恋人とは
人と付き合うってなんだろう。
そんな話題が、ドライブ中に友達との会話で上がった。
緊急事態宣言の中、僕達は人に接触するのを避けて会おうということで、ただ車でグルグルと都内を回っていた。
もう時刻は5時をすぎ、外は完全に真っ暗になった頃、長い長いトンネルを渡り、ふと「恋人の存在ってなんだろう。」という会話が年頃のせいか流れたのだった。
Aは顔がいいが恋人を作らない。僕とBは歳上の彼女がいる。
Aが僕に「今の彼女はどうなの?結婚したいと思う?」と唐突に聞いてきたのが、事の始まりだった。
正直、この時点でまだ付き合って4ヶ月。未来はどうなるかわからない。でも僕の価値観では「付き合う=結婚する」そんな感じ。
今まで、生きてきていたら聞く機会があろう言葉『結婚前提』。
僕にとっては結婚前提でのお付き合いという言葉は意味がわからなかった。
なぜなら未来のない人間と付き合うことは自分のポリシーに反することだから。
勿論、僕の恋愛経験は乏しいもので一般的なものとはズレているのかもしれない。
「付き合うということは、一生一緒にいる覚悟。どんな恋愛も同じ。」僕はそうキッパリいった。
Bもこの意見には一致した。
しかし、Aの見解はちがった。
Aは何よりも自分の人生を楽しくのモットーの基、自分にとって今何が一番大切なのかそう考える人だ。
彼は縛られるのが好きじゃない。
驚くべきことに、彼にとって恋人は尽くすものではなく、「自分の人生をプラスするもの。」ということだ。
悪く言ってしまえば『道具』
だから、彼は恋人ではなく、仲のいい女友達に留めたいのだという。
それに対してBはこう言った。
「Aにとって恋人の存在はハンバーグを箸で食べるようなものなのかもね。」
文字通り、ハンバーグはナイフとフォークを使うもの。だが、無いものに対してわざわざ買ってきたりしない。
つまり、恋人とは自分の人生にどうプラスになるかという存在であって、自分の領域に入ろうとするものは誰であろうと遮断してしまおうということだ。
結論を言うと、Aにとって「付き合う=将来一緒にいるものでは無い。」
「結婚=縛り」
僕とは真逆の感性を持っていた。