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オクトパスの神秘
タコのドキュメンタリー、「オクトパスの神秘」があまりにも素晴らしかったからここにてご紹介します。日常に疲れている日本国民全員は本気で見てほしい。”なんだタコかよ”、”タコの生態の話?”だなんてどうか、どうか思わないでほしい。人生に行き詰まってしまったひとりの男性が海を潜ったときに一匹のタコと出会い、毎日そのタコに会いに行くお話。嘘のようで本当の話。まさか、タコが人間に近い感情を持っているだなんて、思ってもいなかった。
海の映画はなんだか怖くて、夜にこっそりと観ることをためらっていた。痺れをきらした先週金曜日の夜、今夜は寝れないのだということを覚悟してついに観たのだけど、これが大正解。しっかりと、熟睡できた。
なぜかというと、海が「怖い」という感情よりも「神秘的で綺麗」という感情の方が勝ったのです。南アフリカの壮大かつエメラルドグリーンに光っている海が、「海は怖い」といった(私の)固定概念を覆してくれました。セブ島あたりの綺麗すぎる海とは違って、いろいろ粒子が浮いているしやや濁っている。そこが、逆に(自称)深海恐怖症から守ってくれる要素だったのかは、わかりません。
海藻類に包まれながらタコが堂々とゆらゆら泳いだり歩いたりする様子が、あまりにも綺麗で、”もう、あなたについていきます。”と思わず弟子入りを申し出てしまいました。
まさかタコの背中にもお父さんのような哀愁が漂っているだなんて。。
男性が毎日タコに会っていくうちに知らずと愛情が芽生えてきたのですが、タコにとっても同じで、「また同じ人間だ」と認識して信用した上でスキンシップをとってこようとするのです。何度も言いますが実話、実話です。タコがひとつの手(足?)をゆっくり伸ばし、人間に触ろうとする。
”人間は私たちを捕獲して食べる残酷な生き物なのである”
タコの世界でも先祖から代々そう伝えられているはずなのにも関わらず。
あのシーンを見て感慨深い気持ちになりました。タコのくせに、、なにがタコだ、、といった雑念は映画開始10分後に拭い去られましたので、その時には既にタコ様様でした。タコが人間に心を開いた瞬間を見て、ただ深く感動した。これはETのようで少し異なる関係性、綺麗な海の情景、そしてきっとその瞬間に流れていたサウンドトラックのせいでもある。
はい、というわけでタコのサントラの聴いてみましょう。
調べてみたらヒットしました。
その曲の名は「first contact」。訳して「初めての接触」(そのままw)
切なく壮大なサントラと共に注目していただきたいのがタコの背中。背中で悟っているんですよ。なんだか人間よりも地球のことを知っている気がして、少し怖くなります。
普段見る他のドキュメンタリーは途切れ途切れで観ている私ですら、このタコの映画は一気見した。それぐらい、神秘的で壮大な映像に引き込まれた。この映画はもはやドキュメンタリーの枠を超えている。
作中、タコに恋した男性は”一時的な海の訪問者ではなく、今この瞬間、海で生きているんだ”的な言葉を言っていた。
私もこの映画を見終えた後、何故か心身がスッキリとした。それは多分私の存在は人間であること以前に、”地球で生きている生き物”だと感じることができたからだ。
今、私がこうやって文章を書いている間にも撮影された南アフリカで生息する生き物は私たちと同じように生活をしているし、サバンナで生息する動物たちは狩りをしたりある一つの場所を目指し、群れで大移動をしている。食物連鎖は残酷だけれど、美しくもある。全てが、繋がっている。
こういうことが思えたりできるのは、私たち人間が食物連鎖の頂点だからなのだと思う。これから頂く命を大切に、自分の一部として一緒に生きていきたい。
自分は地球の一部であることを思い出させてくれる、とても尊く壮大な映画でした。自分の悩みなんて、地球規模で考えると実はミドリムシよりも遥かに小さいのでは、、?
多分これからの人生、オクトパスの神秘は何度も見返すと思う。既にfirst contact、訳して初めて接触のシーンに関しては10回以上見返した。それくらいの傑作だった。是非、皆さんも観てください。タコがより好きになるはずです。