コロナで「1世帯30万円」支給が、日本人の家族形成を破壊し、少子化を超加速させる
コロナウィルスで日本中が大変なことになっています。私たちも仲間と一緒に、「まずは休校などで大変な子育て家庭に、児童手当という既存の仕組みを使って現金給付を迅速にしてください」ということを政府にお願いしています。
ひとり親に限らず、ほぼ全ての子育て家庭が受け取っている児童手当を使うことで、子ども一人につき3万円でも5万円でもが迅速に支給できます。子どもが二人いれば○万円×2、3人いれば○万円×3、5人いれば○万円×5、と子どもの人数分だけ正確に支給されます。児童手当を使って子育て家庭に支給をするのは、非常に優れた仕組みだと考えています。
しかし、残念ながら政府は「1世帯に30万円」を打ち出しています。子どもが一人の家でも、子どもが5人の家でも30万円。これは、今の日本で「子どもをたくさん産むことは生存のリスクを抱える」ことになります。今の状況を見て、誰が子どもをたくさん産もうと思うでしょうか?
日本では昔から、「個人」ではなく「世帯」を単位として様々なことが行われています。昔は、人間が1人で生きていくのは非常に大変で、大家族を形成し、労働と家事を分担しながら生活する方が効率が良かったので、「世帯」は自然に形成されました。冷蔵庫も電子レンジも洗濯機もなく、テレビもインターネットもない時代に、一人で3食の食事を作り、何の情報も得られず話す相手もいない中で生活するのが物理的にも精神的にも大変です。
しかし現代は、コンビニや外食が充実し、スマホでは情報も得られる、友達と話もできる、部屋から出なくても仕事もできる。そんな時代です。大家族を形成する意義は非常に薄れています。
だから、結婚しない人が増え、子どもを産まない(産みたくても産めない人もたくさんいますが)が急増し、今や日本で生まれる赤ちゃんの数は、ベビーブーム時代の1/3です。2019年は86万人にか生まれていません。
今回、コロナウィルスで大きく収入が減少した「世帯」に30万円が支給されるそうです。詳細はまだ決まっていませんが、今の報道から推測するに以下のようなことが起こります。
・非正規労働の方で、コロナウィルスの影響で雇い止めや契約満了になった独身の方は、一人世帯で30万円が支給される。例えば、こういう人が二人で同棲していても、それぞれ世帯は別なので、それぞれ30万円もらえる。(ふたりで合計60万円)
・非正規の夫婦で、お互い大幅に収入が減少した場合、二人で構成される「ひと世帯」なので、30万円が支給される。(ふたりで30万円。一人15万円)
・非正規の夫婦や自営業で、中学生と高校生のふたりの子どもを育てている大幅に収入が減少した世帯にも30万円が支給される。(ほぼ4人の大人がいる家庭で30万円、一人7.5万円) 子どもが増えれば増えるほど、または高齢者を抱えている家ほど、一人当たりの支給額が激減する。
こんな状況で、「結婚して子どもを産もう」という人がいるだろうか?いますぐ離婚をして、世帯を分けたほうが支給額が増えるのだ。多少減るのではなく、0円か30万円か? だ。
子育て家庭は、必ず扶養家族を抱えている。それは日本の未来を支える、大事な大事な子どもたちだ。まずは、子どもたちを救うべきだと私は思う。
子どもにご飯を食べさせられない、という悲鳴がたくさん上がっている。
次の児童手当は6月に支給される。子育て世帯を支えるために、6月でもいいから児童手当の積み増しで、子ども一人につき3万円や5万円、1〜2ヶ月はちゃんとご飯が食べられるだけの現金給付を、ぜひお願いしたい。
今、日本の出生数の減り方はものすごい勢いである。2019年は5%以上減った。コロナウィルスの影響で、2020年に生まれる子どもの数はもっと減るだろう。さらに今回の「世帯に支給」では、結婚したり、子どもを持つことのリスクが浮き彫りにされた。不安を抱える多くの若者は結婚することをリスクと捉えるだろう。この先、とんでもない勢いで少子化が進む可能性が高い。
一人当たり10万円から、なぜ「世帯」に支給になったのか、その方針転換の理由はわからない。今からでも遅くない。
困っている子育て家庭にぜひ、現金支給を!