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音楽劇「キセキ―あの日のソビト―」観劇記録
あくまで個人の感想です。
観劇の時に受けた感覚を大事にしたいため、今回は配信で見返さずに書いています。
記憶を頼りに書くので、正確な情報を求めている方はご注意ください。
ネタバレありで感想をまとめています。
基本的に推しのことを褒めたいが為に書いています。
映画版未視聴。
GReeeeNは、音楽を学生時代よく聴いていました。
観劇日:11月12日(金)12時30分開演 @COOL JAPAN OSAKA WWホール
公演日程
10月22日(金)~11月7日(日)@紀伊国屋サザンシアター TAKASHIMAYA
11月11日(木)~11月12日(金)@COOL JAPAN OSAKA WWホール
キャスト
JIN役 :崎山つばさ
HIDE役:立石俊樹
navi役 :太田将熙
92役 :岸本勇太
SOH役 :里中将道
売野役 :大石敦士
結衣役 :朝倉ふゆな
珠美役 :遠山景織子
誠一役 :羽場裕一
ダンサー(五十音順):荒川湧太、宇田川太雅、加藤木風舞、武中隆之介
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私が、公演が始まって真っ先に圧倒されたのは、生バンドによる生演奏と照明だった。
ものすごい音量と音圧がバンッと体に衝撃を与えてくる。
伝わる振動、刻むビート。
圧倒的な音の衝撃が一瞬で会場全体を支配した。
私は、この音の衝撃を観劇で味わったことがない。
どちらかと言えば、LIVEに参加した時に感じる音圧だ。
配信を見て、随所に歌唱パートがあり、生バンドによる生演奏が見どころの一つだということは知っていた。
だけど、知識として知っていただけで、身をもって体験して初めて《音楽劇》とはどういう作品なのかを真に理解したように思う。
ミュージカルとも少し違う。
演奏楽器が異なる点もあると思うのだが、本当に音楽メインのパートが完全にLIVE仕様になっていて、お芝居を観ているはずなのに、今この瞬間はLIVEに参加していると脳が錯覚するような感覚に襲われて、とても不思議な体験だった。
一度で二度おいしい。そんな感想が私の中でしっくり来た。
お芝居を観ているのにLIVEも楽しめるとか最高だ。
手拍子とか手振りでステージと会場が一体感に包まれるのが、めちゃめちゃ楽しかった。
オープニングとエンディングに至っては、ただただかっこよかった。
元々ミュージカルは好きなので、お芝居と音楽の融和性は知っていたつもりだが、オーケストラとはまた違う生バンドの演奏が持つ迫力に圧倒された。
音圧や振動が心地よくて、こんな体験を出来るのなら、これからも「音楽劇」と呼ばれる作品を観に行きたいと思ってしまうくらいには魅了されている。
今回も事前に配信で観劇をした上で、現地で観劇を行ったのだが、現地でその音圧を目の当たりにして、配信と劇場での観劇それぞれに良さがあることに改めて気づいた。
配信の感想をまとめた記録にも書いたが、配信で見た時に自分でもビックリするくらい号泣した。
「こんなに泣くことってある?」って思うくらいそれはまぁ号泣していたのだが、現地で観劇した時には、配信で見た時ほどは号泣しなかった私がいた。
相変わらずグサグサ心に刺さって、ハンカチで目頭を押さえていたのだが、とめどなく涙が頬を伝うということは無かった。
「なぜだろう?」としばらく考えて、劇場における自分の視線の動きが配信とは異なるからだと思い至った。
配信は、基本的に物語の筋通りに映像が流れていく。
今、この場面においてメインになる人物たちが画角の中に収まっている。
だから、必然的に視聴者の意識はその舞台の物語にフォーカスされていく。
けれど、舞台はどこに意識をフォーカスさせるかは観客に任されている。
もちろん、演出できちんと視線誘導されるように舞台が組みあがっているわけだが、時として観客は、視線誘導に逆らってまで《推し》を目で追うことがあるのだ。
昔の私は劇場でも視線誘導をされるがままに物語に筋を追っていた。だが、友人と観劇した時に「せっかく観に来たんだから、映像には残らない推しの様子をこの目に焼き付けておきたい」と言った言葉に目から鱗が落ちた。
確かにメイン筋の裏でも役者は板の上に乗っている限り何かしらの芝居をしている。
何だったらちょっと遊んでいたりもする時もある。
でも、メイン筋ではないから映像としては残らない。
だったら、「せっかく行くなら推しを見たい」といった友人の言葉は間違っていないどころか《推し活》としては正論だと、その時の私は大きな衝撃を受けた。
そして、それ以来現場に行く時は、基本的に推しが舞台上にいる間は推しを見ていようというスタンスになったのだが、そうすると意識のフォーカスが物語の筋から外れてしまう。
そうなると、物語に対する共感覚が配信の時ほど強く発揮されなくなるのだなというのが、今回の大きな感想の一つに上がる。
これまで配信での観劇も、実際に劇場にいく観劇もどちらも観劇と言う意味では、大きな差はないと思っていた。
けれど、「音楽劇キセキ―あの日のソビト―」を観劇してみて、それぞれの違いや良さがあることに気づいた。
1つの物語として余すことなく観る者の意識を忠実に作品の核へ誘導するのが、ライブ配信だとすれば、劇場での観劇は観客の五感をもって、音を、光を、振動を、そして感情を感じる圧倒的な体験の場の様に思う。
配信であれだけ物語を堪能していたからこそ、劇場では心残りが無いように沢山の刺激に対して自分が感じるままに反応できた。
