イギリス人受験生が今年の大学入試に怒った!
イギリスの受験シーズンは5月から6月だ。大学進学を希望している高校生は「ALevel」と呼ばれる「全国共通試験」を受ける。
しかし、今年はコロナで全ての試験が中止となった!!
「じゃぁ、イギリス人高校生は今年は大学に進学できないの?」
「できます」
「試験を受けていないのにどうやって?」
「試験を受けないで点数を受け取った受験生たち、これは歴史上初」
それでイギリス政府がとった方法というのが、
ステップ1:教科担当の先生が過去に受けた模擬試験等を基に予想点数を出し、exam boardsに提出。
ステップ2:全国標準化するために、ある「"問題ありの"統計アルコリズム」を使い、予想点数を調整。
ここで、重大な問題となっているのが、ある「統計アルコリズム」。
この統計アルゴリズムは「それぞれの学校の過去の生徒の成績」が反映された。つまり、ある学校の過去の生徒の成績が全国的に悪い場合、(学校地域差で)先生の予想点が下げられたのだ。
今これが問題となり大学受験生が声を上げた!
イギリスの高校は日本のような偏差値でランキングされていない。所謂日本でいる高校選抜入試はなく、良い成績の生徒とそうではない生徒たちが混在している(所謂日本の公立中学状態)
1) 裕福な家庭(privileged family)は大金を払い「Public School(私立高校)」に行かせる。
2) 成績は良いがPublic Schoolに経済的に行かせられない家庭の生徒は、中学に上がる際、試験を受けてGrammar School(所謂公立中高一貫校や付属中学高校)行ける。
3)大半の生徒は、住所に応じてState comprehensive school(公立高校)に進む。
State comprehensive school(公立高校)は日本の高校のように偏差値で格差があるわけではないが、地域(郵便番号)で格差がある。
だから、この統計アルゴリズムは「地域差」=「生徒の成績差」の計算式を使って、先生が出した予想点数を上げ下げしたもんだから、受験生(特に、社会的にdisadvantaged pupils)が「不公平だ!」と声を上げた。
「とても日本では信じられない凄いことをやる国なんだろう!」と私は驚愕した。
イギリス中でこの声が巻き上がり、多くの生徒が「点数異議申し立て(Appeal)」を提出し、イギリス政府が方針を変えた(A-Level U-turn)
「アルゴリズムによって、教師からの予測点より低くなった最終点数は、もとの予測点に戻す」
アルゴリズムを使った点数で、各大学は受験生に「合否」をすでに連絡している。突然の政府の政策転換で、イギリスの大学はこの合否の変更処理等に今追われている。既に「定員」を達した大学は、たとえAppealで点数が予測点に戻っても、不合格から合格に変えることはできるのだろうか?
政府の朝令暮改の政策変更やありえない政策で、大学も受験生も先が見えない大混乱の中にいる。イギリスの大学の新学年は9月中旬から始まるのだが、一体どうなるのだろうか?授業開始直前まで学生数すら分からない…
来年の1月から2月の日本の大学入試はどうなるのだろうか。
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