スウェーデン② ~ストックホルム ミシュラン二つ星『Gastrologik(ガストロロジック)』 他~
昨年11月のスウェーデン旅行記、②はストックホルム中心部に関してです。
Gastrologik(ガストロロジック)
まず、素敵なレストラン『ガストロロジック』について。 ミシュランの二つ星を獲得しており、場所も便利で、デパートやレストランが集まるエステルマルム地区にあります。 営業は夜だけ。 下の写真が厨房の様子です。 皆さんお忙しいのに自己紹介して下さり、明るい雰囲気でした。
コースは通常のコースの他に、火・水曜日限定のショートコースがあります。 ちょうど訪れたのが水曜日で、このショートコースをいただきました(というよりも、この日はそのコースしか取れなかったのです)。
ショートコースは約¥14,400(税込 ; チップは別途)で、13品で構成されています(通常のコースだと20品が出るそう)。 13品のうち最初の4品は小さなフィンガーフードのようなものでした。
以下、そのお料理をご紹介させていただきます。
◆Doyard Cuvée Vendémiaire Blanc de Blancs Premier Cru Brut (グラス ; 約¥2,520 ; 税込)
◆Sparkling Water (約¥480)
写真は省略しましたが、シャンパーニュをグラスでオーダー。 ドワイヤール、シャルドネ100%でかなり酸味がありますが、おいしかったです。 水はスパークリングにして、同行者とシェアしました。
◇Forest broth
スタートの品は、このブロス(ブイヨン)。 写真左の容器から注がれます。 器は小さな湯飲み茶碗のようなものでした。 牛と豚ベースのブロスに、フルーツ、ジュニパー、マッシュルームなどのエキスが加わり、濃厚な風味の中に酸味が広がります。 素晴らしいお味! 塩は強めです。 ちょっと(かなり?)違うのだけれど、土瓶蒸しが思い出されました。
◇Bone marrow bun
これで2人分。 しっとりとしたバターたっぷりのパイ生地のようなパンに、具が入っています。 具はどの動物の骨髄を使っているのか分かりませんでしたが、たぶん牛でしょうか? 大変おいしかったです。
◇Chicken liver, meringue and apple
写真は省略いたしました。 メレンゲでできた小さなタルト生地の中に、りんご、その上にソフトな味のレバーが削られて乗っていました。 タルト生地は繊細でもろく、崩れやすかった。 りんごとレバーの合うこと!
◇Pickled onion from Skilleby, toasted yeast and thyme
1人1つずつです。 Skillebyは、ストックホルムから南西に40Kmほど離れたところにある町。 玉ねぎのピクルスの上に、タイムのソースとイーストのクリーム。 玉ねぎの酸味がけっこう主張してきますが、おいしかった。
◇Cod from Iceland cured in seaweed with rakfisk, tomato and currant branch
アイスランド産のタラを海藻の中で塩漬けにしたもので、その際にrakfisk(魚の塩漬け)で風味をつけたようです。 ソースはトマトのエキスからできています。 currantはスグリ。 タラの下にはクリームがあって、とてもおいしかったです。 ソースも良く合っており、未知なる美味でした。
◇Crispy pancake with crab from Bohuslän, jerusalem artichoke and horseradish
クリスピーで薄い土台生地。 このレストランでは、こういう生地は極力薄く作られています。 Bohuslän(ブーヒュースレーン)地方はスウェーデンの西南岸にあり、蟹が取れるんですね。 淡泊な蟹、良いです。 蟹には小さな角切りになったりんごが混ざっていました。 細切りにされたキクイモが全部を受け止めて、さっぱりとまとめており、非常に美味!
◇Bread made from Warbro kvarn rye with butter from Kittelbergets Gårdsmejeri
パンはこれで2人分です。 Warbro kvarnは、ストックホルムから西に70Kmほど行ったところにある農場。 ライ麦パンは、ほんのり甘く、ものすごくおいしい~! バターはスウェーデン北部のもので、スタッフさんに言われた通り本当に美味。 バターは塩味もしっかりついています。 フランスのも良いけれど、北ヨーロッパのバターは素晴らしくおいしいですね。
◇Cold smoked zander from Hjälmaren with root vegetables and Swedish "anchovy"
ストックホルムから西に100Kmほど行くと、イェルマレン湖という湖があり、そこで採れた魚です。 スズキのようで、火入れが素晴らしく、フワッとしっとりした繊細な食感。 スープにはほんのり苦みが感じられましたが、それもまた良かった。 また、スープはかなり塩が強かったです。
◇Grilled mallard from Victor & Karolina with red summer-and-winter cabbage from Mia
ジビエです。 スウェーデン南部で採れた真鴨をBBQでスモーキーに仕上げたそう。 切り分ける前に、丸々焼き上がったところも見せて下さいました。 これが本当においしかった! 気になるクセは全くありません。 ソースは鶏のブーレがベースで、黄色いマスタードのようなものは、辛味はありませんでした。 右上の紫キャベツはほんのり酸っぱく、強い塩味。
◇Frozen, fermented sloe berries with dulse from Iceland
写真は割愛させていただいたのですが、円形のデザートでした。 外側に黄色いクリームのようなものが丸く囲ってあり、その中に赤紫色のスローベリーのアイスクリーム。 上には丸く形作られたメレンゲが乗り、ダルス(赤い海藻)のパウダーが振りかけられていました。 スローベリーのアイスは、酸っぱくなくてほんのりした甘さが心地良い。 このフルーツ、好きです。 海藻に塩味があり、それが塩スイーツ的な仕上がりにしていて、おもしろかった。 とても良いデザートだと思いました。
