![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/151090933/rectangle_large_type_2_9e53034b6729b65b90100aa09d3113e9.jpg?width=1200)
【掌編小説】はじまりの日
人生は一瞬だ。
地球の一生に例えると、僕の人生はミジンコ以下の存在だ。
地球や宇宙から見たら、僕の存在はちっぽけで無価値だ。
何にも期待しないで、ただ死を待つだけだった。
祖母が死んだあの日、僕はただ死にたかった。
それは自殺願望ではない。
とっとと寿命が来てこの世を去りたかった。
早く1日を終える方法を考えていた。
『睡眠時間を増やす』
時間の経過をより早く感じるため。
『野菜を摂らない』
『飲酒の量を圧倒的に増やす』
健康状態を悪化させて早死にするため。
全部馬鹿げていてくだらない方法だが、いたって真面目に考えていた。
自ら命を絶つのを恐れている僕が考えた、少しでも早く死に近づける方法だった。
人としての生活をまともに送れないほど、堕落し切った生活をしていた。
そして、あれから少しの年月が経過した。
僕はいつの間にか前を向き、旅に出ることにした。
まだ見ぬ世界を求めて。
地球の一生に比べたらちっぽけだけど、僕には大切な仲間がいる。
図で表したらめちゃくちゃ小さいけれど、僕にとってはめちゃくちゃ大きい宝物だ。
その宝物は僕の一生の99%を占めるだろう。
今までありがとう。
たくさん叱ってくれてありがとう。
たくさん話を聞いてくれてありがとう。
たくさんの楽しい思い出をありがとう。
何度も家に呼んでくれてありがとう。
クズな僕なのにそばに居てくれてありがとう。
絶望のどん底でも、僕をそっと支えていてくれてありがとう。
貰ったものがあまりにも大きい。
君のおかげで前を向く術を知れた。
人と上手く関われない僕は、どう返したら良いかわからない。
不器用な僕に、今までついてきてくれてありがとう。
君の存在があまりにも僕の中を占めるから、君がいない旅先で泣き言を言うかもしれない。
既にちょっぴり怖かったりもする。
それでもきっと大丈夫。
縁が切れるわけじゃないと心から信じることができる。
嫌われるかもと些細な事で心配していた君。
この先何があっても、どんな事が起きても、そんなことは絶対にあり得ない。
ありきたりだけど、さよならは言わないよ。
また会おう。
気をつけて過ごしてね。
行ってきます。