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テスターのプロフェッショナリズムについて(前編)

テストラジオにてプロフェッショナルなソフトウェアテストを行う人について話をしてて、自分なりにテストのプロについて考えを整理したかったのでnote書くことにしました。これを書いている時はトロントの空港でビール飲みながら書いているので写真はトロントの空港の写真です。

「テスト担当者のプロ意識」というキーエリア

TPINEXTというテストプロセスを改善する手法があります。私と薮田さん,皆川さんで翻訳した本であり、知っている人は知っていると思います。この本では,テストの改善すべきことをキーエリアと呼んでいくつか定義しています。各エリアごとに,どのレベルにあるかということを測る質問項目があり,その質問に対するYesの数でその組織の成熟度はどのレベルにあるか?を評価できます。その中にTester professionalism(テスト担当者のプロ意識)というキーエリアがあります。要は,その組織のテストを行う人たちはプロフェッショナルだという自覚を持つべきであり,組織としてそういう人たちがテストチームにいるようにしていくべきだと言うことです。TPINEXTでは,テスト担当者のプロ意識を以下のように定義しています。

テスト担当者のプロ意識に含まれるものは、期待するレベルのテスト活動に必要となる適切なスキル、力量、自律心、機能、知識である。

プロ意識を持ったテスト担当者がいるかどうかの質問項目(チェックポイントと呼びます)は以下のようなものがあります。これは成熟度レベルの一番初期のレベルを判定するものです。それぞれのチェックポイントに対するわたしの解釈による解説もつけています。

1. テスト担当者は、テストに特化したトレーニングを受けているか、または体系的なテストを実行した現場経験を積んでいる。
(私の解釈)テストをしている人は全くテストのことを知らない人たちではないよね?って質問です。「体系的なテストを実行」っていってもそれほどすごいことを言っているのではなく,テスト対象の理解をする時間を与えられて,テストケースを書いて,そのテストに必要な環境やデータを準備してから,テストをしているってレベルの話です。

2. テスト担当者は、採用したテスト手法に理解があり、実際に使っている。
(私の解釈)「採用したテスト手法」とは,その現場現場でのやり方の話です.例えば,テンプレートはこれを使いましょうという話になればみんながそれを使っているってレベルですし,テストケースは必ずレビューをしましょうといったレベルです.そのテンプレートやレビューの内容のレベルにはついてはここでは問わないです。

3. テストチームは、必要となる業界知識、ビジネス知識、技術知識などの専門知識を有している。
(私の解釈)これはテスト対象のことを知っている人が一人でもテストチームにいますよね?って質問です。銀行の窓口のシステムについてテストをするのに窓口業務が何かを誰一人知らないってことはないですよね?ってということを問うてます。必ずしもその業務については,社内でもトップレベルに精通した専門家である必要はないです。(もちろんそういう人がいた方が良いに決まっています。ここの質問にYesと応えるためにそこまで必要ないということです。)

4. 従業員の業務評価では、テスト担当者の特定のテストスキルや一般的なIT スキルについて定期的に評価している。
(私の解釈)テストチームのメンバーを評価するためにその人のテストに関するスキルを見て評価をしているか?という質問です。これは簡単そうでなかなかできないことの一つでもあります。評価者がテストスキルをどうやって評価するか?がといった判断能力がないとできないです。

これ以降の上位レベルに対するチェックポイントも続いていくのですが,チェックポイントの説明を始めると止まらなくなりますのでここで一旦止めます.チェックリストの一覧はここから無料で入手できます。詳しくは,本を買って読んで欲しいです(笑)。

プロとアマチュアの境界線

ここからがテストのプロってなにか?に対する私の意見になります。
まず,プロって何か?です。一般的には,その仕事に対してお金をもらって行う人をプロと呼んだり,卓越した技術を持った人をプロと呼んだりします。けど,今時であれば,世の中のいろいろな仕事にて,アマチュアでも(お金をもらわずとも)いい仕事をする人もいますし,また,アマチュアでもお金を稼いでたりする人もいます。例えばカメラマンの例で考えてみます。これは前回のnoteのネタになったコラムを読んで非常に納得したのですが,昔はカメラを所有するのさえハードルが高く,それを使いこなす技術がないとプロになれなかったし,その作品を公開する手段も限られていましたが,今では,インスタグラムでの写真がプロ顔負けの素晴らしい作品でもお金をもらっているわけではない,とか逆にそういう写真を投稿してお金をもらう仕組みが世の中に存在していたりします。プロとアマチュアの境界線が曖昧になっています。

ソフトウェアテスト,だけに限らずIT業界全般で考えてみても,ソフトウェア開発のプロとアマチュアの曖昧感が否めません。人単価って考え方がありますが,実力と連動しているかはわからず,もっというと実力をどう評価するかといった仕組みもない,もしくは機能しきれていない,作るものは要求とは違うものができてしまう,お金をもらう価値のあるものを作れない,,,,などなど。そうじゃないというところもあると思いますが,プロだとうまくできるのか?アマチュアだとうまくできないのか?はもはやわかりません。

プロって何か?

私は,プロとはあるレベルの安定した供給ができる人を指すのだと思っています。一発屋ではダメなわけです。テストで言えば、すごくいいバグを見つけるってことがあるのですが、たまたま見つけるってわけではないところがポイントだと思います。プロだからといって百発百中ではないと思います。たまたまプロとは思えない人の方がすごくいいバグ(つまり,致命的なバグ)を見つけるかもしれないです。
けど、それが「たまたま」であればアマチュアです。確率高くできるかどうかです。また,プロは仕事の対価としてお金をもらうので,与えられた期間とコストの中でできることをマネジメントしなければならないです。

プロとして確率高くできるために必要なものは,「知識、経験」「テクニック、道具を使うスキル」「やり遂げるマインドセット」の3つが必要だと思っています。あとは、さらに良い仕事をするために必要となる、「バランス感覚」と「対象への愛情」の2つが必要です。

もうすぐ飛行機乗らなきゃいけないので、ここで一旦終わりで残りは後編にします。


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