みんなで小説を書こう!
皆さんは「じゃれ本」を知っているだろうか?
じゃれ本とは下記サイトにて発売されているボードゲームである
公式サイト : https://jarebon.com/
遊び方ガイドによると
「みんなでリレー小説形式で短くて不思議な物語「ショートショート」を書いていきます」と記載されている
その説明のとおり、このゲームは3~8名で分担して文を書いて行き、1つの小説を完成させるというのが主な遊び方となっている
しかし、
この遊びのキモは、文を書く際に「前の人が書いた部分」と「タイトル」しかわからない点にある
この制限によって、奇想天外な展開や一人で書くには到底思いつかない設定などが出来上がっていく
というのが遊び方ガイドの「不思議な物語」の部分であり、非常に面白い部分である
そして、この企画は端的に言うと
「みんなでじゃれ本やろーよ」
である。
ちなみに、もし興味をもっていただいたなら無料でプレイ可能なオンライン版もあるのでぜひ遊んでみてほしい
じゃれ本オンライン版 : https://online.jarebon.com/
ルール
※注 企画の都合上、本来のじゃれ本とは多少異なったルールにしています
8節ではなく10節に分けて文を作成する
執筆者には「書く部分が何節目ということ」と「前の人が書いた部分」と「タイトルとジャンル」を伝える
一人当たりおおよそ200文字~400文字
タイトルも下記サイトにてランダムに単語を出力し、それを繋ぐ。(語彙レベルは1~3まで、表示語数は2に設定)
ランダム単語ガチャ : https://tango-gacha.com/
1節目はこのnoteを書いている「yumon」が書く
2節目は少し特殊な方にお願いして出力してもらう
3節目以降は知り合いに頼んでルールに則り、別々の人に10節目まで書いてもらう
文を書いてくれる知り合い(担当順不同、敬称略)
東郷
いぬまみや
やり丸水仙
たけっち
ランリス
竹田
小林タリトン
Luluto
以上。
8名もこんな企画に参加していただきありがとうございます。
先入観を持たずに読んで貰いたいため、誰がどの部分を担当したかについては文の最後に記載させていただく
ジャンルは「ミステリー」とする
以下、本編
タイトル「漫画喫茶の鍵」
ピピピ、ピピピ、ピピピ。
俺は隣のシートの耳障りなアラームで強引に叩き起こされた。
「まだ2時間半しか寝られてねーじゃねぇか」目の前にある午前2時47分と光るブルーライトがまだ寝不足であることを教えてくれた。
ピピピ、ピピピ、ピピピ。
まだアラームは鳴っている。「ハァ…」隣に文句を言う気力も起きない。
こういう日はいっそのことしっかり起きた方がスッキリする、ドリンクバーへコーヒーを取りに行こう、とドアに手を掛けた。
しかし、俺がドアを開ける前に外から誰かが開けてきた。
「おっす!こんな時間にお疲れ!」
「……何だお前かよ。」
「『何だ』とはなんだ、『何だ』とは。私だって眠いんだぞ?」
「どうせ深夜アニメでも見てたんだろ?オタクは夜更かしが基本だからな。」
「ちっちっちっ!分かってないなぁ〜君は。深夜アニメは確かに面白いけど、私はちゃんと寝てるぞ!」
「はいはい、そうですか。それは良かったですね。」
「全く……もう少し興味を持てよぉ〜」
こいつは高校からの同級生である。見た目はまあ、可愛い方だと思う。少なくとも俺にとっては。性格は明るくて元気いっぱいだが、少しうざい。
「まあいいや、とりあえず早く注文して席取りしようぜ!私、もうお腹ペコペコだよ!」
「へいへい、分かったよ。」
俺たちはカウンターへ向かった。俺はアイスコーヒーを頼んで受け取り、席を探していると、彼女は既に窓際の端っこに座っていた。
「遅いぞ〜!早くこっち来てくれ!」
その刹那である。
「ーーえっ?」
彼女の首から上が、爆ぜた。
跡形もなく。
「な、なんだよ……どうなってんだ……!」
動悸と震えが止まらない。
さっきまで談笑してたはずの彼女の死を目の当たりにしたから。
俺はいったい何に巻き込まれたんだ?
『【彼女】は【知りすぎて】しまった』
「だ、だれだ!」
店内のスピーカーからノイズまじりに声が聞こえる。
知りすぎた? いったい何だってんだ!
