【インタビューのやり方】インタビューを「正しく」行うには 第10期京都ライター塾(動画視聴コース)Vol.4レポート
「インタビューは楽しいです」と語るのはライターの江角悠子さん。
読者に情報を正しく伝える役割をするライターにとって
人に会ったり、お店などに足を運んで
話を聞いてくるインタビューは
良い記事を書くために欠かせない作業だろう。
しかし、いったいどのくらいの人が
インタビューの「正しい」やり方を知っているだろうか。
ただ楽しく会話をしてくるだけではない。
用意してきた質問を消化すれば良いわけではない。
取材する者として正しくインタビューをするには
想像以上に周到な準備や、相手への気遣いが必要なことが分かった。
的確なインタビューを行うための準備、
相手に気持ちよく話してもらうための気遣い、
そのほか、困ったときの対象法まで
ライター歴18年の江角さんが自身の経験談とともに
惜しみなく教えてくださった。
この記事は「書いて幸せになる」京都ライター塾
第4回目
「インタビューのやり方」の受講レポートです。
目次
インタビューとは
ライターにとってのインタビューとは
「新聞、雑誌、放送業界の記者などが
取材のために人に会って話を聞くこと」
そしてこの取材とは
「材」を「取」りに行く、
すなわち、記事を作成するための素材を取りに行くこと。
良い素材があれば、よい記事が書ける。
したがってインタビューを成功させれば
良い原稿につながる、というわけだ。
では、このようなインタビューは
どのような流れで行われるのだろうか。
インタビューの手順
インタビューはおおむね次のように行う。
・準備
・先方への取材依頼
・質問リストの作成
・インタビューの実施
・記事チェック日の約束の取り付け
準備
まずは書きたい記事のテーマに沿った対象者やお店、場所などを決める。
先方の意向や都合、その他の諸事情により
取材ができないこともあり、選定に時間がかかるケースもある。
取材先の候補が決まったら、
ライターの自己紹介やインタビューの目的などを書いた
企画書(取材依頼書)を作成する。
企画書には
・ライターの自己紹介
・記事が掲載される媒体の紹介
(コンセプト、読者層、発行部数など)
・取材をする目的
・取材候補日
・写真撮影許諾のお願い
などを記載する。
取材候補日は定休日や忙しい時間帯を避けて提案する。
お店や観光地の場合、Google検索をすると
「訪問数の多い時間帯」として
曜日別の混雑状況を知ることができるので
こちらを活用すると良い。
写真に関しては
シェフの顔写真が撮りたい、
記事が掲載される頃に出される新メニューの写真が撮りたい、などの
希望があれば、あらかじめ記載しておくと伝えておくと
先方の心の準備や、お店側に配慮していただく時間が取れるので親切。
先方への取材依頼
企画書ができたら、問い合わせフォームやメールアドレスに添付して
相手に打診する。
まずはメールなどの手段を使い、返事がなければ電話で確認する。
質問リストの作成
インタビューが決まったら、質問リストを作成する。
検索したら分かるような、
既存の情報はあらかじめ把握しておく。
せっかく直接話を聞けるのだから
インタビューだからこそ聞ける、
新しい情報を引き出せるような質問を考える。
原稿の文字数とのバランスを考慮しつつ、
質問の数は多めに用意しておく。
質問はリストにして、あらかじめ送付しておくと
先方が質問の答えを考えたり、
資料を準備したりしていただける可能性がある。
インタビューの実施
インタビューをするライターは
その記事が掲載される媒体の看板を背負っている。
媒体のイメージを損ねないように、
身だしなみを整え、言葉遣いに注意する。
【持ち物】
・音声レコーダー
(許可を得た上で会話を録音することで
ライターはメモを取ることに気を取られず、会話に集中できる。
また、取材相手にも良い緊張感を与えることができ、
インタビューをスムーズに進める働きもする)
・メモ用のペン、ノート
(大切な部分は色を変えて目立たせることができるので、
3色ペンなどがおすすめ。
また、立ったままメモが取れるので
硬いカバーがついたノートが便利)
・カメラ
・名刺
・自分の営業ツール (例えばフリーペーパーなどがあれば)
「うちのお店も同じものを作りたい!」などと依頼される可能性がある。
