休校給付金プロジェクトを始めた10の理由(後編)
この度、子ども支援に取り組む有志とともに「休校に苦しむ子育て家庭に給付金支給を求めるプロジェクト」を立ち上げ、「休校に苦しむ子育て家庭に給付金を支給してください!」というインターネット署名キャンペーンをはじめました。
なぜ、今、子育て世帯に給付金が必要なのか?長年、日本の子どもの貧困に取り組んできた立場から、その理由をまとめてみました。
6.過去には高齢者に給付金が配られている
実は、以前消費税を上げた時などに、今回と同じように高齢者に給付金が支給されている。
平成28年度高齢者向け給付金 支給人数 1167万人 3万円/人
平成29年度臨時福祉給金(経済対策分)2058万人 1万5千円/人
今回の休校給付金 支給人数 1004万人 3万円/人
*平成30年度児童手当受給者数
支給人数も支給額もだいたいおんなじ位だ。たまには、子育て家庭に配ってくれてもいいだろう、と思う。
7.子育て家庭は使う。経済効果は抜群
過去に高齢者に給付金を配ったのは、経済対策の意味が強かった。消費税を上げて消費が縮むのを防ぐために現金を高齢者に配ったのだが、貯金する人が多くて経済効果があまりなかったらしい。
でも、子育て家庭は違う。必要に迫られて使う人が多いはずだ。
まず、食費に使う。育ち盛りの子どもはたくさん食べる。お腹いっぱい食べさせるために、米や食料品を買う。
休校で親も子もストレス溜まったし、落ち着いたらたまには外食もしたい。
あと、強制的に徴収されるお金が結構ある。修学旅行の積立とか、教材費とか、払わざるを得ない。
子育ては本当にお金がかかる。貯めたくても貯められない家庭も多いので、高齢者に支給するよりも、経済対策効果は格段に高いと思う。
8.子どもへの現金支給は将来への投資
私は、子どもの貧困に取り組んでいるのだが、国の方針としても、子どもの貧困は、「福祉ではなく将来への投資」と捉えられている。
日本では、教育格差がある。全国学力テストの結果を分析すると、親の所得と子どもの学力が紐づいていて「親がお金持ちだと子どもの学力が高く、親にお金がないと子どもの学力が低くなる」ことがわかっている。
長くなるので詳述は避けるが、単純に塾に行けないとかそういうことではなく、子ども時代の貧困は、子どもの学力を下げる。衣食足りて礼節を知る、ということわざがあるが、衣食が足りなければ勉強などには中々向かえない。
そして、子どもに良い教育を与えることは、国とっても非常に重要だ。だから世界各国、教育に力を入れている。実は日本は、先進国の中で税金を一番教育に使っていない国だ。OECD加盟国のGDPに占める公的教育支出は、日本は2.9%で加盟34カ国中最下位。ここ数年ずっと最下位だ。OECD平均は4.2%。米国も韓国も4.1%.
日本が比較的高い学力を維持できているのは、家庭の負担に頼っている部分も大きい。だからこんな時はその家庭を支えないと、大変なことになるかもしれない。
9.世界では子育て家庭は普通の時もいっぱいもらってる
実は世界では通常時に子どもや子育てや教育に、たくさん税金を使っているから、こういう時にも通常の現金支給があれば生活は維持できるが、日本は極端に子育てを家庭の努力に頼っているので、保護者の収入に問題が生じると、一気にやばくなる。
本来なら、児童手当は、通常時も子ども一人2万円とか3万円とかになるべきだと思う。これだけ少子化が進んでいるんだから、そうでもしないと誰も子どもを産めなくなる。今の日本は、「産み損」で子どもをたくさん産むと、確実に生活が苦しくなる。
各国の児童手当制度より
イギリス:第1子 80ポンド(約18856円)第2子52.80ポンド(約12445円)
フランス:子2人 123.92ユーロ(約19972円)子3人282.70ユーロ(約45563円)11歳以上には加算、16歳以上はさらに加算
ドイツ:子ども一人164ユーロ(約27399円)
10.声を上げなければ、お金は回らない
前編にも書いたように、子育て家庭が「私たちは苦しいからもっとお金を!」というと、高齢者からも独身者からも同じ子育て家庭からも「甘えるな!」とバッシングされて来た。だから怖くて、声をあげなかった。
しかし、そろそろ、しっかりと声を上げないと、本当にまずいと思う。民主政治というのは、民衆が声を上げるところから始まる。
2018年にフランスで黄色いベスト運動が起こった。色々あるだろうが、その結果、最低賃金が100ユーロ/月(約11715円)も上がったのだ。さらに総額100ユーロの手当など大きな果実を得た。
香港では今回のコロナウィルス対策で、18歳以上の市民一人あたり1万香港ドル(約14万円)の現金支給が行われる。大規模デモと新型コロナウィルスによる経済低迷を踏まえ、市民の不満解消を狙ってのことだそうだ。あのデモを体験したら、ちゃんと市民に報いないと大変なことになると政府も思い知ったのだろう。
子育て世帯は大変だ。今回の私たちの活動を知って、
「高校生はどうなりますか?私立の高校に通わせているが、パートを減らされて、このままだと学費が払えません」
「私はひとり親で、子どもを大学に通わせている。大学生をもつ親も大変です。」
という声が寄せられている。みんな、実は大変な思いをしている。その声をバッシングするのではなく、しっかりと耳を傾けて良く考えてみる。納得すれば応援する。そういう人が増えると、みんな生きやすい社会になるのでは、と思う。
とにかく、まずは子育て世代に臨時給付金が支給されるように頑張ります!
応援よろしくお願いします。