『【知り】たければこの店の【向かい】にある【漫画喫茶】の【三号室】に【来】い』
「ふざけんじゃねぇ……」
『もう【謎】は始まっている。これは私の【復讐】なのだ』
「復讐……? いったい何だってんだ!」
『【健闘】を【祈】る』
言うだけ言ってスピーカーから音声は途絶えた。
「陰謀に巻き込まれたのか俺は……? いったい何だってんだ!」
そう思い彼女の死体越しにある窓の外を見ると、
まさに正面のビルの窓があり漫画喫茶の広告宣伝がパッと目に入る。 そこには本来「漫画喫茶」と書かれている部分を上書きするように、
『↑ お前も死ぬぞ』
という落書きが不気味に刻まれていた。 鼓動がドッと早まり肌がじっとりとしていく不快感が全身を覆っていく。 漫画や映画で見たことがあるような死が差し迫る恐怖というのはこういうものなのだろうか?
「死にたくない」
ただその言葉で頭の中がいっぱいになっていく。 グラグラとする視界の中で俺の視線は窓の外の落書きと彼女の死体を往復する。
ふとよぎる違和感。間違いなく俺は今何かがきらめいたのを感じた。 きっとこれは、俺が生きるために残された活路。
探せ探せ探せ探せ探せ探せ……
そしてピントが合う。血に塗れた彼女の胸ポケットから溢れた鍵。
俺は夢中でその鍵を掴むとバネが弾け飛ぶように正面のビルに駆け出した。
寂れた薄汚いビルの細い階段を人とぶつかるのも気にせずにただ一心不乱に駆け上がる。
その3階に辿り着くと
漫画喫茶の入口には誰もいなかった。
階段を駆け上がったばかりの俺は息を整えながら、入口に近づく。
ガラス張りのドアから中の様子を伺うが、人がいる気配はなかった。
俺は痛くなる程に握りしめていた手を開く。
血塗れた鍵。
これを彼女の胸ポケットから取り出した時の生気のない表情が急にフラッシュバックする。
死にたくない。
カツン、と音が聞こえた。
その音は不自然なまでに律儀にリズム良く、階段の下から聞こえてくる。 誰かが階段を上ってきている。
俺は慌ててドアに近づいて、鍵を差し込もうとした。
手が震えていたからだろう。
鍵穴に鍵を差し込もうとしたときに、鍵は俺の手の中にはなかった。
床に落ちた鍵がチャリン、と音を立てる。
不気味なまでに静かな空間に突如として生まれたその音を、可能な限り遠くまで運ぼうとするように、その不快な金属音は大きかった。
階段を上がる足音が速くなった気がする。
急いで鍵を拾う。
お前は誰だ。俺を殺そうとしているのか。
鍵を鍵穴に差し込もうとした。
半分程まで差し込まれた鍵はそれ以上入っていく気配がない。
当然右にも左にも曲がらなかった。
鍵が合わない。
扉の鍵穴に鍵が全く合わないことに思考が乱れてしまう。何故鍵が合わない?この漫画喫茶の入口の鍵じゃないのか?彼女は何故この鍵を持って死んでいた?
