部活日記。第2話 美香と理羅先輩
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☆前回までのあらすじ☆
入学式を終えた主人公、花蝶美香(中1)は憧れていた吹奏楽部入部を希望し、正式入部が決定。これから決まるのは、自分の楽器…。不安の中、美香は第1希望から順にに1番やりたかったトランペット、サックス、クラリネット、ユーフォニアム、ホルンの5つを希望書に書く。さて、どのような楽器に選ばれるのか…!?
〜高鳴る心〜
正式入部が決まって5日目。いよいよ楽器が決まる日。顧問に1人ずつ名前が呼ばれ、隣の第2音楽室で自分が担当する楽器名が言われる。私はものすごく緊張していた。どんな楽器になるのか…その時、私の隣にポツンとひとりで座っている子がいたので、名前を聞いてみた。すると、その子は及川香織(おいかわかおり)といった。香織ちゃんは木管の楽器を希望していた。私は香織ちゃんに対して「緊張するね」と言った。その後、幼なじみだった神代亜美(かみしろあみ)に呼ばれた。
この時、私の心臓は今までより大きく波打った。廊下を歩く足音とともに私の心臓は心拍数を上げた。第2音楽室前、私は大きく深呼吸をして、息を吸った瞬間と共にドアを開けた。
ーガチャ…
光とともに顧問の顔が見えた。
顧問:「花蝶美香さんですか?」
美香:「そうです…。」
顧問:「あなたが担当する楽器は…」
ー「ユーフォニアム、お願いします」
私は思いもよらぬ展開で一瞬にして緊張が解け、「えっ」と声を上げた。
顧問:「あなたは第4希望にユーフォニアムと書いてありました。実は、ユーフォニアムは」
「やる人が誰もいなかったのです」
この言葉が私にとって1番心に響いた。
「ユーフォニアム、やってくれますか?」
私は1度深呼吸をして、
「はい」と応えた。
そして、第2音楽室から戻ってくるときに思った。
なんではいって言うの?トランペットをやるのではなかったの?自分、馬鹿じゃないの?あんな大きな楽器、自分に出来るわけないのに。こんな自分に。楽器初心者の自分に。
ー出来るわけがない。
そして、決まった楽器を発表する会が行われた。さて、琴音と美璃はどんな楽器になったのかな?
琴音:「トロンボーンの音崎琴音です。」
え!?琴ちゃん、トロンボーン!?!?
美璃:「トランペットの高橋美璃です。」
えぇぇぇぇぇぇ!?!?!?美璃たんが、トランペットぉぉぉ!?羨ましい🥺驚きが顔に出てしまっていた。そして私の番!
「ユーフォニアムの花蝶美香です。」
礼をして、顔を上げた瞬間、手前にいた先輩と目が合った。あれが私の先輩…?
〜美香と理羅先輩〜
先輩との合流。私は、ユーフォニアムの先輩もとへ。その先輩はやっぱり、さっきの自己紹介で目が合った先輩だった。そして、自己紹介が始まった。
「斎藤理羅(さいとうりら)です。よろしくお願いします。」
理羅:「美香ちゃんであってる?」
美香:「あ、はいっ!」
理羅:「楽器初心者?」
美香:「そうです」
理羅:「じゃあ、ユーフォニアムみよっか!初めてだしね!一緒に出してみようね」
美香:「はい…」
理羅:「まず、鍵の開け方!まず、ここをこうやって……じゃあ、もう1個は自分でやってみよっか!」
私は先輩が言ったように鍵を開けた。
理羅先輩は「上手!」といろいろと褒めてくれる先輩だった。
理羅:「一緒に蓋開けてみよう?」
美香:「はい…」
理羅:「蓋持って!」
そして2人で蓋を開けた。すると、金色のベル(音が出る部分)が輝いた金のユーフォニアムが出てきた。私はユーフォニアムに目を輝かせた。こんな間近でユーフォニアムを見たことがなく、ここで初めてユーフォニアムのことがわかった。ユーフォニアムは小さなベルを上に向けて4本のピストンを押して音色を奏でる楽器。私が予想していたもの(鍵盤楽器)とは違っていた。
理羅:「触ってみ?」
美香:「いいんですか!?」
理羅:「うん」
私はピストンひとつを指で押してみた。
美香:「すごい…。」
理羅:「えへへ笑」
このあと、先輩にしまい方を教えてもらい、先輩と仲良くなるために雑談が始まった。すると、隣にいたトロンボーンの先輩、山澤凛(やまさわりん)先輩と琴音がいた。
理羅:「なにか習い事してる?」
美香:「ピアノ8年やってて、お母さんがバンドでピアノやってます!」
理羅先輩は「えっ!?」という声を上げた。
凛:「理羅、どうした?」
理羅:「美香ちゃんがピアノ8年やってて、お母さんがバンドでピアノやってるんだって!」
凛:「え!すご!」
理羅:「お母さん、凄い人なんだね!」
美香:「はい!」
そろそろ部活終了の時間。あっという間だった。私は理羅先輩と楽器を戻しに行った。
理羅:「戻しに行く時は、間違えて蓋が開いちゃった時のために、蓋の外側に立つ!内側にいると、自分に当たっちゃうからね。」
美香:「なるほどー」
ー楽器倉庫室にて
理羅:「ユーフォニアムの倉庫はここね!」
美香:「いろんな楽器あるんですね…しかも、ユーフォニアム2台!?」
理羅:「そうそう!」
ユーフォニアム2台ってことは、やっぱり先輩もユーフォニアム吹いてるってことだよね!
ーこの時は先輩もユーフォニアム吹いてると
思っていたー
第3話へ続くー
第3話 ユーフォニアムと似た楽器