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プロフィール写真撮影の朝


いつもの街が、違って見える。

駅のホーム、電車の中。
目に映るもの、聞こえるもの。
すべてが新鮮に感じる。

子どもの支度や食器洗いを終わらせて、
出発直前に塗ったネイルは
やはりよれてしまった。


ギリギリまで、より良くしたいとあがく自分は嫌いじゃない。

いつもは自宅の半径5km圏内を自転車で駆け回る普通の母。


そんな私がスーツケースを転がしながら
まったく縁のないオフィス街に向かっていることに
不思議な感覚を覚える。

こんな日が来るとは。

プロフィール写真を撮ってもらうのは
画面越しに、人としてのあたたかみを伝えたいから。

それと同時に、

挑戦している自分、
まだ見ぬ未来に向かって一歩一歩すすんでいる
自分の足跡を残したいからかもしれない。

不安に心が震える時、
怖気付く瞬間に

誰よりも自分を応援する存在を
目に見える形で、そばに置いておきたいから。


薄手のジャケットでも寒さを感じないのは
非日常の興奮を味わっているせいだろう。


高層ビル群が見えてきた。
高まる期待に胸が膨らむ。

明け方は雲が多めだった空に
日差しが増えてきた。

このまま、あたたかく、明るく。
輝く日になってほしい。

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