焦りを感じながらも、俺は鍵をポケットに戻し、必死に冷静になろうとする。
手をこまねいている場合ではない。何か現状を打開出来る何かを見つけなければ、次に彼女のようになるのはきっと俺なのだという悪い予感が頭を離れない。
何かないかと扉に触れると、意外にも扉はすっと開かれてしまった。なんと鍵は掛かっていなかった。
俺はなんて間抜けなんだと自分を心の中で責め、急いで中に入る。その時、ふと彼女の死んだ姿を思い出して鍵が空いているのは彼女のおかげかと思案した。きっとそうに違いない、彼女が死してなお俺をこの先に導いてくれているに違いない。
漫画喫茶の中に足を踏み入れると、薄暗い照明が部屋を照らし出す。一瞬の沈黙の後、壁際に並んだ漫画本が俺の視界に飛び込んできた。
漫画本を眺めながら部屋を探索すると、一つの机の上に置かれたメモが目に留まった。メモには手書きで「鍵をその先へ」と書かれていた。俺は不思議な感覚に引かれ、メモの指し示す方向へと進んでいく。
足音がさらに迫ってくる中、俺は廊下を進みながら心の中で祈りを捧げた。その祈りが何かしらの力を発揮することを望んでいた。
廊下の先に辿り着くと、一つのドアがあった。ドアノブに手を伸ばし、緊張しながら開けようとする。しかし、その瞬間、背後から駆け寄る足音が急速に近づいてくるのを感じた。
俺は決断し、ドアを開けることにした。そして、その先に広がる光景に驚愕する。
ドアの先にはシェフがいた。
純白のコック帽とキッチンコートを着こなし、微笑みながら鍋の中をレイドルでかき回している。
ふと周りを見渡すとどうやらここはキッチンのようで、彼はこの漫画喫茶の従業員だろうか。
スパイスの香りが部屋中に充満している。カレーを作っているんだろう。
顔つきもインド人、いやネパール人っぽい。
「どうしたんだい?」ネパール人が話しかけてきた。
そうだ、しまった、呆けている場合じゃなかった。
後ろから追われていたことを思い出した俺は慌てて振り返り、後ろのドアを閉めようとした。
しかし、追手のほうはドアの向こうで立ち止まっているようだった。
…もしや、カレーが苦手なのだろうか。
とにかくこれは好都合、ドアを閉め、キッチンにあるものでどうにかバリケードを作り、そのバリケードにもたれかかって一息つく。
「お客様は立ち入りお断りなんだけどな」
ネパールがあきれたような声で言う。
「すみません」
「いいですよ、今日は客もいないし、どうやら尋常ならぬ状況みたいだからね、君」
「お店やってたんですか?」
「え?やってないの?」
「えっわからないんですか」
「バイトだし」
「はあ」
なんだか話してて疲れる人だと思った。
それに店をやってたかどうかなんて今はどうでもいい。
あの追手をどうするか、ここで対策を立てなければならない。
「カレー食べる?」
ネパールがまた話しかけてくる。
カレー、カレーか…
「いただきます」
ボロボロのスツールに腰掛け、二人対面して、カレーを食べる。
カレーは明らかにレトルトの味だった。
「この漫画喫茶は不思議な場所でね。たとえば好きな作品のあのキャラに会いたいなとか、あの道具ほしいなとか、本気で念じれば、一時的に現れてくるんだ」
ネパールが急にとち狂ったようなことを言ってきた。
もう話しかけてこないでほしい。俺は忙しいんだ。
「好きな漫画なに?」
返事をしないのも気まずいので、諦めて会話することにした。
「デスノート」
「ああいいよねデスノート、絵がかっこよくて、読んだことないけど」
「…日本語お上手ですね」
「僕の名前は吉田直樹。長野県出身だ。
昔からよく外国人だと間違われるけど、正直不愉快だ。見た目で判断しないでほしいな」
「……ああ、FF作った人と同じ名前ですね」
「何?」
「あ、いや、大丈夫です」
やはり話しててどこか合わないなと、そう思わざるをえない。
俺はいら立ちを覚えながら、うまくもまずくもないカレーを完食した。
すると、座っているスツールに何か敷かれているものがあることに気づいた。
「これは…」デスノートだ。
黒い表紙に、禍々しいフォントで「DEATH NOTE」と書いてある。限りなく本物に見える。
※デスノート
2003年12月から2006年5月まで週刊少年ジャンプで連載されていたサイコ・サスペンス漫画。
名前を書いた人間を死なせることができるという死神のノート「デスノート」を巡るおはなし。
「ん?どうしたのそれ」
ネパールが、いや、吉田直樹が聞いてくる。
「…ボールペンとかあります?」
「あーあるよここに」
ネパールからボールペンを貰う。
「いや、ほんと、なんでしょうねこれ」
そう言いながら、俺はノートに吉田直樹と書いてみる。
確か、40秒くらいで心臓麻痺だっけ。
「えーなに書いてるの・・・うっ!」
ネパールが倒れた。
……死んでいる。
デスノート 本物だ!!
俺の頭の中が、ものすごい勢いで回転しだした。
どうやら追手はカレーが苦手、そしてこのデスノート……これだ!