きっと、配信を見ずに初見で劇場に足を運んでいたら、見終わった後に「あそこも見ておけば良かった…」と色々思うことも有ったかもしれないが、今回に関して言うとそんなことはなく、大満足で会場を後にしていた。
なので、配信と観劇の両方を組み合わせることで、色んな方向から作品を堪能できるということに改めて気づいたのは、私の中では大きな収穫だ。
さて、作品の感想から少し話の筋がそれてしまったので、軌道修正して推しの感想を全力で書いていきたいと思う。
大体いつも配信を見てから劇場に観に行くパターンなので、その度にガラッと変わったお芝居にビックリさせられているのだが、今回も前回の配信と比べてHIDEくんの印象が変わっていて驚いた。
基本的な部分では変わっていない。だけど、配信で見た時よりも《弟感》が増してて可愛いの度合いが格段にアップしていた。
無邪気というか素直というか…純粋というか。人たらしな感じと言うか。
うまい言葉が見つからないのだが、フラットにその場にいて周りの人を引き付ける感じがすごい出ていてとても良かった。
曲のアレンジをお願いする時だったり、JINさんとやりとりしているとお兄ちゃんへの甘え方に年下感すごく出ていて、「可愛いな」ってなっていたの私だけじゃないと思う。
それに今回、立石くんのアドリブへの適応能力の高さにビックリした。
普段がふわふわしているので(笑)あと春組の時には何故だかあまり発揮されないので見落としがちだけど、役が付いている時のアドリブ適応力は割とある方じゃないかと今回の公演を見て思った。
CDデビューの話の時に、12日のマチネで「(CDとは)ダメでもフリスビーになる的な」というSOHちゃんのボケに対してワチャワチャしているグリーンボーイズにJINさんが「フリスビーみたいに戻ってこい」って言ったら、「分かった」って言いながら1人だけJINさんの手元まで走って行って「フリスビーってこういう事でしょ?」って返していたの普通に凄いと思った。
その後のお母様とのやり取りも、お母様がいきなり「ダルマさんが転んだ」をサイレントでやり始めて、お母様の動きに合わせて台詞を止めながらやってたのめちゃめちゃ凄かった。
配信の時から思ってたけど、お母様は結構色々やりたい方のようで、観劇回もそれはそれは楽しそうに色々とぶっこまれていたけど、「かあさん!」って言いながら全部ちゃんと反応していたし、「ダルマさんが転んだ」の後、何も聞いていなかったというお母様の振りに対して、もう一回ちゃんと説明してたの偉いなぁってなったよね。
(この辺りから立石くんのアドリブ適応能力の高さに気づき始めた私がいる)
そして、初ライブを前に緊張がピークに達したSOHくんに「神様!」って呼ばれるHIDEくん。
(里中くんのアドリブとボケがキレッキレで、ボケるアドリブについては最強だなって思いながら見ていたわけだけど、配信の時よりSOHちゃんのテンションの振り幅がエライことになっていて笑った)
その「神様!」に対して、緊張のあまり倒れこんだSOHちゃんを起こすために「SOHちゃん、神様だよ」って傍に立ちに行ってたのにめっちゃ笑ったんだよね。
今、これだけ書いていて改めて立石くんはアドリブを受けるの上手だなぁって思ってる。
後半、やっぱりCDデビューをしたいってJINさんに言いに行った時に、「殴らせろ」というJINさんに対してnaviくんが「指輪とかは外してもらえると~」的なことを言っていた後で、「なんか指輪から出そうだよね」って立石くんが無茶振りしたら、崎山くんが応えてくれて、何かしらのビームが出ている感じで拳を突き出してくれてたんだけど、それに対して見えないビームに当たらないように反応返していたのすごいなぁって思うと同時に「滑ったじゃねぇかよ」と言っていたJINさんに笑ってしまった。
やっぱり、ボケるより受ける方が立石くんのアドリブ力は発揮されるのかもしれない。
でも、アドリブをちゃんと受けて返せるって、きちんとその場で生きていないと出来ないことだ。
だから、それを当たり前のように出来るのは本当に役者として素晴らしいことだと思う。
あとビックリしたのはちょいちょい挟まれるご当地ネタ!
4人で歌ってみようの時に曲が降ってきた時の「待って!」が「待ってぇ!」って関西弁のアクセントになってて、一瞬「どうした!?」ってなったけど、続けざまの2回目も関西弁だったら、「あ、ご当地ネタだ」って分かったけど、そんな所でご当地ネタぶっこんでくると思ってなかったから、最初普通にアクセント間違えたのかと思ったのは、内緒です。
普段のふわふわしている姿とは異なり、役が入ってお芝居している時はガラリと印象が違うのも確実に推しの魅力の一つだと思う。
今回FC先行でご用意してもらった席が最高だった。
GReeeeNの4人が舞台の面に勢ぞろいする時のHIDEくんの立ち位置にドンピシャで、しかもなだらかな傾斜がついていて、ほぼほぼ真正面で推しの姿をガン見出来るお席で幸せだった…。
オペラグラスが無くてもよく見えたのも最高だった…。
円盤はもちろん予約しているのだが、個人的には音楽劇版のCDを出してもらいないだろうかと思っている。
歌っているPVを作ってくれているんだから、音源はあると思うんだ。
もしくは劇中のLIVE音源でもいいので、どうかどうかあの歌声をずっと耳元で聴けるようにして欲しい。
ディスクが難しいなら配信でもいいから是非公式さんには心からご検討願いたい。
そう思うくらい本当に素晴らしい音楽劇だった。
無事に東京・大阪公演を駆け抜けたカンパニーの皆さんに心からの拍手を送ってこの文章の締めとする。