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ムーミン谷の彗星

自己紹介の代わりに最近読んだ本の感想を書いていこうと思います。
尚、noteに初めて投稿するのでイマイチ使用がわかっていません。
よろしくお願いします。

ムーミン谷の彗星/トーベ・ヤンソン

「ありがとう。でも、いまも考えたんだけど、持ち物をふやすというのは、ほんとうにおそろしいことですね。」

私は、スナフキンのこのセリフを聞いて世界がひっくり返るような思いをした。
言うなれば、私はオタクという生き物で、その中でも収集癖の強いオタクだ。
部屋中、なんなら壁中にグッズが飾ってある。棚などを継ぎ足して、飾ってある。
漫画や小説も好きな為、本もかなり集めているので、最近では本棚にしまいきれず床に平積みになっている。
なんなら私はヘムレンさんだ。だがヘムレンさんの方がまだマシだ。何故かと言うと、あの人は今の所は切手しか集めていないからだ。私はと言うと、20種類位はグッズを集めているであろう。なので、スナフキンのこの発言を聞いた時、驚いたし、羨ましいと思った。羨ましい、ということはものを手放したい気持ちがあるのだろう。
検討しよう。

私はムーミンという作品をアニメでしか見た事がなかったので、ムーミン谷の彗星を読んで少し首を傾げたくなった。原作は、こんなにゆっくりとした恐怖が近づいてくる、しんみりとした、だけど明るさもある、不思議なお話だったのかと。
学生の頃、明日も学校があるのに、ゆっくりと夜明けが近づいて来ているのに本を読み続けていた、あの空気感にもどことなく似ている。嫌では無い侵食を味わった。あとがきにあったが、他のムーミンシリーズはもう少し明るい話らしい。だが、私はムーミン谷の彗星の雰囲気が好きだなと思った。

作品内の、海の扱い方が好きだった。日常的に絶対に存在していたものが消えてしまった恐怖、その上を歩くと知らない姿が次々と見える、そしてそれが戻ってくる安堵。
この流れが完璧だと思った。すごく好きだと思った。母親だと、消えた時の恐怖が強すぎる。どうすればいいんだ、と泣き出したくなる。だが、海だとちょうどいい恐怖だ。じわりじわりと思考を動かす位の恐怖心。良いと思う。
そして、このストーリーにて絶対的に揺るがない、ムーミン谷に帰れば家はあるお母さんが待っている、という安心感がとても好きだ。
そして、実際にお母さんはいつもの通り暮らしている。ケーキを焼いて待っている。どれだけ彗星が近づいてきていようとも、こんなに安心出来ることはないだろう、と思った。

あと、スニフのウロウロしている感じや、1人で怯えている感じがとても自分に似ている気がして、笑ってしまった。アニメの時はあまり思わなかったが、原作のスニフは割と共感できるキャラクターだな、と思う。
猫との関係性も好きだった。こういう、勝手に片方が信じている関係というのは案外あると思う。そして、大抵は裏切られる。だが、猫は気まぐれだ。最後は喉を鳴らしてくれた。スニフは最高に幸せだっただろう。

まとめ

とても好きな作品となりました。これからもこのシリーズを読んでいくのが楽しみです。お部屋片付けたいなあ……。

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