このカレー、味はそうでもないが香りだけは一丁前のカレーだ、こいつで相手を怯ませられれば…
「仇は取るからな、ネパール」
俺は皿にカレーを盛りつけた。
右手にカレー、左手にデスノートを持ち、俺はバリケードの前で深呼吸をする。
この勝負、負けるわけにはいかない。
俺はバリケードを足でどかしてすぐさま臨戦態勢を取り、今一度冷静に部屋を見回した。
窓や扉といった次なる逃げ場は無い、なんの変哲もないキッチン。俺は否が応でも扉の向こうの追手に勝たなければいけないことを改めて理解する。
しかしもしこのまま逃げられる状況であったとしても俺は逃げなかっただろう。足元に転がっているネパール。こいつの仇を取らなくてはカレーを食うたびにこいつの死に顔を思い出し俺は後悔することになる。そんなのは御免被る。
そんなことを考えながらも注意深くドアを観察し、少しの物音も聞き逃さないよう聞き耳を立て続けてどのくらい経ったのだろうか。
額には汗が浮かび手汗は吹き出て今にも皿を滑り落としてしまいそうだった。こっちはお前の顔面にカレーを投げつける準備はとっくに出来ているのに。
それにあれからドアの向こうからは驚くほど物音がしなかった。呼吸音、衣擦れ音、そういった出て当然の音すら聞こえてこずに自分の鼓動が早まっていくのを感じるばかりだ。
そうだ、いくらなんでもおかしい。
結論から言うと俺はドアを開いてしまっていた。
そもそも何故追手はドアを開けなかったんだ?もしカレーが苦手だとして普通ドアの前で立ち止まるか?実はもう諦めて帰ってしまったのではないか?などとストレスが限界に達していた俺はそんな甘い妄想を信じてしまった。いや、信じたかったのだ。
扉を開けると一筋の冷たい風がキッチンに吹き込んだ。
部屋に充満したカレーの匂いは霧散し、新鮮な空気が肺を満たす。
しかしそんな安堵感もつかの間、部屋の外にはカレーに塗れ地に伏した追手の姿が見えた。
誰にやられた?
瞬間身体が硬直し、視線を辺りへと向ける。
そんな俺の様子を嘲笑うかのように、悠然と靴音を鳴らし柱の裏から現れる人影があった。
影が近づくにつれて、その姿が鮮明になっていく。
そいつは洗練されたスーツに身を包んだ男だった。
不敵な笑みを浮かべ、片手には空のカレー皿が、もう片手にはキーカードが握られている。
「お前は一体何者だ……?」
俺の声は混乱で震えていた。
ここは漫画喫茶であり、このキッチンは一般客への立ち入りは許されない場所だった。
だというのに、この男はまるで我が物顔で振る舞っている。
男は空の皿をシンクへ丁寧に置き、足元のネパールを一瞥すると、微笑みながら俺に手を差し出した。
「いいかい、君に真実を見せてあげよう」
洗練されたスーツに身を包んだ男の手を握ると、私は奇妙な感覚に包まれた。
そして刹那のうちに漫画喫茶のキッチンから南アジアへと引き込まれていった。
気がつくと私と男の目の前には、大きなネパールのような場所が広がっていた。ここでは全国民が、カレーを大量に作り働いている。独特のスパイスの匂いが鼻をくすぐったが不快ではなく、どこか懐かしい感じさえした。男は私に向かって微笑んだ。
「ここはカレーの真実を知るための場所だ。」
その微笑みの優しさから思わず私も微笑んだ。
そうか。私の好きなカレーはこのように作られているんだ。そんな風に感銘を受けた。
しかし男の言うカレーの真実とは、眼前にあるカレー作りの工程ではないと次の瞬間悟るのである。
洗練された男がつぶやく。
「さて、カレーの真実は今君の後ろにある」
私が振り向くと、そこには驚くべき巨体の大男がいた。その男は、目をキラキラと輝かせながら、主人公の方へと進み出た。
「俺カレー大好き!カレー大好き!ねえどう思う?!カレー大好き!ねえ!?ねえ!?どう思う!?俺カレーカレーカレーカレー大好き大好きカレーカレーカレーカレーカレーカレー大好き!!!ねえ!?カレーカレーカレー!!!」その大男の声は、強烈な迫力を持っていた。
私は驚き戸惑った。真実を受け入れるということはこんなにも……。
私が判断を遅らせているうちに大男は既に数歩先まで近づいてきている。
「カレーカレーカレー!!!俺カレー大好き!!!ねえ!?カレー大好き!!!ねえ!?」
先程までカレー作りに勤しんでいた全国民が私を見ている。眼前には大男が。
まずい。やられる。何か、何かを言わなければ。
