校5年生くらいから。「この人たちを見返さなくちゃいけない」という呪いにとり憑かれてしまった。
「あんたはかわいくないね」って1年生の私に5年生だかそこらのお姉さんは言った。なんであの人たちは1年生の教室にいたんだろう。
人とおんなじに見られたくない。私は私だから。制服にまぎれないようにしないと。でも、あの子みたいに可愛くなりたい。あの子みたいになりたい。私になりたいのか、あの子みたいに見られたいのか。ずっとずっと迷子だった。私はずっと誰かを取り込もうとして、背伸びして、見栄はってたな。
結局なんにもなれないまま33歳の私で。あぁ、でも何かになんてならなくていいんだな。ほんとのほんとに。今、ここ。
ずっと何者かにならなくちゃって出張ってきたものだから、急に何者にもならないって思ったって歯車が狂ってしまうな。
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