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私的NY日報:フェス会場のセクハラ問題(2018&2019)

4月29日、フェスでのセクハラ問題について考えていた。そういえば去年もコーチェラのことをどこかに書いたなとMy Little New York Timesをさかのぼってみたら、ちらりと言及していた。並べて掲載する。

2019年4月29日

バージニア・ビーチで行われているファレル主催のフェス Something In The Water の最中に、群衆の端っこを歩いているときに、男がすれ違った女子の太ももを触るのを見た。もちろん触られた女子は「こら!」と声をあげ、男は驚くほどの逃げ足で雑踏に消えていった。これだけセクハラやら暴行が日々問題になり、女子たちが「招待なく触っていはいけない」とどれだけしつこく言っても、こういうことはいまだに世の中のいろんなところで当たり前のように起きている。そして、残念ながら、開放感と欲望と大量のアルコールがひとつの場所に凝縮されてしまうフェスという場所は、こういうことが起きやすい場所なのかもしれない。が、こういう行為は、フェスという文化の評判を傷つけ、きちんとマナーを守っている大多数の音楽ファンが楽しむ権利を奪うるリスクがあるので、本当にやめてほしい。

そういえば、去年、Teen Vogueで、コーチェラでセクハラに遭った被害者54人にインタビューするという記事をやっていた。セクハラというと、おじさんがやらしい言葉をかけるというような軽いタッチのやつを想像する人たちが多いようだが、読んでいて口があんぐりあくようなヒドいやつもいっぱいある。今年はどうだったのだと調べてみたら、ライブパフォーマンスの会場におけるセクハラにどう対処するかの啓蒙をする Calling All Crowsという非営利団体があった。そして#HereForMusic という素晴らしいハッシュタグを使ったキャンペーンをやっている。

フェスだけではない。ライブやクラブに出かけて、知らない人間に体を触られる経験が、私だって何度もある。きっとみんな経験していることだろう。これまで、ライブ会場は、これまでほとんど大したセクハラ対策をしてこなかった。今、音楽業界やライブ会場の世界で、パフォーマンスの現場での行動規範を啓蒙する必要性が叫ばれているという。

備忘録:コーチェラなどの音楽フェスにおけるセクハラ文化に変化の兆し(TeenVogue)

2018年4月19日

#metoo のコールアウト運動引き続き

日本でもセクハラ問題が大変なことになっていますね。この問題をソーシャルで追っていると、酒の席にのこのこ出かけるのがいけないのだとか、オフレコを録音するのはどうかとか、まったくこの問題の本質を読み違えている意見を目にしてげんなりしつつも、こういう議論が活発になることは進歩だ、と前向きにとらえようと思う。先日、いつも前向きな女友達が「でもこうやって男性たちもわかってくれてきた感じがする」とポジティブなことを言っていた。そもそも、 男性たちがみんな悪いわけではまったくなくて、8割くらいの人たち(完全に肌感覚)は、女性にしていいこと、してはいけないことをわかっている。そして一部のアホタレたちを駆逐する作業に一緒に参加してくれているのだ、という感じに理解していた。が、衝撃の調査結果を見た。6,251人を対象にしたピュー・リサーチの世論調査、10人に6人の女性が職場でセクハラを体験したことがある、男性の55%が#metooによって男性にとって働くことが難しくなったと感じている、などなどいろいろ衝撃的である。そして一番衝撃的だったのは、回答者の31%が「女性が嘘の申し立てをすること」が「大問題(メジャー・プロブレム)」だと感じており、45%が「マイナー・プロブレム」だと感じている。こういうセンシティブな題材で、問題が「メジャー」か「マイナー」か「無問題か」の3選択肢から選ばせるのってのはどうなんだろうか。小さい問題だからどうでもいいのか、小さいけれど問題なのか、そのへんのニュアンスが失われる。ちなみに支持政党を見ると、共和党支持者のほうが、女性の嘘の申し立てを問題視しているらしい。セクハラされてないのに「セクハラされました」と申し立てることで何かいいことがあると思う人がいたら全力で説得を試みたい。というわけで、わかってもらっていると甘えてはいけないのだと改めて認識。夜、寝る前にTwitterのフィードをたどると今日も元気に女性たちがcall out運動を続けていたよ。女優のローラ・カークが、衣装や髪型をけなしたニューヨーク誌の映画評論家アントニー・レーン(セクシストとの呼び声高い)による「ジェミナイ」のレビューに対して、「ニューヨーカーのような雑誌が女性の容姿についての軽薄な論評の出版を許したことに失望する。女性の肉体について活発な議論が行われるこの熱い瞬間に、リベラル・ジャーナリズムはこれまでとまったく違う声を加えなければならない」とかっこよく反論していたり、Teen Vogueがコーチェラにおける性的嫌がらせをレポートしていたり、#metooを批判した有名人が謝罪に追い込まれたり。地道な戦いであるね、これは。

備忘録:どれだけのアメリカ人が#metooのクレームを虚偽だと感じているか。調査による悲惨な数字

*去年の日記は、My Little New York Times というタイトルの本にまとめています。


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