「……カレーは辛えよな。だから旨い」
カレー好きの豪傑はその身体で私を飲み込む一歩手前、鼻先寸前で立ち止まった。
そして笑った。私も笑った。全国民は何事もなかったかのようにカレー作りに勤しんでいる。
こうして、たまたまだが私は難を逃れることができた。
君たちにも知っていてほしい。真実を知るということは甘くないということを。カレーだけに。
感想
yumon感想
ここまで読んでくれてありがとう、面白かったね。面白かったけど、タイトル「カレー屋の鍵」になっちゃったね…、カレーに急ハンドル切った奴を許すな。高校からの同級生もいなくなってるし…
ただ、序盤のシックなサスペンス感がかなり良かった。
カレー編からも、じゃれ本をやる上でオチが結構不安だったけど、カレーのバトンを繋いで繋いでちゃんとオチはついて良かったなぁ。
yumon総評
幸せ みんなありがとう
面白かったので、友人に読んでもらって感想を聞いてみました
友人感想
「お題はミステリーだと言っていた気がするのですが、私が読んだものはカレーギャグでした。」
「レトルトカレーを袋から鍋に開けて煮込むという奇怪な行動をしてたネパール、突然爆発した幼馴染の事を忘れてしまうくらいの不憫インパクトをキメてきたので好きになってしまいました。」
とのことです。
後は誰がどのパートを担当したかを追記したバージョンになります。
ひぐらしのなく頃にで言う解答編、名探偵コナンで言うところの眠りの小五郎パートです。
+筆者版
1人目
yumon
ピピピ、ピピピ、ピピピ。
俺は隣のシートの耳障りなアラームで強引に叩き起こされた。
「まだ2時間半しか寝られてねーじゃねぇか」目の前にある午前2時47分と光るブルーライトがまだ寝不足であることを教えてくれた。
ピピピ、ピピピ、ピピピ。
まだアラームは鳴っている。「ハァ…」隣に文句を言う気力も起きない。
こういう日はいっそのことしっかり起きた方がスッキリする、ドリンクバーへコーヒーを取りに行こう、とドアに手を掛けた。
しかし、俺がドアを開ける前に外から誰かが開けてきた。
2人目
AIのべりすと
「おっす!こんな時間にお疲れ!」
「……何だお前かよ。」
「『何だ』とはなんだ、『何だ』とは。私だって眠いんだぞ?」
「どうせ深夜アニメでも見てたんだろ?オタクは夜更かしが基本だからな。」
「ちっちっちっ!分かってないなぁ〜君は。深夜アニメは確かに面白いけど、私はちゃんと寝てるぞ!」
「はいはい、そうですか。それは良かったですね。」
「全く……もう少し興味を持てよぉ〜」
こいつは高校からの同級生である。見た目はまあ、可愛い方だと思う。少なくとも俺にとっては。性格は明るくて元気いっぱいだが、少しうざい。
「まあいいや、とりあえず早く注文して席取りしようぜ!私、もうお腹ペコペコだよ!」
「へいへい、分かったよ。」
俺たちはカウンターへ向かった。俺はアイスコーヒーを頼んで受け取り、席を探していると、彼女は既に窓際の端っこに座っていた。
「遅いぞ〜!早くこっち来てくれ!」
3人目
いぬまみや
その刹那である。
「ーーえっ?」
彼女の首から上が、爆ぜた。
跡形もなく。
「な、なんだよ……どうなってんだ……!」
動悸と震えが止まらない。
さっきまで談笑してたはずの彼女の死を目の当たりにしたから。
俺はいったい何に巻き込まれたんだ?
『【彼女】は【知りすぎて】しまった』
「だ、だれだ!」
店内のスピーカーからノイズまじりに声が聞こえる。
知りすぎた? いったい何だってんだ!
『【知り】たければこの店の【向かい】にある【漫画喫茶】の【三号室】に【来】い』
「ふざけんじゃねぇ……」
『もう【謎】は始まっている。これは私の【復讐】なのだ』
「復讐……? いったい何だってんだ!」
『【健闘】を【祈】る』
言うだけ言ってスピーカーから音声は途絶えた。
「陰謀に巻き込まれたのか俺は……? いったい何だってんだ!」
そう思い彼女の死体越しにある窓の外を見ると、
4人目
Luluto
まさに正面のビルの窓があり漫画喫茶の広告宣伝がパッと目に入る。 そこには本来「漫画喫茶」と書かれている部分を上書きするように、
『↑ お前も死ぬぞ』
という落書きが不気味に刻まれていた。 鼓動がドッと早まり肌がじっとりとしていく不快感が全身を覆っていく。 漫画や映画で見たことがあるような死が差し迫る恐怖というのはこういうものなのだろうか?