◇Browned butter cake, Fredric apples, tarragon and toasted yeast
1つめのデザートに続け、これもパティシエさんが自らサーブし、丁寧に説明して下さいました。 パウンドケーキにアングレーズソースをかけたような感じですが、1つ1つがとても洗練されています。 ソースにタラゴンとイーストが使われています。 このデザートもほんのり塩気がありました。
◆Coffee [Brew] (約¥540)
◇Cake with youghurt and cloudberries
コーヒーは別料金です。 エスプレッソやカプチーノもありましたが、普通のコーヒーにしました。 ブラジル産の豆で、薄めながらちゃんとしていておいしいです。 スウェーデンは、コーヒーがおいしい! コーヒーに添えるミルクは、温かいもの、冷たいものを選ぶことができ、温かいものにしました。 丸いケーキは、フワフワしっとりのシンプルなスポンジに、ヨーグルトというよりはチーズ風味のクリーム。 ライトなチーズケーキという感じでした。 ホロムイイチゴ(cloudberry)の風味は非常に弱め。
◇Pollen, honey and propolis from Rosa Skattlådan
最後に一口デザートが2つ。 写真はないのですが、1つめはスプーンに乗っていて、砂糖でコーティングされた中からお酒のようなものが出てきます。 お酒の味だったけれど、この液体が花粉抽出物やプロポリスだったのかな? もう1つはソルティキャラメルで、香ばしさがありました。 北欧らしい、大人のデザートという感じで、最後に楽しめました。
やはり日本とは違って量がけっこうあり、ショートコースでも十分お腹いっぱいになりました。 logical gastronomyを意味する店名そのままで、素晴らしい美食体験でした。 このレストランは調理スタッフの人数も多く、1人1人に余裕があり、綺麗に芸術的に料理を作っています。 おススメ店なので、機会がある方は、良かったらぜひ訪問してみて下さい。
ガムラ・スタン地区
ストックホルムの観光については前々回にも少し書きましたが、ここではガムラ・スタンという旧市街について。 このnoteの一番上の写真は、このガムラ・スタンの大広場です。 ストックホルムは大小14の島からできている街なのですが、ガムラ・スタンもその1つで、1Km四方ほどの比較的小さな島です。 街の中心部から橋で繋がっています。
ガムラ・スタンには王宮があり、通常は内部が一般公開されています。 ただ、この時は公共の観光スポットはコロナ下でお休み中でしたので、外から見るだけにしました。 衛兵交代も簡略化されていて、ちょっぴり寂しい。
下は、ガムラ・スタンを歩いていた時の写真。 中世の雰囲気を残すこのような路地がたくさんあり、歩いていて楽しいです。
Lydmar Hotel(リドマー・ホテル)
ストックホルム編の最後に、素晴らしいホテルをご紹介させて下さい。 今回滞在した『リドマー・ホテル』です。
リドマー・ホテルはウォーターフロントにあり、国立美術館に隣接。 王立オペラ座などへもすぐという、便利な場所に位置しています。 上記のガムラ・スタンへも歩いて行けます。 上の外観写真の左端に少し見えているのはお隣のグランドホテル。 サウナやスパを楽しみたい方は、このグランドホテルの施設を優待料金で利用することができます。 また、グランドホテルのフィットネスセンターは無料で利用できます。
ボート乗り場やフェリー乗り場もすぐで、下のような風景が見られます。 ストックホルム観光では船も乗りたいですね。
このブティックホテルは全46室というコンパクトさで、スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(SLH)のメンバーでもあります。宿泊したのはラージ・キングルームという、かなり良いお部屋でした。 50㎡の広さがあり、ゆったりと過ごすことができました。
NYのアパートメントなんかを彷彿させるような部屋。 備品も充実していて、ストレートのヘアアイロンが部屋に備わっているホテルは初めてでした。 おもしろかったのは、デスクの上にあったペン。
ずいぶんたくさん(笑)。 コロナ対策?? それに、メモも何冊も。
ベッドもおしゃれに整えられていました。
朝食がついていたので、毎朝レストランでいただきました。 レストランもとても居心地が良くて、ついつい長居してしまいます。
このホテルは音楽が素敵で、ホテルの1階入口の外側にもスピーカーが置かれているし、このレストランも、スピーカーが何か所にも置かれ、サラウンドサウンドが楽しめます。 音楽は昔のブリティッシュロックとか、今風の音楽とか様々(ABBAは、かからなかった)でしたが、ヨーロッパのものが多かったです。 レストランは、昼も夜も地元の方々でいっぱいになります。
朝食は、上の写真のビュッフェにあるような果物、ジュース、お菓子、パン、シリアルなど以外に、温かいものを作っていただくこともできます。 オムレツ、パンケーキなどをオーダーしても良いですね。
これはカフェラテです。 1日目はカプチーノにしたのですが、この2日目のカフェラテの方が、器が大きいし、おいしかった。 アツアツで出して下さるところが嬉しい。 それから、スウェーデンはクロワッサンが普及していて、しかもおいしいです。 本場フランスのようにバターたっぷりという感じのクロワッサンではないのですが、どこで食べても本当においしかった。
リドマー・ホテルはサービスも気が利いていてスピード感があり、全体的に素晴らしいホテルでした。 ストックホルムには良いホテルが少ない、という話を一昔前は聞きましたが、ここは非常におススメだと思います。 大型ホテルにはない居心地の良さ、現代スウェーデンらしいおしゃれさが楽しめます。 ストックホルムへ行かれる方は、良かったら泊まってみて下さい。
SLHによるLydmar Hotelの案内はコチラです
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③では北極圏のキールナについて書きたいと思います。 良かったらまた見に来て下さいね。
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