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“現役書店員”の絶対的オススメ「絵本」 vol.16
こんにちは。
本日は、絵本の紹介です。
この本は、僕が小さい頃から大好きな本です。
けど、大人になってからもっと好きになった本です。
なぜでしょう?
親になったから?
絵の色遣いに反応できるようになったから?
ぜひ手にして頂きたい本です。
こちら↓
おすすめの理由
・絵本の本質と言いたい本
著者は、甲斐信枝さん。「雑草のくらし」で第8回絵本にっぽん賞・第17回講談社出版文化賞絵本賞を受賞されています。
本書は、たんぽぽの成長や変化を題材に描かれた絵本ですが、まず驚くのは、ものすごくリアルなこと。
一見軽いタッチのように見えるのですが、まるで目の前でじっと観察しながら描いたかのような圧倒的リアリティです。
僕が感じた著者の想いは、絵本のために丁寧に描いた、というより、
「たんぽぽと一緒に過ごす時間を楽しみながら、その時間を大切にありのままを描きたい」
そんなふうに感じました。
そしてそのような想いから描かれる全てのものは、
AIやコンピュータグラフィックなどでは再現できない、読み手の感動まで含め、人間に限り生み出せる作業(芸術)ではないでしょうか。
今を生きる私達にとって「芸術」や「人間にしかできないこと」を考える時、技術革新など常に変動する要素を考慮するため、判断基準もそれに伴い常に変化をおこし、また変化していくべきなのかもしれませんが、一方で本書は人間の率直な想いから生まれる作品や、失くしてはいけない価値観があるということを提供してくれているように思います。
そして、あとがきを読んで「やっぱり!」と思ったのですが、著者は実際何日も何時間もたんぽぽをつぶさに観察し描き上げていることがわかりました。しかも楽しそうに!
この本には絵本の本質がみっちり詰まっていると思います。
新しい何かに出会いたい時、
少し心に余裕が生まれた時に読んでみて下さい。
きっと、周りの見えるものから見えないものまで見つめる「心の目」が広くなると思います。