「死にたくない」
ただその言葉で頭の中がいっぱいになっていく。 グラグラとする視界の中で俺の視線は窓の外の落書きと彼女の死体を往復する。
ふとよぎる違和感。間違いなく俺は今何かがきらめいたのを感じた。 きっとこれは、俺が生きるために残された活路。
探せ探せ探せ探せ探せ探せ……
そしてピントが合う。血に塗れた彼女の胸ポケットから溢れた鍵。
俺は夢中でその鍵を掴むとバネが弾け飛ぶように正面のビルに駆け出した。
寂れた薄汚いビルの細い階段を人とぶつかるのも気にせずにただ一心不乱に駆け上がる。
その3階に辿り着くと
5人目
竹田
漫画喫茶の入口には誰もいなかった。
階段を駆け上がったばかりの俺は息を整えながら、入口に近づく。
ガラス張りのドアから中の様子を伺うが、人がいる気配はなかった。
俺は痛くなる程に握りしめていた手を開く。
血塗れた鍵。
これを彼女の胸ポケットから取り出した時の生気のない表情が急にフラッシュバックする。
死にたくない。
カツン、と音が聞こえた。
その音は不自然なまでに律儀にリズム良く、階段の下から聞こえてくる。 誰かが階段を上ってきている。
俺は慌ててドアに近づいて、鍵を差し込もうとした。
手が震えていたからだろう。
鍵穴に鍵を差し込もうとしたときに、鍵は俺の手の中にはなかった。
床に落ちた鍵がチャリン、と音を立てる。
不気味なまでに静かな空間に突如として生まれたその音を、可能な限り遠くまで運ぼうとするように、その不快な金属音は大きかった。
階段を上がる足音が速くなった気がする。
急いで鍵を拾う。
お前は誰だ。俺を殺そうとしているのか。
鍵を鍵穴に差し込もうとした。
半分程まで差し込まれた鍵はそれ以上入っていく気配がない。
当然右にも左にも曲がらなかった。
鍵が合わない。
6人目
東郷
扉の鍵穴に鍵が全く合わないことに思考が乱れてしまう。何故鍵が合わない?この漫画喫茶の入口の鍵じゃないのか?彼女は何故この鍵を持って死んでいた?
焦りを感じながらも、俺は鍵をポケットに戻し、必死に冷静になろうとする。
手をこまねいている場合ではない。何か現状を打開出来る何かを見つけなければ、次に彼女のようになるのはきっと俺なのだという悪い予感が頭を離れない。
何かないかと扉に触れると、意外にも扉はすっと開かれてしまった。なんと鍵は掛かっていなかった。
俺はなんて間抜けなんだと自分を心の中で責め、急いで中に入る。その時、ふと彼女の死んだ姿を思い出して鍵が空いているのは彼女のおかげかと思案した。きっとそうに違いない、彼女が死してなお俺をこの先に導いてくれているに違いない。
漫画喫茶の中に足を踏み入れると、薄暗い照明が部屋を照らし出す。一瞬の沈黙の後、壁際に並んだ漫画本が俺の視界に飛び込んできた。
漫画本を眺めながら部屋を探索すると、一つの机の上に置かれたメモが目に留まった。メモには手書きで「鍵をその先へ」と書かれていた。俺は不思議な感覚に引かれ、メモの指し示す方向へと進んでいく。
足音がさらに迫ってくる中、俺は廊下を進みながら心の中で祈りを捧げた。その祈りが何かしらの力を発揮することを望んでいた。
廊下の先に辿り着くと、一つのドアがあった。ドアノブに手を伸ばし、緊張しながら開けようとする。しかし、その瞬間、背後から駆け寄る足音が急速に近づいてくるのを感じた。
俺は決断し、ドアを開けることにした。そして、その先に広がる光景に驚愕する。
7人目
ランリス
ドアの先にはシェフがいた。
