聖なる夜の静かな癒し
今年のクリスマスのBGMはこれ。(暇な人は聴きながら読んでくださいね、きれいな鎮魂歌です)
オリエント急行殺人事件は子供の頃読んでぼろぼろ泣いた記憶があり、ローレンバコールの映画も見たが、現代風に大分アレンジされたこの映画が一番しっくりくる。
ずっと気高さを崩さなかった侯爵夫人(ジュディ・ビンチ)が、一瞬だけ感情をあらわにするシーン、熟年遊び上手女性に見える元女優(ミシェル ファイファー)の
「みな、いい人たちなのよ」
という台詞も効いている。
人種を超えた愛、父親との拗れた愛情、薬とお酒が無いと怖くて生きていけない程傷ついた心、自分を愛してくれた女性の自死、時代を超えていつでも起こり得ること。
この事件が起こったのはセルビア辺りの筈で、私もその路線は乗車した事もあるし、東欧の雪の深さと重さもよく知っている。ユーゴスラビアの冬は厳しいからこそ、家の中は文字通り本当に暖かい。で、そういう場所に限って虐殺が起こる。そういう様子を足かけ五年も見て来たからなあ。家族の為に人を殺めた人達、突然殺された人達、平和と安定を求めて力を尽くしてきたその道半ばで亡くなった人達、そして残された家族。
今年は、私自身も、子パパの引退や、子育て卒業とか元の業界に戻ったとか、いろいろあったけれども、中でも子供の頃にシンデレラの様に見ていた #松田聖子 さんを襲った悲劇は同年代の方にしか判らない衝撃・・じゃないかと思っている。
産まれる前のワクワクした気持ち、初めて対面した時の歓び、そしてそれからずっと一緒に過ごしてきた祝福された時間。親っていう人種は皆、その思い出を胸で温めながら、子供が巣立った後の人生を生きていく。
そのこれからを支えてくれる幸せな思い出が、一転して自分の心を切り裂くものになってしまう。
あの出来事を知った私の世代はみなそれを恐れている。
これが自分に起こったらどうやってこれから生きていくのだろうという恐怖。だから聖子さんに対してはみなそっとしている。ネタを売る事が文字通り商売のTVや週刊誌でさえ。
生きているのが本当につらかったのなら、それは一つの選択だと思うけれども、子供が死ぬという事は残された親の心も殺してしまう事。これ以上は書かないけれど。
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