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第一子ですか?と言われると

不妊治療でタイミング治療を受けている時、『めのさん家』というYouTubeのチャンネルをよく見ていた。
めのさん家の若葉さんは、4度の流産、不妊症検査、不育症、子宮外妊娠と多くの壁を乗り越えて、現在は第二子を妊娠されているそうだ。

不妊治療や妊活でタイミングを取る時に重要になるのが排卵日。生理日と基礎体温を入力することで、おおよその排卵日がわかるアプリのサービスもあるのだけれど、飽くまでも「おおよそ」しかわからない。
より正確なのは、産婦人科で卵胞チェックをしてもらい、排卵しそうな卵子が育っているのかと、どの日にタイミングをとるのかを教えてもらうことだ(タイミング指導)。
だけど、私はこのタイミング治療でなかなか授からず。不妊治療専門のクリニックに転院しても授かることができなかった。
転院直後に妊娠していたことがわかったけれど、結局流産してしまった。その時に「流産した後は妊娠しやすい」だなんてジンクスをネットで見かけ、嘘か本当かわからないそれを励みに治療に取り組んだ。
転院前のA産婦人科では、卵胞チェックのあと、排卵検査薬というシートを手渡され、毎日同じ時間に使って、濃くなった日にタイミングを取るようにと言われた。
濃くなるのはLHサージ(排卵前になると分泌量がピークになるホルモン)が高くなるからで、その日から何度かタイミングを取るように、と指導を受けた。
前述のとおり、それだけじゃ授からなかったわけだけど、この排卵検査薬が、とても心強かったことを今でもよく覚えている。

排卵検査薬を産婦人科で処方してもらう以外には、薬局で買ったり(取り扱っている店舗はかなり少ない)、Amazonなどのネットで手に入れるしかない。ただ、日本製の排卵日検査薬って、かなり高くて…。クリニックに行くのもお金がかかるのに、それに排卵検査薬(排卵日がわかるまで毎日使用するからたくさん必要)にお金をかけては財布の中は破産してしまう。
ただただ、困ってた。
お医者さんの言うとおらりにしても授からないのだから、せめて、確率を上げるために排卵検査薬を使ってより正確な排卵のタイミングを知ることができたなら…。

そんな時に、めのさん家のチャンネルを見つけたのだ。
めのさん家の動画の中で紹介されていたのが、海外製の排卵検査薬。
『ラッキーテスト』と呼ばれているもので、中国からお取り寄せとなる。海外から取り寄せることに抵抗はあったけど、とても魅力的に思えたのが、『たくさん入っているのに安い』ということ。そしてセットによっては妊娠検査薬も同じくらいの値段で購入できるのもよかった。

何日か迷って、紹介されていたサイトで排卵検査と妊娠検査薬数本を購入した。

そこから2週間以上経った頃、旦那さんのほうが早く帰ってきていた日の夜、
旦「ねぇ、中国から荷物とどいているんだけど…」
と困惑した顔で帰宅したばかりの私に声をかけてきた。
私「へ?中国??」
それは、薬局でナプキンを購入した時のように黒いビニールで梱包されていた。
旦那さんからすると超怪しい荷物に見えただろう。

私「あー!これね!!」
とるんるんで梱包をはがす私のことを異民族の食文化の様子を見る如く怪しい目で見ていた(ような気がする)。

転院先でタイミング治療を受けるのと並行して、この排卵検査薬を活用した。旦那さんは最初は不思議そうに見ていたけれど、
「これ、昨日より濃くなっているよね。」
と興味を持ってくれた。排卵検査薬を使うのは、正直リスクもあると思っていた。というのが、旦那さんにプレッシャーをかけてしまうんじゃないかと。
『ラッキーテスト』の導入は、子宝を望む気持ちは一緒なのだと思わせてくれるきっかけをくれたのだった。

めのさん家の若葉さんは、何度も検査薬で陽性反応を確認したのだけど、ほとんどの陽性反応後、妊娠が継続しなかったようだった。
たくさん陽性反応を見てきたからこそ、タイミングを取る前の身体の変化や兆し、妊娠初期症状の様子について、たくさん発信されていた。

排卵検査薬の『ラッキーテスト』もとても参考になったのだけど、どの動画だったのか忘れてしまったが若葉さんの言葉で忘れられない言葉がある。


「流産した子たちと一緒に、ここまで歩んできた」


わかるなぁ。と思った。胸にずっしりとくる共感があった。

旦那さんの祖母のお通夜の時に、お義母さんに
「1人目だから、不安になるよね。」
と言われるたびに、寂しい気持ちになった。もちろん、お義母さんには悪気がないこともわかっている。
自治体の相談施設に実家のことを相談しに行った日も、担当の保健師さんから
「第一子ですよね。産まれてくるのが楽しみですね。」
と優しく言われた時にも、同じ寂しさを感じた。

お腹の子は、無事に産まれてくれば、確かに1人目ではある。だけど、私にとっては2人目の妊娠だ。
だから、「第一子ですか?」と言われると、初めてお腹の中に来てくれた子を最初から存在しなかった命のように無視されているようで、悲しいような、寂しいような気持ちになってしまうのだ。
だから、若葉さんの言葉を何度も思い出す。
あの子とも、一緒に歩んできたのだと。
男の子なのか女の子なのかもわからなかったけれど、私の心の中で今も手を繋ぎ続けている存在だ。

私が忘れてはいけない。今でも大事な日には、忘れ形見のムーンストーンのピアスをつけて出かける。

https://youtube.com/@menohouse?si=P3DL5RaZkDtSzVsj

めのさん家 YouTubeチャンネル

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