監査は何のため?
先日ある会社(以下、A社とする)に現状調査に行きました。(調査内容は食品を輸出するにあたっての現状調査)
このA社は以前から、得意先からのサプライヤー監査をうけていたため、基礎的な食品安全の仕組みはあると思っていました。
ところが、現状調査をすると、
全くもって、「安全でない」事象が、それも基本的な部分での安全でない事象があちこち散見されました。
さて、問題はここからです。
このA社にとっては、得意先の監査の時に、食品安全に関する仕組みを指摘されていなかったので、自分たちの仕組みは問題ないと思っていたようでした。
得意先は何のためにサプライヤー監査をするのか。おそらくどの組織でも、自社のサプライヤーの食品安全の仕組みに脆弱なところがないか、大きなリスクが潜んでいないかを確認し、脆弱なところや大きなリスクが潜んでいた場合、それを指摘し、サプライヤー側の仕組みの見直しを促し、改善していくという行動をとるためです。
しかしながら、このA社においては、上記の行動が全くされておらず、”サプライヤー監査を行った”という事実だけが残された状態でした。
そこで、タイトルの「監査は何のため?」です。
色々な組織にお伺いして、得意先からのサプライヤー監査があった話や組織がサプライヤー監査を実施した話を聞きますが、「何のためにやっているか?」の視点が抜け落ちている事例の多いこと・・・。
会社の規定でやらないといけないことになってるから・・・と監査した”既成事実”だけが存在し、実りのない監査になっている。
また被監査側も、監査で指摘などなかったので、自社の仕組みには何ら問題ないと解釈する・・。
監査する方は今一度、今の監査のやり方でサプライヤーの脆弱なところがわかる方法になっているのかを確認し、
被監査側は、監査はあくまでもサンプリングだから、サプライヤー監査で問題なかったからといって自分たちの仕組みが100点満点ではないということを肝に銘じ、日々、リスクが潜むところはないかという視点で業務にあたる必要があります。これについては、また改めて。