FaOI2023神戸3日目の感想

History Maker

 過去のOP群舞で1,2を争うくらい好きです。定期的にやってほしいくらい好き。新潟のライビュで最後のポーズがもしかして自分のプロから好きなポーズ選んでやってる?と知子ちゃんを見て気づいて、全員同じポーズで終えるのではなく、それぞれの過去プロから選択したというコンセプトがすごく良いと思った。個性と個性の共演という感じ、とても良い。素晴らしい。

 誰もがHistory Makerでそれぞれの人生の主役で、それはスケーターのみならず、観客の一人一人、生きとし生けるものすべて、皆各々の歴史を歩んでいるのだと、そう思えるすばらしさ。
 
最後のポーズ全員分当てたいんですが一番右が誰なのか遠すぎてわからない。織田くんかなぁ…?あれ?花織いる…??

分かる限りで左から、
無良くん:美女と野獣
パイポー:vincent
知子ちゃん:トスカ(スタート)
ジョニー:Fallen Angels
ランビ:ウィリアムテル序曲
羽生さん:The  Final Time Traveler
パパシゼ:Made to Love (スタート)
ハビ:マラゲーニャ
舞依ちゃん:ガブリエルのオーボエ(1年目)
デニスくん:ロミジュリ

これ違うよとかここにいない人のはあれだよとか教えてください。

Creep/ジョニー・ウィアー

 幕張現地でうっかり号泣してしまい、私自分が自覚していたよりもずっとジョニーのことが好きだったんだと今更ながらに気づいてしまったのです。
なんというか、自分の羽生ファンという属性ゆえに、神戸楽日はジョニーが本当に最後だから行きたいとか言うことが出来なくて、スケーターそれぞれを一人一人の個として独立した存在と個性の持ち主と捉えて見ているという自負はあれど、やはりどうしたって私は羽生ファンだから、羽生ファンフィルターを完全に外してジョニーや彼と関わりの深いスケーターを見るのはほとんど不可能に近いから、だから自分がその場にふさわしいのかわからない、というめんどくさい拗らせ方をしてしまってます。

 でも幕張で、Creepを見て嗚咽を漏らすほどに泣いたことで、やっと自分の本心からの気持ちが見えたような気がしました。

 Creep、いい曲ですよね。本家Radioheadがまず大好きなのですが、ジョニー音源のキンバリー・ニコールさんのCreep本当に良い。
 ジョニーがいわゆるDIVA的な世界的歌姫的な女性歌手の曲で滑るのが本当に好きだったんだ。

 きらびやかな玉虫色の衣装を脱ぎ捨てて、ありのままで滑るジョニーのCreepは心の宝箱に仕舞っておきたい演技になりました。

 ちなみに一番好きなのは黒の長袖衣装に赤手袋のCreepです。
世界観としてあまりに好きすぎる。

Orion/宮原知子

 知子ちゃんは本当にどのショーにもいてほしい逸材。
衣装は新潟からピンクの小雀衣装、緑のグノシエンヌ衣装、今回の濃紺衣装と変わったようだけど、この濃紺衣装がたぶんプログラムに一番合ってる気がします。
 このプロで一番好きなのは間奏のあとの最後のサビのところです。
「泣いたのは僕だった」の部分、曲そのものが静かに入って、そこからピアノの音、ストリングスの音、バンドの音がガッと盛り上がる構造なっているけど、その静かな部分をただ両足滑走でスーッと滑りながら腕の静かな動きと視線の持っていき方で魅せるところです。
 その前の感想はギターのうねりに合わせて比較的情感豊かな表現をしているからこそ、その静けさ、動きの少なさとのコントラストが美しいし、全体を引き締めるような気がします。
 片足滑走こそ良い、詰め込むほど良い、という単純な話ではなく、どう使い分けるかなのだろうな、ということを改めて感じました。特にアイスショーのような場では。競技はまた別の話かな、とは思います。

Simple Song/ステファン・ランビエール

 幕張で生で見たときから完全に心の全てを持っていかれました。
円熟とか極地とか至高とかそういう言葉がふさわしい。
 プログラムのイメージとしては最初は『祝福』って思ったんです。あるいは『洗礼』。キリスト教とか宗教とかまったく詳しくないんですが、神から祝福を授けられたのではなかろうか、と。

 前半は照明に青や緑の色味があったけど、後半は照明がただの白い光になるじゃないですか。そしてどんどんランビだけにスポットがあたり、最後は伸ばした手のみが照らされるのを見て、これは『人生』であり『人の生と死』なのではないか、と思いました。プログラムの最中に、言葉やイメージが浮かんでは消えてそして惹き込まれ飲み込まれ頭が痺れる感じ、とても良いです。本当に好きです。

 そしてボディコントロールの巧みさよ…長いスパイラルの美しさよ。
現地ではエッジが氷を深く削るような重みのある音と、鋭利な音との組み合わせが至高で、曲と動きとエッジの音の全てが合わさって一つの作品としての完成度がえげつなさすぎて呼吸止まりかけました。

 いまこの文を書くにあたって初めてsimple songの歌詞をちゃんと見たのですが、これは、言葉を失いますね。胸を抉られてしまってどう言葉にすればいいのかわからないけれど、ダンサーインザダークのNew Worldという曲に通ずる何かをいま感じています。もっと咀嚼が必要。

Roses/パパダキス&シゼロン

 極上からの極上。なんて贅沢な時間の過ごし方なんだ。
パパシゼ、現在競技からは離れている状況なのでコンディションがどのようなものなのかとかちょっと心配というか気になってたんです。
 ごめんなさい金メダリストに向かって大変失礼な心配をしていました。

