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独立系書店で、あの日の図書室を思い出す
「書いて、しあわせになる」をコンセプトに活動するオンラインサロン「京都くらしの編集室」では、毎月、メンバーが同じテーマでnoteを書く「noteチャレンジ」をやっています。
2月のテーマは、「好きな本屋さんや図書館」で、本好きの私にぴったり!ということで、本屋さんや図書館についての思い出をつづります。
子どもの頃から、本を読むのが好きだった。
本を読んでいると、話しかけられても全く聞こえない。呼んでも返事をしないので、よく母に怒られたし、学校では無視していると陰口を叩かれたこともあった。学校でのコミュニケーションを心配した親に、学校の休憩時間には本を読まないように言われたほど。
田舎で育ったので、本がたくさんある場所は学校の図書室しか知らなかった。図書室で、次は何を読もうかと本の背表紙を眺めるのは、ワクワクする時間で、とても楽しかった。1学年1クラスしかないような小さな小学校で、図書室の蔵書も少ない。卒業する頃には、図書室の本はほとんど読み尽くしてしまっていた。
もっと読みたい、いろんな本を見てみたいと、ずっと本が足りない感覚があった。だから、大人になって広島市内にある大型書店「紀伊國屋書店」や「丸善」に行った時、心の底から感動した。
こんなにたくさん本があるなんて!
働き始めると、休みの日は本屋さんで、2時間、3時間と過ごすようになった。雑誌からスタートして文庫、専門書など、いろんな本を立ち読みしながら過ごす。その頃は、店内にソファもあって、どうぞ自由に読んでくださいという雰囲気だったと思う。
大型書店こそ、最高の本屋さんだと思っていた。
けれど、本屋さんの魅力はそれだけではないことを、私は旅先で知った。
20代の半ばだったか、京都に旅行したとき、「恵文社」という本屋さんに行った。確か、「Olive」とか「an•an」みたいな雑誌に載っていたのだと思う。
店内は、それまで知っていた本屋さんの雰囲気と違った。図書館のように、きっちりと本が整列しているわけではない。平積みの棚にも本が並んでいるし、間にポストカードやノートといった雑貨もある。コーヒーを淹れるキッチンツールと、それに関する本が並んでいるコーナーに、新鮮な驚きと感動を覚えた。
本とつながりのあるグッズが一緒に売られている!なんてオシャレなんだろう!
独立系書店と呼ばれるのだろうか、それまでそんな本屋さんを知らなかったから、これは楽しい!と強く記憶に残った。
独立系書店とは:明確な定義はないものの、チェーン店ではないどちらかというと小規模で個性的な書店のことを指すようです。
私の住む広島にも、独立系書店がある。
その本屋さんの名前は、リーダンディート。READANDEAT と言うスペルだけれど、これは、READ AND EAT(読んで食べる)を続けて作ったオリジナルの言葉らしい。
読むことも食べることも大好きな私にとって、こんなに気になる名前はない。
私が初めて行ったきっかけは、文筆家・木村衣有子さんの「のんべえ春秋」と言うリトルプレスを扱っていると知ったことだった。
原爆ドームから川を渡って歩き、数分のところにあるレトロなビルの一室。お店は2階にあり、窓から広島のシンボル路面電車が行き交う様子が見える。
元は住宅だったスペースをリノベーションしたような雰囲気で、それほど広くはない。けれど、アートや食、建築などこだわりを感じる本のラインナップは、どれもこれも気になるものばかりで、つい時間を忘れてしまう。
静かで落ち着いた空間だけれど、自分の気持ちはワクワクと興奮している。小さな頃好きだった、図書室にいるときの気持ちを思い出した。
お店の奥には3畳ほどの小さなギャラリースペースがあり、時折り、写真家やイラストレーターの個展が開かれる。過去には、はらぺこめがねさん、shunshunさん、マメイケダさんなど、私の好きなイラストレーターの個展も開かれた。
自然光で感じる色や質感、近い距離で見る線の表情など、小さな空間だからこその楽しみがある。アトリエで作品を見せてもらっているような距離感が、とても魅力的だ。
私もいつか、ここで作品展をやってみたいなぁ。そんなひそかな願いもあるのに、まだお店には2、3回ほどしか行ったことがない。
・・・いや、せめてもう少し通ってから言おうか、自分(笑)。
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