第28回 ビタミンDの必要性
2024年7月8日
健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。
コロナ禍で免疫力を上げる方法の一つとして、日本もようやくビタミンDの必要性について言われるようになりました。アメリカではかなり前からビタミンDの必要性については周知されており、ドラッグストアでビタミンDサプリを購入できたり、食品の中にもビタミンDを混ぜてパッケージにもビタミンD○%含有、と明記して、それが商品のセールスポイントとして売られていることもあります。
今回は私たちにとって大事なビタミンDについてお話しようと思います。
ビタミンDとは?
ビタミンDは日光に当たると皮膚で合成されます。
しかし、野外での活動が少なく、紫外線対策を行なっている方はビタミンDの不足が顕著です。美白に力を入れている日本人女性はほとんどの方がビタミンD不足ともいえます。実際外来でほぼ全員の患者さんにビタミンD測定していますが、最低目標値の1/3~1/4しかない方がほとんどです。
ビタミンDの働き
ビタミンDは以下の働きがあります。
①免疫調節
ビタミンD(1200単位/日)摂取で、インフルエンザA型感染症の罹患率が下がったという報告があります。ビタミンD血中濃度が低い人(20ng/ml以下)は新型コロナウイルス他感染症にかかりやすいとも言われています。
②アレルギー症状緩和
ビタミンDはアレルギーを引き起こす化学物質の放出を防ぎ、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎の症状を軽くすることがわかっています。慢性蕁麻疹ではビタミンDを4000単位摂取すると、蕁麻疹の重症度が40%減少させるとも言われています。
③骨を強くする
カルシウム・マグネシウム・ビタミンK・タンパク質、運動も同時に必要となります。小児期はもちろん、更年期から老年期にかけて女性ホルモンが減少することにより骨粗鬆症になりやすくなりますので注意が必要です。病院で処方されるビタミンDは活性型で、医師の管理のもとに内服しないと高カルシウム血症による悪心・嘔吐・食欲低下、意識障害などの副作用が出るので注意が必要です。(サプリメントは天然型のビタミンDなので副作用の危険性はほぼないです)
④腸粘膜修復
小麦や牛乳を食べることで腸の粘膜細胞間の結合が緩んで隙間が大きくなるため、未消化で分子が大きいままのタンパク質や糖、口から入ってきた花粉や有害物質が腸壁から漏れ出て体内に侵入するため過剰なアレルギー反応を引き起こします。(リーキーガット症候群)ビタミンDはこの緩んだ腸粘膜の結合を改善し、腸からの抗体産生も正常化することでアレルギー症状や全身の不調も改善させていきます。
ビタミンD不足による病気
・クル病(小児)
・骨軟化症、骨粗しょう症(成人)
また、他のビタミンD不足の症状として、以下のことも研究されています。
・糖尿病
・動脈硬化
・免疫力低下
・自閉症
・うつ
・花粉症
・がん
・認知症
・不妊
ビタミンDを多く含む食品
・サケ、マスなどの魚介類
・キクラゲなどのキノコ類
に多く含まれます。
ビタミンDは1日4000単位の摂取を勧めています。
例
焼き鮭1きれ 1520単位
うなぎ蒲焼1/2尾分 608単位
さば水煮缶1缶 528単位
しらす干し30g 732単位
鶏卵1個 40単位
ビタミンDは病気にならないために、私たちの体になくてはならないものです。食品から日常的に摂取すること、またそれでは不十分ですのでサプリメントで補うことも大事です。1日4000単位を念頭に置いてサプリメントも調節してみてください。