純白のコック帽とキッチンコートを着こなし、微笑みながら鍋の中をレイドルでかき回している。
ふと周りを見渡すとどうやらここはキッチンのようで、彼はこの漫画喫茶の従業員だろうか。
スパイスの香りが部屋中に充満している。カレーを作っているんだろう。
顔つきもインド人、いやネパール人っぽい。
「どうしたんだい?」ネパール人が話しかけてきた。
そうだ、しまった、呆けている場合じゃなかった。
後ろから追われていたことを思い出した俺は慌てて振り返り、後ろのドアを閉めようとした。
しかし、追手のほうはドアの向こうで立ち止まっているようだった。
…もしや、カレーが苦手なのだろうか。
とにかくこれは好都合、ドアを閉め、キッチンにあるものでどうにかバリケードを作り、そのバリケードにもたれかかって一息つく。
「お客様は立ち入りお断りなんだけどな」
ネパールがあきれたような声で言う。
「すみません」
「いいですよ、今日は客もいないし、どうやら尋常ならぬ状況みたいだからね、君」
「お店やってたんですか?」
「え?やってないの?」
「えっわからないんですか」
「バイトだし」
「はあ」
なんだか話してて疲れる人だと思った。
それに店をやってたかどうかなんて今はどうでもいい。
あの追手をどうするか、ここで対策を立てなければならない。
「カレー食べる?」
ネパールがまた話しかけてくる。
カレー、カレーか…
「いただきます」
ボロボロのスツールに腰掛け、二人対面して、カレーを食べる。
カレーは明らかにレトルトの味だった。
「この漫画喫茶は不思議な場所でね。たとえば好きな作品のあのキャラに会いたいなとか、あの道具ほしいなとか、本気で念じれば、一時的に現れてくるんだ」
ネパールが急にとち狂ったようなことを言ってきた。
もう話しかけてこないでほしい。俺は忙しいんだ。
「好きな漫画なに?」
返事をしないのも気まずいので、諦めて会話することにした。
「デスノート」
「ああいいよねデスノート、絵がかっこよくて、読んだことないけど」
「…日本語お上手ですね」
「僕の名前は吉田直樹。長野県出身だ。
昔からよく外国人だと間違われるけど、正直不愉快だ。見た目で判断しないでほしいな」
「……ああ、FF作った人と同じ名前ですね」
「何?」
「あ、いや、大丈夫です」
やはり話しててどこか合わないなと、そう思わざるをえない。
俺はいら立ちを覚えながら、うまくもまずくもないカレーを完食した。
すると、座っているスツールに何か敷かれているものがあることに気づいた。
「これは…」デスノートだ。
黒い表紙に、禍々しいフォントで「DEATH NOTE」と書いてある。限りなく本物に見える。
※デスノート
2003年12月から2006年5月まで週刊少年ジャンプで連載されていたサイコ・サスペンス漫画。
名前を書いた人間を死なせることができるという死神のノート「デスノート」を巡るおはなし。
「ん?どうしたのそれ」
ネパールが、いや、吉田直樹が聞いてくる。
「…ボールペンとかあります?」
「あーあるよここに」
ネパールからボールペンを貰う。
「いや、ほんと、なんでしょうねこれ」
そう言いながら、俺はノートに吉田直樹と書いてみる。
確か、40秒くらいで心臓麻痺だっけ。
「えーなに書いてるの・・・うっ!」
ネパールが倒れた。
……死んでいる。
デスノート 本物だ!!
俺の頭の中が、ものすごい勢いで回転しだした。
どうやら追手はカレーが苦手、そしてこのデスノート……これだ!
