【1,989】一緒に仕事をするアメリカ人の、選挙結果後の反応
定期的に共同作業をしているアメリカ人が少なからず居るが、その人たちは私よりも遥かに年上で、それこそ私の両親に近い年齢だったりする。
もっとも、頭がボケているなんてことは一切無く、私も驚くぐらい、きっちり整ったフォーマットのワードやエクセルを作成してくる(例えば、数字を右揃えにする事で、銀行の正式書類風の見た目になる、など)ので、一緒に仕事をしていても安定感がまるで違う。
東海岸や西海岸に住むアメリカ人が面白いのは、様々な人種と触れあったり、アメリカ国外へ旅行するのが目立つせいか、年齢を重ねているひとほど視点が国際的で、知識も経験も豊富、それでいて若い層と話すことに抵抗が無く、偉そうな態度を取らない、という歳の巧い取り方を経ているパターンが、少なくない事。
私自身もそうした人々からかなり珍しがられているもので、互いに都合がつく時は、近場のカフェなどで落ち合って、2~3時間、特に最近は政治の事を、あれこれ意見交換したりする。
そのひとたちにとっては、そもそもアカデミックな会話をする機会があまり無く、日本人でコッチのトーク番組を理解できるひとは滅多に観ない(それも日本人的な視点から、それらの番組を観れて意見できる)、との事だから。
で、今朝、そのうちの1人から、久々に近況報告のメールが来ていて、2017年も宜しくお願いします的な、今年を締める挨拶みたいな内容だったが、その中で、こう書かれていた。
I bet you've had lots to watch on John Oliver and other news channels about the election. The results were a bit of a shock. But I am adopting a wait and watch attitude. If nothing else it has electrified people and I hope they continue to participate as active citizens. It would be terrific if more people paid attention to what goes on in Washington and Sacramento. And then were willing to take effective action to right wrongs.(たぶんあなたなら、ジョン・オリヴァの番組や各ニュース番組で今回の選挙結果の報道をたくさん観ていると思うけれど、あれは私にもショックでした。けれど私は、辛抱強く監査する姿勢を取る事にします。あの結果が人々に衝撃を与えられれば、アメリカに生きる、行動的な国民としてのこれからが、期待できるでしょう。ワシントンやサクラメントで何が起こっているのかにもっと沢山の国民が目を向けられれば、素晴らしいとも思います。そして、何が正しくて間違っているのか、に対しても)
私はすかさず、以下のように返信をした。
Last Tuesday midnight, I was also shocked by the result and disappointed by those white voters who evaded Clinton. Yet, after seeing Trump's victory speech, Clinton's concession speech and Obama's invitation of Trump to Whitehouse, I acknowledged myself once again that, this country consists of people who make lots of mistakes but confront and overcome those issues much better than any other countries. Even Trump was elected, his surroundings would stop any kind of extreme activities and, we the people have the rights to go against inconsistencies and discrepancies.(火曜深夜の結果は私も衝撃を受けましたし、クリントンを避けた投票者たちに幻滅もしました。ですが、トランプのビクトリー・スピーチ、クリントンの譲歩スピーチに、オバマ大統領のホワイトハウスへのトランプ招き入れを観ていて、この国は間違いをしょっちゅうするがそれをどんな世界よりも巧く建て直す国民によって成り立っている、というのを改めて痛感しました。たとえトランプが選ばれようと、彼の周囲には極端な行動を実行させない人々が出てくるでしょうし、我々アメリカに住む国民は矛盾や不一致に対してとことん抵抗する権利がありますから)
ちょうど昨晩の、スティーブン・コルベア(Stephen Colbert)が舵を取るレイトショー(The Late Show)に、サンダース上院議員がゲスト出演して、これからのアメリカがどうあるべきかを語っていたが、流石テレビ映えするというか、こういう軸が絶対にブレない人物がホワイトハウスに関わっているだけでも十分な、抑止力になるだろう。以下、ハイライトを引用。
Above and beyond the incredible bigotry of the Trump campaign, what he did was he tapped into a lot of pain and anxiety and angst the American people are feeling, which is very rarely reported in the media or understood by the punditry.(あまりにも苛烈なトランプ氏のキャンペーンはさておき、これはメディアや専門家の意見に殆ど見られなかった事だが、彼が成し遂げたのは、アメリカ国民の大半が感じる痛みや不安、怒りといった感情に、直接踏み込んできたことだ)
Our job is to bring tens of millions of people together to say, No. 1, this country is not an oligarchy - it’s a democracy. And No. 2, you’re not going to split us up by attacking our Muslim friends or our gay friends or women or anybody else. We’re going to stand together and fight for a government and an economy that works for all of us.(これからの我々の使命は、何千万という人々を結託させる事で、先ず第一に、この国は民主主義で成り立っており、少数独裁政治ではない。第二に、イスラムからの友人やゲイの友人、女性、その他の様々な人々を攻撃し、分断するような真似はしない。全員で立ちあがって、国民にとって理想的な政治と経済を目指すべく、共に闘うべきだ)
15日付のThe Daily Beastの記事で、昨晩の対談の文字起こしがかなりされているので、内容詳細に興味があるなら、こちらも一読を勧めたい。
尚この日の放送は冒頭で、日曜にトランプが報道名物番組「60 Minutes」に出演した際のクリップを勝手にツギハギし、偽のインタビューを行うと言う、この番組名物のコーナーを敢行していて、そちらも必見。「...get the people that are criminal, and have criminal records, gang members, drug dealers. We have lots of these people.」の部分があまりに流麗過ぎて吹いた。