コラムニストOwen Jones「イギリスの不平等社会に渇!」8月20日付ガーディアン紙の記事から
今日は、イギリスで大問題となってる「大学入試」から、ガーディアン紙などでコラムを執筆し、テレビやラジオでも活躍中の世界が注目する若き論客、Owen Jones(オーウェン ジョーンズ)のガーディアン紙から記事を一つ紹介したい。
ちなみに、Owen Jones(オーウェン ジョーンズ)は、ガーディアン紙などでコラムを執筆し、テレビやラジオでも活躍中の世界が注目する若き論客だ。
「生徒たちに人生におけるベストチャンスを与えるために、校門外の世界の不平等を見よ!」
●マスクをつけたAレベル学生たちが、教育省の外で「アルゴリズムの馬鹿やろう!」と繰り返し唱えている姿
●〔経済的・社会的に〕恵まれない生徒には不利な、私学で学べた生徒には有利な「統計モデル」
●〔経済的・社会的に〕恵まれた人たちに有利な「(偽りの、みせかけの)揺りかごから墓場まで社会」を反映
と、かなり強い論調だが、現保守党政府下で私もそうだと感じる。
~英語表現~
from cradle to grave:揺りかごから墓場まで(イギリスの社会福祉を形容する表現)
rig:〈…を〉不正手段で操る; 〈…で〉八百長をする.
disadvantaged students:(経済的・社会的に)恵まれない生徒
the privileged:(経済的・社会的に〕恵まれた人たち the 形容詞:形容詞+people
in favor of:の利益となるように、…に賛成して、に味方して
以前、たとえ能力があっても貧しい人々は「社会階層(労働者階級、中流階級、上流階級)」を移動できる「はしご」を奪われていた。しかし、「教育」が困難から脱出できる道(方法)であったが、今回のこの残酷なアルゴリズムがこの道を完全に閉ざしてしまった。
私の親友の姪っ子(Lizzy)さんは、まさにこのアルゴリズムで今苦しんでいる。Lizzyの母親は「教会の牧師」さんで、貧しい地域の教会に配属された。当然家族はその地域で生活し、Lizzyはその貧しい地域の高校で勉強していた。
Lizzyの先生はLizzyの「英文学」の成績を模擬試験で取った点数のA(最優秀)で提出したが、アルゴリズムでBに落とされた。そのせいで、「第一希望の大学」から「不合格」を貰い、今失意のどん底にいる。Appeal(異議申し立て」を出したそうだが、第一志望の大学から、「今年は合格の保証はない」と言われたそうだ。(すでに定員オーバー等だからだろうか)
2013年、ボリス ジョンソンがロンドン市長の頃宣言した内容、「ある程度の不平等は、羨望の精神や、隣人と張り合って、同じ物を買ったり、同じ事をやったりするのに不可欠だ。
なんと愚かな言葉なんだろうとあきれ果てる!
~英語表現~
keep up with the Joneses :ジョーンズ家と肩を並べる ジョーンズ家はよくある苗字なので、「隣人や友人と張り合う」と言った意味。
ケンブリッジ大学教育学部Diane Reay教授によれば、「学校の外で何が起っているかを考慮しないで、学校の中で起っている事に焦点を今でも当て続けている。しかし、学校の外で起っている事を認識するのが実はとても大切だ」Diane Reay教授自身、南ダービシャー(イギリス中央部に位置する)の炭鉱家族(労働者階級)の下8人兄弟の一番上の家庭環境。彼女は「もし学校を落第する子供たちを本当に理解したかったら、学校校門の外の世界を見なければいけない」と結んだ。
この教授はご自身が労働者階級出で兄弟が8人もいる大家族といった中で、ご自身の努力と「教育」や「チャンス」が「労働者階級の家」から「ケンブリッジ大学教授の職」の階層移動(middle-class, professional )を可能にしたのだろう、と思った。
医学、ジャーナリズム、法律、アカデミア(大学教員)の職は、裕福な両親の下で生まれた子供たちで独占されている。これは、彼らが頭脳明晰であるからではなく、これらの職業が必要としている「経験や教育」を得ることができる経済力が彼らの親にあるからだ。
決して裕福でなくても頭脳明晰で可能性を秘めた子供たちは、イギリスにも日本にも沢山いるだろう。運よく、先生や親や地域の人々が、子供のその素晴らしい能力や可能性に気が付いてあげて、「よりよい教育や経験の機会」を与えることができる社会は最高だと思う。
イギリスもそういう優しい社会であって欲しい、と今回のAレベル試験騒動のニュースを追って、心からそう思う。