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第38回 幹細胞培養上清液

2024年9月16日

健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。

幹細胞培養上清液とは? 
最近では「幹細胞培養上清液(じょうせいえき)」という言葉をよく目にするようになりました。

幹細胞培養上清液とは何なのでしょうか?
ここでは幹細胞培養上清液について詳しく説明していきます。

幹細胞培養上清液は、幹細胞を培養して増殖する時に出てくる溶液の上澄み液のことです。
幹細胞培養上清液には幹細胞を取り除いていますが、幹細胞と同様にサイトカインやエクソソーム、成長因子などが多く含まれ治療に役立つことがわかってきました。
現在では、幹細胞培養上清液は色々な診療科目で治療に用いられるようになりました。

培養が行われている間葉系幹細胞の多くは、脂肪、臍帯、歯髄、骨髄に由来します。

医療現場で使用されている幹細胞培養上清液は、厚生局から認可された培養施設で製造された安全性の高いものになります。

幹細胞治療と幹細胞培養上清液治療の違い
幹細胞治療は、患者さん自身の脂肪から幹細胞を採取して培養することが多く、幹細胞を1億個以上に増殖させたものを使用します。

幹細胞培養上清液は、他人の幹細胞を培養、増殖させた時の上澄み液を使用します。

幹細胞治療も幹細胞培養液治療も、細胞を修復したり再生したりすることができるので医療で使われています。

幹細胞培養上清液の効果
幹細胞培養上清液には、次のような作用があります。

・抗炎症作用…関節痛・腰痛・頚部痛・肩痛・筋肉痛などに効果あり。
・創傷治癒作用…皮膚の傷痕や炎症痕を修復する。
・組織・神経修復作用…損傷した組織(内臓、筋肉、血管)の細胞分裂が活性化され機能が回復する。肝疾患、皮膚疾患、呼吸器疾患、腎機能障害、糖尿病の合併症などに効果あり。
・免疫調整作用…アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎に有効。
・血管再生・血管新生作用…動脈硬化を予防する。
・抗酸化作用…体内に発生した活性酸素を取り除き、疲労回復や細胞の老化を防ぐ。
・若返り・美容作用…組織を修復するためシワやたるみなどを予防する。

※血管新生作用や細胞分裂を活性化させるためガンの方には使えません。

幹細胞培養上清液を使った治療方法
点滴や皮下注射で全身の細胞に行き渡らせる方法が一般的です。

局所投与では股関節や膝関節に注入して痛みを軽減させる治療もあります。
点鼻薬は鼻粘膜から脳内の毛細血管に作用し、認知症予防や脳梗塞後遺症、パーキンソン病にも効果が期待できます。

また、肌に注入すれば美肌治療も可能ですし、頭皮に直接注入すれば育毛治療もできます。血管新生、結構改善作用からED治療にも効果があります。

幹細胞培養上清液はどの細胞にも行き届き、特に弱まったり傷ついた細胞に作用して修復する、まさに未来の治療が現実となりました。
特殊な高次機能病院でなくても一般の開業医でも受けられるのも嬉しいところです。

ウェルエイジングを目指すには最適な治療法なのです。
気になる方は、自由診療を行っているクリニックに相談されてみてくださいね。

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