部活日記。第53話 音色の発芽へ
https://note.com/yuneko_euphonium/n/n3f623a0a8e27
ー「ランクが違う」ー
今日は土曜日の部活。3階まで続く階段を登っていた私。すると、クラリネットの暖かな音色が聞こえてくる。でも、「ピッ」という汚い音も出る。この音はクラリネットについてる穴(キー)がちゃんと塞がれていないから。でも、私はユーフォ担当なのでよく分からないけど。
音楽室へ入ると、先輩たち、ピアノの周りに戯れるように集まって遊んでる様子。私が入ってきたことによって後ろを振り向いてびっくりしていた。
そして、顧問も到着。顧問はどんな指導をするのか分からん状態なのでとりあえず席に着席。部長の新井真子先輩がミーティングを始めようと、黒板前に立つ。すると、顧問が音楽室にある机を出していた。部員全員、ドン引き。
部長:「ミーティング始m…」
顧問:「何やってるんですか?」
顧問が優しい口調で口を挟む。
部長:「ミーティング始めようと思いまして。」
そして、とんでもない発言をする顧問。
ー「そんなことしてる場合あったら、練習した方がマシですよ。」ー
部員全員:(は?)
顧問:「皆さん、早く楽器を出してください。」
ゾロゾロと楽器倉庫室に向かう。
「この顧問、ランクが違うぞ。」
「そんなこと言う人初めて見た。」
楽器倉庫室でこんな声が聞こえてくる。ほんとにその通りだと思う。この顧問は前の顧問よりも本気か…?
ユーフォ出して、理羅先輩の隣へ。
ー30分後。
理羅:「チューニングした?」
美香:「してないですぅ…」
理羅先輩、チューニングしてくれた。優しい…。
理羅:「高っ!」
🎶🎶🎶🎶
理羅:「いや、低っ!」
高いと低いが続く。多分それは息の入れ方かな…?
理羅:「ちゃんと息入れてる?ちゃんと息入れてね」
美香:「はいっ」
何とかチューニング完了。
ー楽しい合奏の、始まり始まり…ー
顧問:「では、始めましょうか」
部長:「起立」
部長:「注目、お願いします。」
全員:「お願いします。」
部長:「着席」
顧問:「では、初めての合奏と言うことでね、まずは合奏について少しお話させていただきます。」
顧問:「まず合奏というのは一言で言うとめちゃくちゃ楽しいです!だって、全員で音色を奏でるということ、絶対楽しいに決まってるじゃないですか!皆さん、音楽は楽しんでいいんですよ。吹奏楽は絶対楽しいです。楽しいと思えば思うほど上手くなれるんです。だから皆さん、音楽を楽しんでくださいね。」
この顧問、めっちゃいいこと言うやん!前の顧問と全然違う…。
顧問:「ではまず学園天国から。大初見大会やりますか?」
部員全員は、「大初見大会…?」と言う風に首を傾げた。
顧問によると、大初見大会というのは、初めて見る楽譜を合奏することらしい。
そして、学園天国スタート。
最初から通す。すると、先生が指揮棒を振って演奏を止める。
顧問:「皆さん…」
この時、部員全員は「怒られるぞ…。」と心の中で言いまくっている。
顧問:「凄いじゃないですか!!」
部員全員、顧問の発言がまさかすぎて感情が溢れ出す。
顧問:「初見でこんなに吹けるとは、この学校やっぱり上手いですよ!これは必ず上手くなれますって!」
褒めてくれる顧問、初めて見た…。前の顧問と全然違う…。
顧問:「それと、最初はもっと元気に、楽しそうにね!あ、そういえばうちの親父が…」
顧問は指導だけでなく、雑談を入れてくれたり、自分の楽器でパートの苦手なところを一緒に吹いてくれたり。いろいろと私たちのことを助けてくれた。
そして、楽しい合奏の時間もあっという間。
ミーティングにて。
顧問:「今年の吹奏楽コンクールは大編成で出ますか?それとも、小編成で出ますか?」
突然提案してきた今年の吹奏楽コンクールの話。大編成か、小編成かを決めたい顧問。
先輩たち一同、悩む。大編成だと、課題曲と自由曲、小編成だと、自由曲のみとなる。
顧問:「次回の部活までに決めておいてください。もし大編成で出る場合、先生は、自由曲探しを深夜までやります。」
実は顧問、毎日深夜まで音楽に関する仕事をやっているらしい。音楽に関する仕事というのは、楽譜作り、曲探しなど。顧問は寝るのは遅く、起きるのは早いらしいので、深夜まで作業している、そう話していた。
次回の部活は土曜日。先生方の会議があるため部活中止期間となってしまう。
するとさらにはこんな話が出てくる。
顧問:「皆さん、楽器のお手入れしてますか?」
顧問:「大生中の楽器全て綺麗にしてますか?」
しーんと静まり返る音楽室内。楽器を手入れしている自信がない…ということで!第54話は、楽器のお手入れから、スタートです!
第54話 時の香りが残る場所