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【書籍】まず、ちゃんと聴く。
今までも何度も「聞く」と「聴く」は違うと聞いてきた。
一般的には「意識的に耳を傾ける行為」を「聴く」と言われる事が多い。
この本の「聴く」の定義は一味違った。
著者は、一般的な「聴く」を更に、①自分の解釈を入れる「withジャッジメント」と②自分の解釈を入れない「withoutジャッジメント」の二つに分けることを提案している。
これは私の様な「解決」思考な人間には非常に難しい。
人の話を聞きながら、すぐに、「なんでだろう」「どうすれば解決するだろう」と考えてしまいがちだからだ。
一方、withoutジャッジメントで「聴く」には、相手の話を相手の視点から解釈しようとする必要がある。「受け取る」「寄り添う」姿勢だ。それによって「シンパシー(同調)」ではなく「エンパシー(共感)」が生まれやすいと。
「聞く」は相手に対する評価、分析を行い「Why(なぜ)」を考える。一方「聴く」は、相手の関心ごとに関心を向け、「4W1H(なに)」を考える。
この立ち位置の違いによって、受け手に与える印象が大きく変わる。
著者はこの本のタイトルを三つに分解して説明を進める。
「聴く」の説明の次は「ちゃんと」だ。
「ちゃんと聴く」とは、「相手の言動の背景には、肯定的意図があると信じている状態で聴く」という「あり方」であると定義される。
一方「やり方」は「ちゃんと聴けているか」ではなく「うまく聴けているか」を決めるもの、いわゆるスキルであり、スキルが高くても「あり方」が間違っている場合は「ちゃんと」聴けるわけではない。
著者は「やり方」もさらに「非言語スキル」と「言語スキル」に分解する。
更に「聴く力」を発揮するには「コンディション」も重要だと説く。
上記全てをまとめると、以下の様な数式となる。
聴く力=聴く技術×コンディション
聴く技術=あり方(信念)×やり方(非言語スキル×言語スキル)
タイトル分解説明の最後は「まず」だ。
「聴くだけでは、うまくいかないことがある」ことは分かった上で、アドバイスをするにしても、反対意見を伝えるにしても、「まず」ちゃんと聴いてからのほうが効率的、かつ気持ちよくことが進むのではないかと著者は言う。
「まず」ちゃんと聴くにあたり、今度は「聴く力」を下の二つに分ける。
①なんでも話してもらう力=あり方である信念と非言語スキル
②解像度を上げる力=言語スキル
まず相手の見ている「絵」を出してもらい、その解像度を一緒に上げる。
私見だが、これはビジネスの場面でも非常に重要だと感じた。
如何に相手の見ている「絵」の全体像を掴まないまま枝葉末節の話に終始し根本問題が解決しないケースの多いことか。自分の見ている絵の全体像を示さずいきなり枝葉末節の話に入ってしまい、伝えるべきことが伝えられないケースの多いことか。ただただ反省する。
タイトルの説明だけで随分と長くなってしまったので、ここから先はメモの羅列とさせていただく。
10回中9回のミスに対する伝え方を工夫するよりも、1回のミスをしなかった時を見逃さずに褒めたり、感謝や貢献を伝える。
意図と行為(振る舞い)を切り分ける。
「意図」を建設的な「行為」で満たせる方法を考える。
異なる「意見」をぶつけ合う前に、お互いの「意図」を交換し合う。
相手の話をともに体験しようと意識して話を聴くと、非言語が自然と相手と似た状態になる。
勝手に言い換えず、相手と同じ言葉を使う。
「聴くMAP(未来、現在、過去)×(+/ー)×(具体的/抽象的)」を脳内に持っておく。
話を聴く時の4つの質問(展開、具体化、抽象化、俯瞰)
言葉の具体化「っていうと?」
人間は、指摘をされ、そのことを意識すると、その事象の発生頻度が高まるという習性を持っている。
フィードバックマトリクス(縦軸を貢献度の高低、横軸を発生頻度の低高とした四象限)
ゾーン1:貢献度高・発生頻度高=きちんと言葉にして伝える
ゾーン2:4つの伝え方(厳しく/優しく×不足を伝える/理想を伝える)が考えられるが、難易度が高い
ゾーン3:見逃さずにここに対して声を掛ける。その際、他人と比較して貢献度が高いか低いかではなく、いつもより高い貢献度の仕事をしたかどうかを評価する。
コミュニケーションは科学。何が目的か、どうなりたいかに向けて、解決方法を探す。
Positive Intension (PI)マトリクスを頭に入れておく
縦軸上から「言動」「思考」「感情」「価値観・信念」
横軸左から「人生」「キャリア」「役職」「タスク」
この右上は「聞く(伝える)withジャッジメント」ゾーン
左下は「聴くwithoutジャッジメント」ゾーン
こだわりがある時こそ、まずちゃんと聴く。「一般的には」「普通は」「客観的に見たら」「みんな」「他の人も」は要注意。
最初の5秒、最初の一行は「聴く」
相手の関心ごとに関心を寄せて話すテーマを選ぶ
「観察力」をアンラーンしてリスキリング(アップデート)する。
「聴く」と「伝える」の選択には「相手」「自分」「関係性」が影響する。
今年は「まず、ちゃんと聴く。」を意識していきたい。