 この無駄な動きの一つもない、極限まで削ぎ落とされていて磨かれていて、この上なく美しいプログラムを二人で作り上げることがどれほどのことなのか、ちょっと凡人には想像ができません。

 静謐のなかの圧倒的な美。もはや無機物的な美すら感じる瞬間もありつつも、確かに生命体だからこそ創り上げられる美なのだなと感じたり。とにかく美しい。自分の呼吸がこの世界を乱してしまうのではないかという恐怖すら感じる美しさ。
 
 パパシゼは世界の法則を凌駕する存在なので1+1=1なんです。
パパシゼにおいては個と個は必ずしも2つの存在ではなく、ときに1つになりうるのだと思います。
 

 ランビとパパシゼの2つのプロに感じる共通点としては、完成されたプログラムなのに、表現が説明的でないから、感じ方が受け取り手にすごく委ねられてる感があるところです。でもすごく完成されているから、きっと伝えたいことをちゃんと伝えられている。演技が薄味という意味での余白や余地はないのに、感じ方には余白が残されている。見るたびに見つかるものがある。委ねられてる感がある。とても好きです。

月の光/ジョニー・ウィアー

 なんていうか、生き様だなぁと。
幕張現地で見た時より、新潟ライビュ、神戸とどんどんパフォーマンスの質は上がっていったと思うんです。でもやっぱり、技術面とか体力面とかいろんなところで限界なのかもしれない、というのは感じたりして。
 プロスケーターとしての幕引きを、身体がバリバリに動くうちに美しく去るというのも、とても良いと思います。それもまた一つの美学。
 でも、例え従来のような演技ができなくとも、広いリンクの上で、自分の着たい衣装を着て、これが自分だと、最後まで懸命に滑る様というのは、とても美しいと思います。コロナ禍でいろいろ狂ったものもあるでしょうし。
 荘厳な月の光の音楽のなか、終盤、ステージ側に向かい駆け出し、手を伸ばし、ただ滑り、手を下ろし、わずかに首を振る、あの一連の動きがとても心に残りました。複雑な振り付けはなくてもそこに込められた感情をすこしでも汲み取れたらいいなと、汲み取れるような感性を持ち続けていたいなと心底思います。
 最後のパンケーキスピンも素敵でした。

雪の華/三原舞依

 新潟ライビュで見た時よりずっっっと良くなっててびっくりしちゃった。
いや正直、パパシゼのあと滑るのはつらいよな、あと衣装の色味それでいいのかな、とか思ってたんです。
 でも楽日の雪の華とても素敵ですね。照明が本当に綺麗。大きなスノードームの中にいるみたいで綺麗。
 
 スケートに本当に気持ちが乗っている演技に見えました。
舞依ちゃんはいつもお客さんに届けたいって自分の気持ちを届けたいって意識して滑ってるように見えるけれども、本当にそれを感じる演技だった。
 そして柔らかでふんわりしたところ、よりも芯の強さみたいなものを感じました。舞依ちゃんに常々かっこいい系プロを滑りこなして欲しいと思っていたのだけど、そうかこういうバラードで芯の強さを出せるのならば、別に曲自体がかっこいい系でなくても、一般的にはしっとり系と捉えられる曲でも、やり方次第では、強いプロになるのではないかだなんて思ったり。
 新シーズンも競技者としての舞依ちゃんが楽しみです。

GLAMOROUS SKY/羽生結弦

 これすごく長くなりそうだから別記事にまとめることにしました。

STARS

 グラスカの羽生さんのことは基本的に内向きとか閉ざしてるとかシャットアウトと言ってるのですが、打って変わってSTARSでは情感豊かな羽生さんの滑りが見られるのがとても良いですよね。
 ジョニーとハグしてから何かを振り切るように、そして伝えるように滑る羽生さんはとても美しかったです。
 このフィナーレもとても好きです。この特別な神戸に限らず、新潟でもとても良いなと思いました。みんなとても美しくて輝いていました。

ジョニー送別会

 送別会ではないかもしれないけれど。
 スマホライトがまさにSTARSのようでした。月の光を背負って輝くジョニーを囲む星々のようでした。
 
ジョニーに捧げる秋に寄せて
 あぁこれはとても美しくて尊いもの。わたしは羽生さんの背中が大好きなのだけど、ジョニーに向かって滑り出す前の羽生さんの後ろ姿がもう素晴らしい。正直、アンコールで羽生さんのOtonalを披露するのは正解なのだろうか?とは今年のFaOIが始まるまえから考えていたことではあって、決して間違いではないしそこに気持ちがあれば間違いなんて存在しないんだけど、ジョニーの秋に寄せてを滑ったのは本当に美しい選択だなと思います。

 美しき敬愛と友情を見せて貰いました。
 人と人との繋がりというのは一本の線で繋がっているのではなくて、複雑な網目のなかで幾重もの線で繋がっているものだと私は思うから、何か一つや二つ、すれ違うことだったり見解の違うことだったり、そういうことがあっても、簡単に切れたりはしないし、積み上げ、編み上げてきたものの方がずっと強固だったりすると思うのです。

 いつか羽生さんのエピローグのときにはどんな光景が見られるのでしょうか。まだまだその日は迎えたくないけれど、いつか来る日がとても暖かで幸せに満ちたものであって欲しいなと思います。
 一ファンに出来ることは、誰も傷付けず、美しく知性と品位を持って推すことではないのかな、と思ったりします。

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