第21回 天気が悪いと頭痛くなりますか?
2024年5月20日
健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。
雨が降りそうな時、皆さんは頭が痛くなったりめまいがしますか?
この状態を「気象病」と呼ぶことがあります。気象病は正式な病名ではありませんが、一般的に天気に伴う不調を気象病ということがあります。気象病で体調を崩す人は6割以上とも言われていますが、確かに診察に来られている方で気象病の方は多い印象があります。
なぜ天気によって体に変化が出るのでしょうか?
気圧、気温、湿度などの変化で自律神経が乱れることが原因の一つだと考えられています。特に雨が降りそうな時、台風が近づいて来た時、梅雨の時期に気圧が下がると、頭痛、めまい、疲労感を感じます。人によっては気分の落ち込みを感じることもあります。自律神経が過敏に反応すると、血管を収縮したり拡張したりして血圧に影響が出たり、頭痛、めまいの原因ともなります。
また、低気圧の時に深く関係するのが「内耳」です。鼓膜のさらに奥にあるのが内耳で、耳から受けた情報を脳に伝えたり、平衡感覚を司ります。内耳機能が元々弱かったり、むちうちや耳の病気をした人、基礎疾患のある方は内耳から脳に信号が伝わり頭痛やめまいを引き起こしやすいです。
気象病の症状当てはまるものはありますか?
・めまい、ふらつき
・倦怠感
・頭痛
・肩こり、腰痛
・関節痛
・過去にケガや骨折したところが痛む
・気分が落ち込みやすい
気象病の予防・治療は?
・耳温法:気圧を感じるセンサーが敏感に反応してしまう原因は、内耳の血行不良です。内耳の血行を良くすると内耳のセンサーの感受性が下がり、気象病の症状が和らぐことがあります。内耳の血行改善におすすめなのは、耳を温める「耳温法」です。耳の後ろに完骨というツボがありますが、ここをホットタオルやペットボトルで温めてみましょう。また、日頃から耳のマッサージを行うのも有効的です。耳を軽くつまんで上下や横に5秒ずつ引っ張ったり、つまんだまま耳を回したりします。手のひらで耳全体を覆って、後ろ方向にゆっくり円をえがくように回したりもしましょう。
・気圧調整機能のついた耳栓:気圧の変化がフィルターを通して緩やかに耳内に伝わるため、急激な気圧の変化にも対応します。ネットでも購入できます。
・漢方薬:内耳のリンパのうっ帯を改善させる五苓散や、天気が悪くて頭痛が起きそうな時に飲む呉茱萸湯(ごしゅゆとう)などがあります。
・自律神経を整える:体質的に気象病を起こしやすい人は、自律神経を整えていくことも重要になります。生活リズムを整えることが必要なので、朝起きたら朝日を浴びる、毎日朝食を食べる(たんぱく質)、ぬるめの湯でしっかり入浴する(少し汗ばむほど)、睡眠を十分にとることが大切になります。また、自律神経を整えるには食事も大切です。血糖を安定化させるためにタンパク質中心に、ご飯・麺を控えめにしてくださいね。
気象病を予防するための対策と治療があることを知っていただき、天気に左右されない体をつくっていきましょう。心地良い生活を送れますように。