[テストマネジメント虎の巻]第二回:テストマネジメントの全体像
これは2010年12月にHPのマーケティングサイトであるBTOClub(当時)のブログへ投稿したものを転載しています。
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皆さんこんにちは。BTOClubでテストマネジメントに関しての連載も2回目になりました。前回は、初回ということで、テストにマネジメントがなぜ必要かというお話をしました。今回は、前回にご説明した通り、テストマネジメントの全体像について説明したいと思います。
世界的に見たテストマネジメントの定義
まずは、標準的にテストマネジメントとはどういうことをするのか?から見てみたいと思います。ISTQBという世界的なソフトウェアテスト技術者のための資格認定制度があります。日本では、JSTQBという名前で加盟しています。そのISTQBの用語集では、テストマネジメントとは、以下の様に定義されています。
テストマネジメント(test management): テスト活動の計画、見積もり、モニタリング、コントロール。主としてテストマネージャによって実施される。
マネジメントとは何かというのは第一回で書いたとおりですが、そのために具体的に行うことが、計画と見積もりとモニタリングとコントロールという4つだということになりそうです。
また、「主としてテストマネージャが行う」とも書かれていますが「ウチのプロジェクトにはテストマネージャなんて役職は無い」と言う方は、もっと単純にテスト計画を立てて、進捗を見ていく人の仕事だと思ってください。テストマネージャという言葉はなくても、メンバーの誰かがリーダとなってテストのスケジュールを見たりする場合もあるでしょうし、プロジェクトマネージャがやることもあるでしょう。
テストマネジメントを行う役割の人が持つべきスキルとしては、同じくISTQBからアドバンスレベルシラバスの[テストマネージャの前提]から引用してみたいと思います。(筆者追記:これは2010年どの記事なので、2017年時点で見ると旧版のシラバスを指しています)
<テストマネージャは次の様な事が行えるべきである>
① 対象システムに対する包括的なテストのゴールおよびテスト戦略を定義する
② 計画、スケジュールの立案とその追跡を行う。
③ 必要となる活動を体系化し説明する。
④ タスクに適したリソースを選択、調達し、割り当てる。
⑤ テストチームの選択、編成、指導を行う。
⑥ テストチームのメンバー間、テストチームと他のステークホルダ (利害関係者) とのコミュニケーションを体系化する。
⑦ 妥当な状況判断をすると共に、適切な情報提供を行う。
※各箇条書きの番号は、筆者が説明のために付与しています。
テストマネジメントの全体像
細かいことは次回以降に回すとして、計画、見積り、モニタリング、コントロールがマネジメントの手段としてどう影響しあっているのかを簡潔に説明したいと思います。
計画とは、簡潔に言うと目的を達成するにはどうすればいいかを活動前に十分に検討することです。なので、目的が明らかでないと話になりませんが、目的が明らかであればそれをどう実現するかを考え、最終的に実施予定にまで落とします。
その実施予定を実現できるリソースを見積もりし、調達します。ここで、リソースが潤沢に確保できれば困らないのですが、開発の大規模化や短納期化と、信頼性確保という相反する課題を満たすために調整が入ります。
モニタリングとは、計画を基準として進捗を見たり、バグの件数が多すぎないか、全部テスト出来ているかどうかなど状況を確認したりすることです。また、それ以外にも要件の変更と影響範囲の追跡を行い、変更に対してテストがどの程度影響を受けるのかを常に見ていることが大事です。
モニタリングした結果、計画通りに行っていけないと判断すれば、コントロール、つまり様々なことをして目的達成をさせます。たとえば、人員を増やしたり、機材を追加したり、日程を変更したり、または目指す品質のレベルを下げるなどの方法を取ります。
テストマネージャが行えるべきこととの対比を行うと、まず、①と②の最初の部分「計画、スケジュールの立案」と③、⑥が計画の話となります。続いて④や⑤の一部「テストチームの選択、編成」あたりが見積もりにかかる話となります。モニタリングとコントロールは、②の後半部分「その追跡を行う」や⑤の後半部分「テストチームの指導」、⑦が該当するでしょう。
今回は大枠をつかんでもらうように全体像を説明しました。次回からは、計画と見積り、モニタリングとコントロールと分けてより具体的な話をしていきたいと思います。
サポートありがとうございます。これをカテにこれからも頑張ります。