“現役書店員”がオススメする「夫婦」についての本 vol.42

おはようございます。

本日のオススメは
手塚治虫文化賞(短編賞)を受賞したコミックエッセイで「夫婦」についての本です。

こちら↓


おすすめの理由

・夫婦のすれ違いの様子が生々しく描かれている、共感と気づきの本

著者はイラストレーターの野原広子さん。
「妻が何年も口をきいてくれない」という知人からの告白が本書のきっかけになったそうです。

本書は4人家族の平凡で平和な日常から、ある時を境に、妻が口をきいてくれなくなるという話です。

妻が口をきいてくれなくなったところから話は始まり、夫にはその理由がわかりません。
そしてそれが1ヶ月、3ヶ月、1年、5年と過ぎいよいよ夫も限界になり…
と進んでいくのですが。

夫側、妻側、両者からの目線で描かれていて、男性は夫の気持ちに共感でき、妻の気持ちに気づかされます。

例えば妻側からの目線。
育休中、夜泣きに対応しほぼワンオペで家事をこなす中、夕食のおかずにケチつけられたり。
嫌なことがあって相談しても気持ちを受け止め、味方になってもらえなかったり。
仕事で疲れたからといって子供に冷たく接したり。
わたしの話は聞いてくれなくても他の人の話は聞いていたり。

夫側の立場として心当たりがある(共感できてしまう)ため、正直キツイです。
妻への何気ない言動がこんなにも傷つけ、心に影を落としていたなんて。
本書を読んで同じような経験があるという男性も多いのではないかと思います。

だからキツイ。
でも本書で気づくことが出来ます。

もちろんそれぞれ家庭の価値観は異なります。
しかし取り返しがつかなくなることも他人との関わりの中ではあるということ。
そしてそれが1番大切で最もそばにいる存在であること。

現在は、男性が外で稼ぎ女性が家を守るという戦後家族モデルはとうに消え去り、共働きや女性の社会進出があたり前になってきています。
にもかかわらず、その時代の思想だけがうっすら余韻を残し漂う中、僕ら男性にとっては甘えたくなるところですが、行動も考え方も変化から逃げてはいけないのでしょうね。

とりあえず本書を読んだ後は妻への感謝の言葉が溢れ出ます。
僕も次の休みには夜ご飯作って妻の帰りを待つことにします。

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