【3,622】2016.12.08
最近は朝6時の気温に身体が慣れてきたのか、早朝の平均が45F(7.2℃)であっても、布団から出るのが早くなってきた気がする。砂糖もクリームも入れず、そのままブラックで熱いコーヒーを一気飲みすれば、頭もハッキリする。
今日の昼にようやく修理工から車を回収できるものの、早朝からダウンタウンLAまで電車で向かわないとならなかった妻の送迎を行いながら、なんだか本当に旦那になったのを実感。まあ車で3分の場所にある駅までの送迎、程度ではあるが。
朝食を摂ってから片付けないとならない他の事柄を処理し、次の業務を待つ間に、知人から教えてもらった「Cucumber Quest」を読んでみる。作者のプロフィールが少ないので、LA在住のアメリカ人女性アーティスト、ぐらいしか分からないが、2011年から始まったこのウェブ漫画、既に4巻分のボリュームでトータル755ページ、さらに毎週金曜日に最新のページがアップされるとの事で、かなりの読み応え。しかも、日本特有の「Kawaii」ポップさを全面に取り込みつつ、コマ運びや物語の膨らませ方はヤンチャなアメコミと日本の少年向けマンガの中間を行くような感じで、とても独創的で面白い。作者のメアドはちゃんと公開されていたので、これがやる気になればと思い、せっかくだから簡単な感想を送っておいた。
また、昨日読みかけだった、小松和彦・飯倉義之監修「日本の妖怪完全ビジュアルガイド」の続きを読む。日本全国に点在する有名な妖怪の数々を、毒々しいカラーイラストと読み易い文章で見せてくれる興味深い本で、途中に挟まれているコラムも読み応えあり。古今亭志ん生の噺にも登場する、墨田区本所七不思議辺りの解説も分かり易いし、それぞれの妖怪にレーダーチャート(妖力4、知名度3、強さ5、みたいな感じで)を付けている辺りも、情報の密度を程良く増している。二口女なんかは今の大人の歪んだ視点でついsexual通り越してsensualに見がちだが、検索したらしたで、日本人の持つイマジネーションの業に圧倒されるものが普通に出てきたので、公共の場でノートPC開いたままで検索せんで良かったわよ。
改行無しでパラグラフを作る上記みたいな文章だと、木の葉を隠すなら森の中という慣用句も同時に浮かぶが、それはともかく、新居に関して妻に頼まれたお使いがあったので、お昼からは外出。
思ったよりもお使いが早く終わったので、先週に地元のインディ系映画館へ行った時に観れなかった「Moonlight」を観ておく。
今回は予告編に間に合ったのだが、ラメル・シアターってこんな予告編に割く時間が短かったっけ、というぐらい、すぐ終わった。
その中で、「WATARIDORI(Winged Migration)」の監督さんの久々の新作「Seasons」は、大自然の美しさが綺麗な映像に収められていて、2分間の予告編だけならば凄いインパクトだったが、一般客からの評価が低いので、本編は間延びしそう。
あと、街に下りてくるフランケンシュタインをこのホリデーシーズンに合わせて心温まるように描いたアップルのCMも、2分とは思えない密度とデキだなあ、と。
で、ムーンライト。
これまた語りたいトコ山積みだったのでそれは今度に回すが、アカデミー賞に影響を与えるニューヨーク映画批評家協会賞(NYFCC)やロサンゼルス映画批評家協会賞(LAFCA)、放送映画批評家協会賞(Critic's Choice Awards)の各種アワードに名を連ねるだけはある、仕掛けの多い長編だった。
親のせいで孤独や寂しさを味わいながら育つ、という主人公に対して、どこまで感情移入できるかがひとつの見所だと思うが、それ以外にも「だから批評家とかから異常な高評価なのね」を読み取れた部分がたくさんあったので、これも早いうちに観ておいて良かった。ロッテンの総意「...offer a remarkable and brilliantly crafted look at lives too rarely seen in cinema.(映画では滅多に観られない人々の生き様を映したものを、驚くべき且つ、鮮やかに作り上げられた形で、与えてくれる)」は、作品の特徴を的確に捉えてる。
そういえばLAFCAは長編アニメ部門で「Your Name」を選出していたのが、NBCを始めとするアメリカの主要メディアでもニュースになっていたが、無難にズートピアを選出していたNYFCCと随分と違う姿勢を示してきたというか、LAFCAの長編アニメ部門はアカデミーに強く、過去半分ぐらいがアカデミー受賞に繋がっているので、「君の名は」が本当に長編アニメ部門を受賞する可能性も十分に出てきた感が強い。
「Your Name」に関しての英文記事だと、EWが新海監督とインタビューを行った記事が面白く、特に監督の「I think [awards are a] testament to all of the fans and staff that helped support the movie and helped create it and have been with me throughout my entire career.(賞の数々に関しては、作品を支えて、作らせてくれて、僕のやることに付き合ってくれた全てのファンやスタッフへの証左、じゃないかなと思います)」というコメントに、今の謙虚な姿勢が素直に出ている感じがして、好感が持てる。