このカレー、味はそうでもないが香りだけは一丁前のカレーだ、こいつで相手を怯ませられれば…
「仇は取るからな、ネパール」
俺は皿にカレーを盛りつけた。
右手にカレー、左手にデスノートを持ち、俺はバリケードの前で深呼吸をする。
この勝負、負けるわけにはいかない。
8人目
やり丸水仙
俺はバリケードを足でどかしてすぐさま臨戦態勢を取り、今一度冷静に部屋を見回した。
窓や扉といった次なる逃げ場は無い、なんの変哲もないキッチン。俺は否が応でも扉の向こうの追手に勝たなければいけないことを改めて理解する。
しかしもしこのまま逃げられる状況であったとしても俺は逃げなかっただろう。足元に転がっているネパール。こいつの仇を取らなくてはカレーを食うたびにこいつの死に顔を思い出し俺は後悔することになる。そんなのは御免被る。
そんなことを考えながらも注意深くドアを観察し、少しの物音も聞き逃さないよう聞き耳を立て続けてどのくらい経ったのだろうか。
額には汗が浮かび手汗は吹き出て今にも皿を滑り落としてしまいそうだった。こっちはお前の顔面にカレーを投げつける準備はとっくに出来ているのに。
それにあれからドアの向こうからは驚くほど物音がしなかった。呼吸音、衣擦れ音、そういった出て当然の音すら聞こえてこずに自分の鼓動が早まっていくのを感じるばかりだ。
そうだ、いくらなんでもおかしい。
結論から言うと俺はドアを開いてしまっていた。
そもそも何故追手はドアを開けなかったんだ?もしカレーが苦手だとして普通ドアの前で立ち止まるか?実はもう諦めて帰ってしまったのではないか?などとストレスが限界に達していた俺はそんな甘い妄想を信じてしまった。いや、信じたかったのだ。
9人目
小林タリトン
扉を開けると一筋の冷たい風がキッチンに吹き込んだ。
部屋に充満したカレーの匂いは霧散し、新鮮な空気が肺を満たす。
しかしそんな安堵感もつかの間、部屋の外にはカレーに塗れ地に伏した追手の姿が見えた。
誰にやられた?
瞬間身体が硬直し、視線を辺りへと向ける。
そんな俺の様子を嘲笑うかのように、悠然と靴音を鳴らし柱の裏から現れる人影があった。
影が近づくにつれて、その姿が鮮明になっていく。
そいつは洗練されたスーツに身を包んだ男だった。
不敵な笑みを浮かべ、片手には空のカレー皿が、もう片手にはキーカードが握られている。
「お前は一体何者だ……?」
俺の声は混乱で震えていた。
ここは漫画喫茶であり、このキッチンは一般客への立ち入りは許されない場所だった。
だというのに、この男はまるで我が物顔で振る舞っている。
男は空の皿をシンクへ丁寧に置き、足元のネパールを一瞥すると、微笑みながら俺に手を差し出した。
「いいかい、君に真実を見せてあげよう」
10人目
たけっち
洗練されたスーツに身を包んだ男の手を握ると、私は奇妙な感覚に包まれた。
そして刹那のうちに漫画喫茶のキッチンから南アジアへと引き込まれていった。
気がつくと私と男の目の前には、大きなネパールのような場所が広がっていた。ここでは全国民が、カレーを大量に作り働いている。独特のスパイスの匂いが鼻をくすぐったが不快ではなく、どこか懐かしい感じさえした。男は私に向かって微笑んだ。
「ここはカレーの真実を知るための場所だ。」
その微笑みの優しさから思わず私も微笑んだ。
そうか。私の好きなカレーはこのように作られているんだ。そんな風に感銘を受けた。
しかし男の言うカレーの真実とは、眼前にあるカレー作りの工程ではないと次の瞬間悟るのである。
洗練された男がつぶやく。
「さて、カレーの真実は今君の後ろにある」
私が振り向くと、そこには驚くべき巨体の大男がいた。その男は、目をキラキラと輝かせながら、主人公の方へと進み出た。
「俺カレー大好き!カレー大好き!ねえどう思う?!カレー大好き!ねえ!?ねえ!?どう思う!?俺カレーカレーカレーカレー大好き大好きカレーカレーカレーカレーカレーカレー大好き!!!ねえ!?カレーカレーカレー!!!」その大男の声は、強烈な迫力を持っていた。
私は驚き戸惑った。真実を受け入れるということはこんなにも……。
私が判断を遅らせているうちに大男は既に数歩先まで近づいてきている。
「カレーカレーカレー!!!俺カレー大好き!!!ねえ!?カレー大好き!!!ねえ!?」
先程までカレー作りに勤しんでいた全国民が私を見ている。眼前には大男が。
まずい。やられる。何か、何かを言わなければ。
「……カレーは辛えよな。だから旨い」
カレー好きの豪傑はその身体で私を飲み込む一歩手前、鼻先寸前で立ち止まった。
そして笑った。私も笑った。全国民は何事もなかったかのようにカレー作りに勤しんでいる。
こうして、たまたまだが私は難を逃れることができた。
君たちにも知っていてほしい。真実を知るということは甘くないということを。カレーだけに。
お礼
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
参加して頂いた方々も、かなり難しかったかと思いますが、執筆して頂いて本当にありがとうございました。
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