第23回 むくみ
2024年6月3日
健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。
朝起きて鏡を見た時に顔がむくんでいたり、夕方足がむくんでいる、という経験を多くの方がされていると思います。
このむくみはなぜ起きるのでしょうか?
「むくみ」は、何らかの原因によって血液中の水分が血管の外に異常に浸み出した状態で、医学用語ではこれを「浮腫」といいます。
むくみの原因
・塩分の摂りすぎ…体内の塩分濃度を一定に保つ機能が体にありますが、塩分をたくさん摂取した時、体の塩分を薄めようと体内に水分を溜めるようになります。
・アルコール…アルコールを飲むと血管が拡張して血管から水分が漏れ出していきます。
・ホルモンの影響…月経前はプロゲステロンの影響で体に水分を溜め込みやすくなります。
・運動不足…ふくらはぎの筋肉がポンプの役割をして、下半身の血液・水分を心臓に送っています。第2の心臓とも呼ばれる所以です。ふくらはぎの筋肉を使わずに動かさずにいたり、運動不足で筋肉量が低下すると重力で水分が下半身に溜まってしまいます。
これらは一過性のむくみですが、中には慢性的なむくみもあり、心不全、腎機能障害、肝硬変、甲状腺機能低下症などの疾患が隠れている場合もあります。慢性的なむくみは、むくんでいる部位を押すと指の跡がつくのが特徴です。
また、タンパク質不足で血液中のアルブミンが不足し全身のむくみが起きたり、乳がんなど手術でリンパ節を取り除くとリンパの流れが悪くなり片腕など一部分がむくみます。
むくみが何日も続くようなら、大きな病気の可能性もあるので医療機関にご相談下さい。
むくみの解消法
顔がむくんでいる時は、冷水と温水で交互に洗顔をしましょう。冷水と温水を交互に使うことで血管の収縮と拡張を繰り返し、むくみを解消します。また、ホットタオルで顔を温めて顔の血行を促したり、鎖骨の上下、首周りのリンパ節をゆっくりマッサージ後、顔の中心から外に向かって首から鎖骨まで流していきましょう。
体がむくんでいる時は、ストレッチやマッサージを行います。足がむくんでいる時は、膝を曲げ伸ばししたり足首を回します。また、つま先立ちになってかかとを上げ下げするとふくらはぎのポンプ作用でむくみが解消します。マッサージは心臓から遠いところから近いところへ向かって行い、足首、膝の裏、足の付け根などもしっかりマッサージしましょう。
むくみの予防法
普段からむくみやすい人は塩分に気をつけましょう。外食ばかりだと塩分は多くなりがちです。自炊の場合は塩分が多く含まれている加工食品は控えめにしてください。また、塩分を排出させるカリウムを多く含むきゅうり、あずき、バナナなどや、血管拡張させるマグネシウムも含む海藻類なども摂りましょう。
体が冷えると血行が悪くなりむくみやすくなるので、できれば毎日湯船に浸かって体を温めじんわりと汗をかくと余分な水分が排出できて巡りも良くなります。
当院では五苓散(五苓散)や防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)などの漢方薬も処方してむくみ予防を行なっています。
正しい知識でむくみに対する対処法と予防を行い、毎日を心地よく生活してほしいと思います。