【インタビュー中の注意】
まずはインタビューの目的と、
その日に確保していただいた時間を双方で確認しておく。
こうすることで、限られた時間内で
効率よくインタビューが進められる。
また、写真撮影が先か、話を聞くのが先か、などの
全体の段取りも相談する。
ちなみに江角さんからは
先に話を聞いてから写真撮影、という流れにすると
記事の構想を踏まえた上で、必要な写真が撮れるので
良いのではないか、とのお話があった。
インタビュー中は、相手との会話を十分に楽しむ。
用意した質問リストは念頭に置きつつも、
自然な会話から話を深く引き出せることが多いので
しっかりと受け答えを繰り返すのがポイントのようだ。
記事チェック日の約束の取り付け
ライターが記事を作成したら、
必ず相手に内容を確認していただく必要がある。
そのため、インタビューがすんだら
先方に原稿を読んでチェックしてもらう約束を取り付ける。
紙媒体であれば印刷、web媒体であれば公開される日が決まっているので
その日に間に合うようにスケジュールをしっかり立てる。
話をうまく聞き出す10のコツ
「ライターを18年やっていても、やっぱり緊張する」と江角さん。
ましてや、始めたばかりのライターが
最初からリラックスしてインタビューに臨むのはかなり難しいだろう。
しかし、以下の
「話をうまく聞きだす10のコツ」があれば
少しは自然体で会話ができるのではないだろうか。
【話を聞きだす10のコツ】
1、笑顔でいる
2、相手の名前を(時には下の名前で)呼ぶ
3、相手の話を遮らない
4、早口にならない
5、相槌をしっかりうつ
6、具体的な質問をする
7、話の流れを大切にし、相手の発言に応じて次の質問をする
8、分かったふりをせず、その場で聞く
9、ライター自身の感想を伝える
10、相手のファンになる
どれも会話をする上で基本的なことだが、
ついついおろそかにしてしまうことばかりだ。
特に
9、ライター自身の感想を伝える は
自分が接客の仕事をしている時に心掛けていたことだったので
やはりそうなのか、と腑に落ちた。
初対面の相手に心を開いてもらいたい時、
緊張感をほぐしたい時には
自分からオープンに接するとうまくいくことが多かったので
インタビューの場でも、素直に、自然体で
相手との時間を大切に扱う心がけが大切だと思った。
こんな時はどうする?!
「相手が話をしてくれない!」
→気にせず質問する。
双方が了承したうえでインタビューを行っているのだから、
臆せずに接する。
ただ、答えにくい質問の可能性もあるため
5W1Hを中心に、質問の内容を具体的にしたり、
質問の切り口を変えて再度聞き直すのも手。
「次の質問が出てこない!」
→沈黙することに焦らず、ノートを見返すなどをする。
相手が話し出してくれることもあるので、間を埋めようとしなくてOK。
「相手が大物で緊張する!」
→多くの人の上に立つ人ほど、腰が低く、
こちらに合わせて対応する懐の深さがある。
自分を大きく見せようとせず、ありのままで臨むと良い。
「相手の機嫌が悪い!」
→気にせず、自分のすべきことをする。
自分の機嫌で相手をコントロールできないとわかったら
態度を変えることもあるので、気後れしないで淡々と進める。
まとめと感想
インタビューを受ける側が、手間と時間をかけてでも
「ぜひ紹介してほしい」と思っていただけるような記事を書く。
そのためには、記事の企画の段階で
しっかりとコンセプトを構築し、
明確なゴールを見据えた上で、相手に打診する必要がある。
これまで、京都ライター塾の講座で
ライターの役割、文章講座、企画の立て方、と
書き手のイロハを学んできたが
これらの点が少しずつ、
自分の中で線につながってきたような感覚を覚えた。
しかし、要領は理解しても実践するのはまた別の話。
知らない人と話したり、初めてのところに行くのは大好きなので
インタビュー記事、やってみたいなぁと思った。
しかし、今の私には
どんな媒体があるのかという知識や、
その媒体を分析する力、企画を創造する視点が乏しいので
こうした部分はこれから伸ばしたい。
次回は文章講座。
書くことについて、次はどんな発見があるだろうかと
今から楽しみにしている。
前回までのレポート記事はこちら
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