部活日記。第35話 尊い先輩に
☆前回までのあらすじ☆
吹奏楽部に入部したユーフォニアム担当の花蝶美香(かちょうみか)は幼なじみのトロンボーン担当、音崎琴音(おとざきことね)とトランペット担当、高橋美璃(たかはしみり)と部活に励んでいる。同じパートでチューバ担当、斎藤理羅(さいとうりら)先輩と一緒にパート練習!吹奏楽コンクールで銀賞を受賞した大生中学校。3年生は悔しさに満ち溢れていた。現在は文化祭が終わり、次はアンサンブルコンテストに向けて曲を決める前。なかなか上手くならないユーフォ。そんな中、何回もユーフォを壊しかけている美香。前はユーフォのマウスピースが抜けなくなり、今度は
ピストンが動かなくなり。また今日からアンサンブルコンテストにむけての第1歩を踏み出そうとしています!そして、今日からアンサンブルコンテスト、略してアンコンの練習が
本格的にスタート‼️ユーフォをもっと上手くなりたい美香。だが、またユーフォのマウスピースを抜けなくしてしまった。マウスピースは抜けるのか…!?
ー諦めたくない思いー
次の日。マウスピースが抜けなくなってから1日後。楽器は冷やすとマウスピース付近が冷たくなり緩んでくるため、取れやすくなると言う。今日も普通に練習がある日。でも、私はユーフォのマウスピースが抜けなくなったことをめちゃくちゃ申し訳なく思い、自分だけでマウスピースを思いっきり引っこ抜こうと思った。私は昨日からマウスピース抜けなくなった時に使える便利ないろいろな方法を調べていた。オイルをマウスピースの接続部にかけると緩くなって取れるとか、マウスピースブラシを突っ込んだり、マレットでマウスピース付近を叩くと取れるとか。1番取れる可能性が高いのはマウスピースを抜く機械を使って取ること。でも、値段が高い…。ネットショッピングにもよるけど、高いもので2000円。そんなものに手は出せない…。
だから、自力で取るほうが安いけど、顧問と先輩の底力じゃ取れなかったし、自分にも無理…。でも、これ以上無理なことしたらまたやらかすかもだから、調べたこと全て使ってやってみても、マウスピースは1ミリも動かなかった。調べてみたものが全て無駄だった。
ー無駄だったのか?あんなに調べといて、無駄だった?もしかしたら何かに役立つかも…?
その後も、同じことを何回もやった。私が諦めることは絶対になかった。
ー放課後の戦いー
さて、とうとう放課後になってしまった。
挨拶の後、先輩はすぐにユーフォの場所へ。
理羅:「今日は抜けるかな…?」
美香:「わからんです。さっきまでいろんな方法試したんですけど無理でした。」
理羅:「それほど固いって事だよっ」
愛莉:「いい加減に抜けて欲しいよね」
優杏:「なになに、どうしたの?」
理羅:「昨日言ったじゃん!マウスピース抜けなくなったって!」
優杏:「あぁ、そっかそっか…ちょっと手伝う?」
理羅:「優杏は見てるだけでいいよっ」
優杏:「はーい🙋♀️」
でも、やっぱり抜けないマウスピース。
愛莉:「これは相当な力が必要ね…。」
優杏:「でも、昨日から抜けないんじゃもう無理だと…」
理羅:「最悪リペアに行くしかないね…。」
美香:「そうですか…。」
優杏:「あと引っこ抜く以外に方法ないの?」
美香:「昨日色々調べた結果を全部やったんですけどダメでした。」
理羅:「ほんとっ?やり方間違えてるんじゃない?」
そして、理羅先輩と一緒にさっきやった事を全てもう1回やった結果…。
理羅:「無理だ…。」
ー諦めるしかない?ー
理羅:「諦めよう?あとはリペアに任せよう?」
美香:「えっ…。」
理羅:「明後日楽器体験なんだし。」
美香:「分かりました…」
もう、諦めるしかないんだ…。
美香:「先輩方、ありがとうございました。」
優杏:「うん」
愛莉:「これだけは仕方ないよ…」
理羅:「仕方ないよ」
理羅先輩がそう言った瞬間、先輩から圧を感じた。怒られてる…?私、何回もユーフォ壊してるし。「いい加減にしろ」ってきっと心の中で呟いてると思う。そうなって当たり前。先輩私のために頑張ってくれたのに抜けなくて迷惑かけてほんと申し訳ない。もう二度としないようにしたいのにまたやってしまう。
ーユーフォを救いたいー
そして、あれから2日後。楽器講習会の日。リペアにユーフォを顧問と持っていく。
果たして、マウスピースは抜けるのか…?
すると、私がネットショッピングで見たマウスピースを抜く機械が出てくる。冷や汗が出る。鳥肌もやばい。そして、その時が来る。
すると、マウスピースが抜けた‼️
美香:「はっ…」
抜いてくれた人によるとなんとマウスピースの出っ張りの部分に引っかかって取れなくなってしまったらしい。
美香:「ありがとうございました。」
顧問:「抜けてよかったね!」
美香:「はいっ」
そして、リペア室を出て私はユーフォを持ったまま楽器講習会へ向かう。私は切ない自分に涙が出てしまった。
そして学期講習会後。唯華先輩もマウスピースが抜けなくなった話を聞きつけて私に聞いてきた。
唯華:「マッピ(マウスピース)抜けた?」
美香:「はいっ!」
理羅:「良かったね♡」
美香:「これから気をつけます」
理羅:「絶対ね?」
美香:「はいっ」
先輩に再び笑顔が戻った。
ー第36話へ続く
第36話 戻った日常