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【2,204】12.15.2016:HAM、キラー・スノーマン

他人に英語を教えていると、私の選ぶマテリアルが常にランダム&アップデートされたものである事から、自分でも気付かなかった、知らなかった言い回しや単語を学ばせられる瞬間が多い。

例えば「Pour one out」という表現があり、これには「死者に杯を献上する」という意味がある。

その語源を調べると、元々は「献酒」を意味する「libation」から発展したとのことで、成程な、と思わされる事が多々ある。

私自身の英語力は、自分でもそれなりだとは思うが、上を見るとキリが無いし、日々積み重ねていかないとならない単語や言い回しは、たくさんある。

だから毎日欠かさず、何かしらの英文記事(最低500単語)に目を通すし、ツイッター上で気になった記事を引用する時は、必ず最後まで一度読んでから、を徹底している。

幸い、私のアカウントをフォローしているひとたちは、英語の読み書きに関しては基礎を当たり前のように出来ているのが伝わってくるし(大体みんな、本気を出すと凄い)、英語にしろ日本語にしろ、自分が理解できる言語で記されているならば、面白いと思ったものを私は積極的に拾っていくから、それらを楽しめるのならどんどん楽しんでほしいところだ。

「Enjoy yourself」というのを、アメリカで生まれたひとは口癖のように言うけど、面白い人間は切り替えの速さと好奇心の塊を同じバランスで保っているし、自身を鼓舞する上でも巧いフレーズだなと思う。

フレーズと言えば、「HAM」との略称も今回初めて、商業雑誌で目にして、しかもメジャーな雑誌がそれを使っていたから、何だろうと思って調べたら「Hard as a Motherfucker」だった

正式な辞書を引いても載っておらずWikiのスラング版とも言えるUrban Dictionaryが真っ先に検索結果で出た事と、先述の「Bustle」(月間1,000万のユニークビジターを抱えるオンライン女性誌の記事が2015年6月15日に書かれていることから、恐らくこの何年かで知れ渡ったスラングだとは思うが、カニエ・ウェストがJay-Zと5年前にコラボした時にこの略称をそのまま使った曲を作っているので(歌詞も完全に、この略称を指してる)、そこまで新しいものではないみたいだ。

上記以外の略称だと、Helsinki Art MuseumやHistoric Arkansas Museumなどの真面目なのもあったりするが、ではそのHAMのほうは、実際はどういう意味か。

アーバン・ディクショナリーの記述に、物凄く分かり易く書かれていたので、以下、引用。

When a person is unstoppable or just in the zone in any type sport or competition setting; It can also be defined as going crazy and buying up everything in a store; or even doing something beast like.(人が制御不能になる瞬間や、様々なスポーツを含めた競争下状態においてゾーンに入ること。店内の商品全てを買い漁るような異常行動に走る、とも定義付け可能で、ケダモノのように何かをする事も指す)

要するに、「キチガイ行動に出る」。

良識的に問題だらけのPCゲームとして19年前にかなり物議を醸した「Postal」があり(そもそも製作元の社名がRunning With Scissorsの時点で、良識を求めるのが間違い。バカにハサミを持たせてはいけません)、それのアイデアの土台となったのが、郵便局員が同僚や上司を射殺する事件が1986年から1997年の間に頻発し、結果40人以上も犠牲になった事から「常軌を逸した行動に出る、ブチ切れる」の意を籠め発生したスラング「Going postal」なのだが、そのpostalの代わりに今はHAMが使われる、つまり「Going HAM」という使い方。

今度知り合いのアメリカ人に会ったときに、早速使ってみようと思ったが、こういうのは知らないひとは本当に知らないので、相手によっては目が点になるかもな。

キリのいい文章量になったところで食事の支度に移ろうかと思ったが、もうひとつこれだけ。

たまたま読んでいた英文記事で、1996年に出た「Jack Frost」(1998年にも初代バットマン主演の同名作品が、「パパは雪だるま」の邦題で出ているのでややこしい)が、クリスマス映画としてあまりにも低俗で素晴らしいと評されていたので、どんなもんかと検索したら普通にフルでYoutubeに上がっていた

作業BGM的に別のPCで流しっぱなしにしたところ、音声だけでもやってることのバカバカしさが伝わってくる上に、どんなシーンかと目をやればああこれか雪ダルマがニンジンレイプするので有名なやつは。このシーンだけを解説した日記サイトを昔よく観かけたものだが(「キラー・スノーマン」という邦題も能天気さに拍車かけてる)、そもそも本当にそんな映画があるのかと、都市伝説みたいな印象だったので、まさかこんな形で実物を拝めるとは。

本当にこれ、しょうもない中身だったが、確かにクリスマスのどんちゃん騒ぎを無駄に活性化させる、制作に関わった人間全員の頭の悪さによく分からないリスペクトを払いたくなる意味で、この文章をわざわざここまで読んだひとにはちょっとだけ見て、クスッとなってほしい気がした

もっともこれを90分ずっと観ているのは、普通にヨロシクナイので、見所を8分以内に抜き出したベスト版を観ておけば、まあ十分か。とはいえこういう無駄の集積みたいなポンコツ映画ほど細かく観たくなる愛くるしさがあるから、その辺をどう賢く選ぶかは、任せる。「いやね、雪ダルマがね、人を殺しまくる、ホラー映画があってさ」で、4分ぐらいは会話のネタに使えると思うから。

ふと窓の外を見ると、5pmを過ぎた辺りから降り始めた雨が、いまこの瞬間、この行を書いている7pm現在、かなり激しくなっている。ロサンゼルスでは本当に、珍しい降り方だ。明日の朝がピークだそうだから、妻には運転に気を付けるよう、言っておかないと。