たまたまそのEWの関連記事で、サンクスギビングに合わせて2017年11月22日公開予定の、ピクサーのオリジナル最新作「Coco」のプロットに関するレポートもあったが、キャストが全てラテン系で、メキシコの文化的な部分に全力で踏み込んだ作品になるとの事で、勿論家族向けを前提としつつ、ピクサーらしい風刺も盛り込んでくるだろうから、これは来年のサンクスギビングの時期が楽しみだ。
また、先週観て衝撃を受けた「Elle」の主演、イザベル・ユペール(Isabelle Huppert)が、NYFCCとLAFCAの両方で主演女優賞を勝ち取っているので、このひとがアカデミー賞を獲る可能性も非常に高い。
そういえば今日観た予告編でも、同じくイザベルさん主演の「Things to Come」が流れていたな。パリで高校の先生をしている、との設定らしいが、けっこうヒネった中年ドラマとして普通に面白そう。
しかも来年のオスカーは、ジミー・キンメルが初の司会をするのが発表された上、それに対してキンメルは自身のツイッターで「This is not a prank. And if it is, my revenge on @TheAcademy will be terrible & sweet.(これはイタズラじゃないよ。もしそうなら、協会に対する仕返しは、最悪で甘美なものになるだろうね)」と先手を打っているのが笑った。このひとの番組はそれこそ、prankで成り立っているようなものだから、例年よりも面白い展開になるんじゃないかとも思う。
帰宅後、午前中に出したメッセージ等のレスポンスに対応しつつ、サウスパークの今期最終回「The End of Serialization as We Know It」を観たが、関連記事でも「Disappointing conclusion」という言葉が多数見られたように、10週に渡った話しのオチとしては厳しかった。前半で張っていた伏線があまり回収されておらず、多分これ、クリントンが大統領になるのを前提で作られていたけど、それが大幅に狂ったので、毎週即興演奏的にエピソードを作った事が、裏目に出たんじゃないかと。
一方で、昨晩のレイトショーのニュース・セグメントは、久々にスティーブン・コルベアという天才の巧みなトークを堪能できたもので、不確定且つ先走りが当たり前となったオンライン・メディアに対する痛烈な皮肉や、彼の前身番組に対する見当外れな批判への切り返し(Info Wars司会者をコケにしまくってる)は、職人芸の域だった。10分という長さをたっぷり使ってそれぞれの問題を分かり易く説明し(&小馬鹿にし)ながら、最後のオチの付け方も見事だったし、動画形式で久々に保存したわよ。メジャーな民放であってもたまにこういう、ケーブル時代の鋭さをぶつけてくるから、他の深夜トーク番組を差し置いて私はコルベアを毎日観たくなるのだ。
さらにこの日の放送は上記のニュース風刺だけでなく、いきなりトランプ当選ネタでトークを始めたシガニー・ウィーバーや、最近出版した自伝「Superficial: More Adventures from the Andy Cohen Diaries」のPRに来て舞台裏の面白話をぶつけてきたアンディ・コーエン、人間影絵集団Pilobolusのユニークなパフォーマンスなど、ゲストも全てアタリの回で、BGMにならなかった。
夕食前に、午前中に読んでいて気になったキューカンバー・クエストの、フィジカル版の出版元を調べたところ、「First Second Books」という、優れたクオリティのビジュアル・ノベル出版を専門としている会社が出てきた。
ここの会社はツイッター・アカウントの動きもマメで、そこからリンクを貼られていたEWの最新記事によれば、2017年に全部で14ものグラフィック・ノベルを出版予定との事で、その中にはキューカンバーも含まれている。
元ピクサーの堤大介が手がけ、昨年惜しくもアカデミー短編アニメ賞を逃した「The Dam Keeper」を始め、'80年代のアメリカンコミック風(TVアニメにもなったHeathcliffなどの)の絵柄っぽい「Cast No Shadow」など、キューカンバー以外でも思わず手に取って読みたくなる作品が並べられているので、以前軽く触れたVroman's Bookstoreに行った際にこまめにビジュアルノベルの棚を観ておきたいとこだ。
とまあ、今日の事を思いつくままに適当に打っていたら、妻から、今日は会議が忙しくて車を回収できなかったとの連絡が入ったので、あと1時間後ぐらいに急遽、駅から家まで送迎をする事に。修理工自体はウチから徒歩15分の場所にあるので、明日朝一番で回収し、そのまま仕事場へと向かうそうだ。