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会話の誘導

昨日は終日喋りっぱなしだったが、そもそもそんなに日本語を使って日常的に会話をする環境に無いのもあって、来年の春辺りに渡米希望の女子生徒さんとも今朝普通に2時間ぐらい、ノンストップで喋っていた。

電子メールでのメッセージを重ねて、直接の通話の段階まで入ると、相手からも聞きたい事が山積みになっているから、1時間程度のお話しでは絶対に終わらない。

テンプレートとなる質問はだいたい、願書の書き方と提出方法、その他の必要書類から始まって、学費と生活費、現地の環境、生徒の人数、人種、食べ物、移動の手段、1日の流れ、娯楽施設などなど。

さらに私からも、相手の名前の由来や出身地、年齢、血液型、基礎的な背景情報、学生生活、家族構成、友人関係、趣味、英語は好きか、洋楽は、洋画は、英語圏の俳優やタレントでは誰が好きか、日本で英語の勉強はどのぐらいしたか、なぜアメリカに興味を持ったのか、カリフォルニアは移民が多いのを知っているか、などなど、そのひとが先ずどんな人物なのかを掘り下げる質問を、次々にぶつけていく。

特に女子はほぼ例外なく、話し好きなので、自分の事を語れる上記のような質問へは、非常に食い付きが良い。

加えてこのとき少しでも、相手からポジティブな点(姿勢が真面目、飲み込みが早い、良い質問をしてくる、などなど)を見つけたら、そこをクドくならないように持ち上げて、「私の話しを聞いてくれている」「私の事を認めてくれている」「もっと話しをしたい」と思わせるようにする。

会話の流れが淀みなくなってきたら、在校生徒との直接連絡といった、広がりのある方向へ、話しを運ぶ。在校生の意見が一番、クラスメートや授業の雰囲気といった点で、参考になるからだ。

勿論、移民の多いカリフォルニアの魅力も説明する一方で、日差しのキツさや、ホームレスの点在、環境の変化への急な適応の困難さなどの、渡米してから苦労する点もほぼ全て、説明する。

とにかく留学生には、期待を持たせないのが、最も重要。日常は基本、住まいと授業の往復になるし、日々の生活の地味さを、イニシャルで印象付けておく必要がある。

これに関しては、大半の留学斡旋会社が、あまりに虚偽に満ちた華々しいイメージをセールスに使っているのが問題だし、実際に来て3日後ぐらいに泣き付かれた経験が私も一度や二度じゃないので、殊更、正直且つ客観的に、現地状況の説明を徹底して、言い方は悪いが「幻想をぶち壊す」。

また20分間隔で、「ここまでで何か質問は、ある?」と聞き、相手が会話の方向を見失わないようにも、していく。

最終的には、短期であれば半年・1年なり、長期ならば4年後などに、プログラムを終え、どうするのかと言った話しへも持って行く。

プログラム修了と共に終わるような繋がりではないのを、それとなく示唆する事で、相手にも強い興味を惹いてもらえる、というわけだ。

そんな感じで、私からも考えられる限りの知恵を絞って、根本的な所では、相手に興味を持ってもらえるように会話を展開するのだが、このやり方を知人に説明したら、それは殆どセールス・トークだ、と言われた。

まあ確かに、営業関係の業務や、お客さん誘導業務なんかをこれまでにも多数経験してきたし、そうした中で特に応用が利いて使えるワザを、そのままスライドさせている気がせんでもない。

現在私が尊敬してやまないジョン・オリヴァがウェブ用の小ネタで、鳥を徹底的に糾弾したときに言った、「I'm supposed to like parrots just because they can talk?  Basically, every human being talks, and I hate most of them.(お前オウムが好きなんだろ、だって奴らはお前みたいに喋れるからな、だあ? あのな、全ての人間は喋れるし、俺はそいつらの大半が憎いんだよ)」では無いが、私もどっちかと言うと人間嫌いなほうである。

でもそんな人間嫌いでも、上記のような仕事を主に、自然に、平然と、面白可笑しくこなしているのだから、人生どう転がるかは、分からないものだ。

私もオリヴァの意見同様「大半の」人間は嫌いだが、その辺を広げ過ぎると今日一日の残り43分程度では書き切れないので、このまま「公開設定」ボタンを押してハイ、送信!