🎀作品紹介🎀 その境界線を壊したのは誰?
昔から他人と自分の境界線があいまいだった。
人に嫌われないようにいつも先回りで考えすぎて疲弊していた。
他人と私を隔てる柵はもろくて、壊れやすかったけれど、それを壊したの私自身だった。
今でも時々思い出す子どもの頃の記憶。
兄が両親に怒られているのを見ると、私はものすごい恐怖を感じていました。
自分が叱られているわけでもないのに、大泣きして兄に言ったんです。
「早く、謝って!そうすれば許してもらえるから。」
両親は私がなぜ泣き叫ぶのか全く理解できなかったようでした。
子どものころから他人と自分の境界線があいまいで、他人に起こっていることを自分事のように感じてしまう傾向がありました。
少し調べてみると、こういった傾向を持つ人は少なくないようです。
現代社会が抱える問題でもある生きづらさの原因は、他人との境界線があいまいなことも大きな一因です。
人に拒絶されるのが怖くて断れず、他人の意見に左右されやすい。
他人に気入られようと、自分を卑下して、簡単に自分を見失う。
自分にはどうにもできない他人の領域のことにも責任を感じ、非力な自分を責める。
他人との距離感がうまく測れず、対立したり、迎合したりしてしまう、などなど。
思い返してみればこれら多くは、自分にあてははまっているように思いました。
私は、境界線を踏み越えてくる人とはできるだけ距離を置くようにしてきました。
それが唯一の自己防衛策でしたから。
自分自身を見つめ直す意味を込めて、このテーマで作品を創ることで見えてきたことがありました。
それは、自分の居場所を確保するため打ち建てた境界線という名の柵は、もともと脆弱で壊れやすかったけれど、実際にそれを壊し、自らを居心地の悪い状況に追い込んできたのは誰でもない私自身だったこと。
安易に自己責任論で片づけるつもりはないですが、自分を守れるのはやっぱり自分だけかと。
無駄なことに貴重な時間を費やしてきてしまったという後悔が今となっては心の疼きとなっています。
この作品を改めて見つめてみると、これまで境界線を壊してきた、その大半は、自分の弱さや臆病さが原因だったけれど、その人のことをもっと知りたいという純粋なg感情の発露ゆえでもあったことが思い起こされてきます。
ダークヒロインコレクションでは、こういった受け入れ難い弱い自分像も描いています。