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春の妖精、育てやすい原種シクラメン


原種シクラメンとは

シクラメンといえば、冬に出回る鉢植えの花として園芸種の大きな華やかなものが目に浮かぶかと思います。花の少ない時期に温室で開花させたものが色とりどり、近年いろんな花形や葉模様の新しい品種が並びますよね。もちろんそれらも美しいのですが、私が特に好きなのはこの原種タイプのシクラメンです。
花は指の先ほど小さく、種類によって花蕾が先に伸びてきて、後から葉っぱが出てくるものもあり、園芸種に比べると楚々とした印象です。今回ご紹介するのは「シクラメン・コウム」といって、ヨーロッパの南部や小アジア原産、早春に咲く品種です。
シクラメンとは、ラテン語で「らせん」、花後のクルクルと渦巻く花径の姿に由来しているそうです。変化していく花径、丸くて美しい葉っぱ、シクラメンは独特の個性を持った魅力的な植物なのです。

小指の先ほどの小さな花が愛らしい

寒さに強く、高温が苦手

冬に売られ室内に置いている光景があるせいか、シクラメンは寒さに弱いイメージがあるかもしれませんが、本来、冬の暖房のきいた暖かい部屋の中は苦手で寒さに強い(寒さが好き)植物です。とくに、冬から春先に売られている園芸種の黒いポットに入った小さなガーデンシクラメンや今回のような原種シクラメンは庭植えでも育ちます。

明るい日陰で管理する

直射日光が苦手で、庭であれば大きな樹木の下など、明るい日陰を好みます。今回の鉢植えの場合は、軒下(開花中なので花びらが雨で傷まないように)の明るい日陰か、室内では観葉植物のように明るい窓辺がいいですね。花を観賞する間だけという限定期間であれば室内のどこにおいてもいいですが、花後からの長期間であれば暖かすぎない明るい日陰で管理しましょう。庭に植え替える場合は、水はけのよい半日陰を選びます。落葉樹の下がおすすめです。

ピンクタイプもあります

多湿が苦手

夏の高温多湿が苦手なので、水やりに注意が必要ですが、今回は浅鉢に水はけ良い土で植えこんでいますので、毎日あげても水のやりすぎになることは無いでしょう。下から水が流れるほど一回の水やりではたっぷりあげてください。(受け皿に水はためない)
今回植えこんだ苔のハイゴケは見た目や土こぼれを防ぐ目的でマルチング材として付けています。ハイゴケは水と明るい日陰を好むので、置き場所によっては上手く育たないこともあるかと思いますが、なるべくシクラメン主体で育ててあげてください。そのまま外で育てていればその鉢に合った苔が生えてくるでしょう。
根元をよく見てみるとシクラメンの球根が上に飛び出しているのが分かります。そう、シクラメンは球根植物なのです。シクラメンはどの鉢植えでも土の上に頭が出るように植えられています。多湿が苦手でこの球根に直接水をかけて病気にならないようにと、園芸種の鉢植えでは「底面給水」タイプで売られていることがありますよね。今回の原種シクラメンは強いので、上からお水をかけても大丈夫ですが、自分で植えかえする場合は、こうやって必ず頭が出るようにして植えることが大切です。

庭のように寄せ植えにするのもおすすめ

一年中楽しむ

夏は落葉したり葉っぱだけになったりしますが、涼しい明るい日陰で水やりしながら管理すれば、次の春また花芽を出してくれるでしょう。花後に軽く肥料をあげます。植え替えをしたい場合は秋に行いましょう。葉っぱだけでもなんだか美しいのがシクラメンの魅力の一つです。
らせん状に渦巻いた後に実が熟すと黒い種が出てきます。早春にまくと、小さな芽が出てきて3年ほどで花が咲く球根に生長します。赤ちゃんの葉がすでにあのシクラメン独自の丸い葉と丸い球根!とってもかわいいんですよ。独自の不思議な形も観察してみてくださいね。

こぼれ種で発芽した芽。直径5mmほどでかわいい。。。


こちらは原種シクラメンでなく、別の大きなシクラメンから
のこぼれ種。芽の下に小さな球根がすでに付いています。


上から見るとプロペラのような形の花弁


和名は「カガリビバナ」「ブタノマンジュウ」
茎が曲がって下向きに咲く姿は名前と共に個性的。
「つぼみは下向きなのに、開き始める花弁は一枚ずつ上にめくれ上がるのが面白い」
と生徒さんが教えてくれました。

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