大晦日の夜に🔔
昨晩、母と映画を観に行った。
『きのう、何食べた?』。
https://kinounanitabeta-movie.jp/
男性同士のカップルの生活と料理の話。
前にCMを見ていた時、母が「おいしそうだねえ」と言っていたから一緒に観に行きたかった。
主人公たちが「マイノリティ」である点もいいと思った。
親や自分の年上の世代(同世代も含む)の人たちと一緒にそういうことを体験&学習していくのは、たぶん私にとって大事なのだと思う。
最近は、「ノーマル(従来の形)」と「最先端(異端も含む)」の間のことが気になっていて、私はその間を行ったり来たりしたいと思っている。
「最先端(時々行き過ぎ)」を、「ノーマル」の布に包んで、「ノーマル」の人に向けても発表する、っていうことに興味がある。2022のテーマはそれかも。
『きのう、何食べた?』もまさにそれで、「ノーマル」と「異端」の間をずっと探っているような映画だなあと思った。
この結論にたどり着くまでにはいろいろとあった(それが映画)けど、どっちにも寄りすぎない、どちらかだけの「正しい形」を決定しない在り方に、今はこれなんだなと思ったし、すごく時代を反映した脚本だと思った。
決別したり、断絶したりしない。
ジャッジもしない。
親を捨てない。
お互いの生き方や考え方をそのまま認め、でも自分は変わったりもする。しだいに、相手も変わっていく。
考え方は違うけど、相手のことが大切だということは変わらない。それでいいんだなと思った。
そういえば、この前、母と妹と私で遠い親戚の話をしていた際、こんなことがあった。
その女性は夫の実家がお寺だから、年末年始は遠出せずに寺にいなければならない。正月なんて寺には誰も来ないのだけど。そういうしきたりだから。
…という箇所で、私も妹も、その女性の悲惨な運命にため息をついていたところ、母が、「古いね。そういうのも変えていかんとね」と言った。
私と妹は顔を見合わせてにっこりした。母は進んでいる。変わってきている。
また、さっき、ローカルラジオで「ラジオ版紅白歌合戦!」と題して、「男性アーティスト」と「女性アーティスト」の曲を選曲し、交互に流していたのだが、DJがいちいち上記の説明を繰り返しているのがうっとうしいなー! と思っていたら、母が「わざわざ白組とか紅組とか言わなくてもいいのに」と言っていて私はウォーッ!👏
この小うるさい私がそばについているので母もこうなる(変わらざるをえない)、ということもあるのかもしれないが、そばに居る人が聞いていてストレスがない発言というのは大事だよなーと思った。自分も。気を付けよ。
(寝る前に少しだけケンカになりそうな夜を越えて、朝、少し遅く起きた私に怒っているかもしれない母の様子を気にしつつ、でも「自分を守る」という理由であっても攻撃的にならないようにしよう場に任せよう二人しかいないんだけどと思いながら過ごしていたら、母も頑張って機嫌を直していたからよかった。人と人の関係は、誰が相手であっても双方の努力によるのだなと思った。)
⛄️
朝、雪が降っている。去年の大晦日と同じ。母と車で買い出しに行った。
友達が、「母がラジオに出たよ」と教えてくれたので、車の中で聴いた。
お母さんが両親から受け継いだお店に、ラジオのリポーターが来て中継していた。
人気のお店の上に繁忙期で、中継の間もひっきりなしにお客さんが来ていて、その声や雰囲気が後ろに聞こえて面白い。すごくいい中継だなと思った。
お母さんがラジオ局に呼ばれて行ったのかと思っていたけど、こうしてお店にラジオが来る方がずっといい! 私(リスナー)もお店にいるみたいだ。私はお店に行ったことがあるから、余計に、耳を澄ませて想像する。私はこの年末にも行ったんだからね! とか思う。友達がお手伝いでお店に立っている時もあるから、その姿も想像する。
お客さんが途切れてお母さんの手が空き、やっとお話を聞くことができます! って、明るい声でリポーターの人が言う。合間にラジオって本当にすごくいい。慣れた場所に、話を聴きに来てほしい。聴きに行きたい。
📻️
お母さんは、両親が始めたお店について話し、十数年前に亡くなった父と、今年亡くなった母の話をした。友達のおばあちゃんのこと。私はお店を訪ねた時に会ったことがあり、少しお話をした。
私と友達は、もともと、普段からお互いの祖母についての話をしていて、おばあちゃんの名前も知っている。
今年の6月に、おばあちゃんが亡くなった時にも連絡をくれた。
私はその日、学校の授業で、「葬儀に祖母の幽霊が出てくる」という内容の三島由紀夫のエッセイを読んでいたから、みんなに友達のおばあちゃんが亡くなった話をした。
幽霊がお葬式に来てくれたらいいよね、と言ったら、本当にそうだなという気がした。
お母さんはラジオで母の話をしながら言葉に詰まっていて、それを聞きながら私も泣いた。
車はアピタの駐車場をぐんぐん登っていった。
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