見出し画像

この世は虚仮

先日のセッションでいろいろ気づいたことを、徒然に綴ってみます。
れっきとした前期高齢者のワタクシは、「昭和の子」で、手塚治虫さんのアニメや楳図かずおさんの漫画で育ち、少女フレンドやりぼんに一瞬移行したものの、どちらかというと少年漫画育ちであります。

昭和の時代は、敵は目の前の「憎いあんちくちょう」であり、叩きのめすものであり、そのために自分の身を削って、精神を鍛えて、泥臭く汗臭く試練を乗り越えて、命を燃やし尽くしたものでした。
とても物質的で、肉体的な世界だったと思います。

平成になり、物質的なもの、肉体的なものから精神的な世界に移行する兆しが見えてきたように思います。
エヴァンゲリオンは、まだ時代が追いついていかなくて、モヤモヤとした出し切っていない歯切れの悪さのようなものを(歯切れが悪いので残尿感とはっきり書いてしまおうか)感じたりしていて、でもその頃の私はRPGとその後は教育虐待(!)に注力していたので、漫画やアニメからは遠ざかっていました。

会社を辞め、子育ても終わり、自由な時間を手に入れて、また二次元の世界に浸るようになりました。
25年かけてエヴァンゲリオンが大団円を迎えた時、シン・エヴァンゲリオンを7回観たのですけれど、全部のエピソードを回収できたわけではなくて、振り返りつつ、なるほど、なるほどとそれぞれのシーンの意味を腑に落としています。

シンジくんが拗らせ続けた25年間、ゲンドウはさらにその前から拗らせていて、それをずーっと見ていた冬月とマリ。特にマリは、時空を超えた存在として登場しています。エヴァに乗ると決めた時点で、時間が止まる設定のようですが、エヴァのいない世界を生きると決めたシンジくんを迎えに行ったマリは、エヴァンゲリオンの重要なシーンで必ず登場する、神の視点を持った存在のように思えました。きちんと始末をつけて回ったのも、マリでした。
この世界での創造主の視点だと、ある方と意見が一致しました。

パリの街を回復したのも、全てのエヴァンゲリオンを統合したのも、冬月博士から最後の言葉を聞いたのも、シンジくんのDSSチョーカーを外したのも、マリであるということは、マリが救世主であり、エヴァンゲリオン(福音)を伝えるための源なのだと、ふと思ったわけです。
壮大すぎて、シーンひとつひとつの意味を解釈することは、私には無理なのだけれど、このアニメが25年かけて伝えたかったのは、自分の世界は全部自分の妄想でできているということの、一言に尽きるのではないかと思ったわけです。
愛が拗れると憎しみに変わることや、変化を恐れることが人々の恐怖を招くことや、この世ではわざわざ分離されているのに、あの世のように誰も彼もが一緒くたにする必要もないだろうということなど、その後のお勉強によって、後から理解できたこともたくさんあります。

13という数字も象徴的に出てきます。
循環を抜けて、新しい世界(新世紀)が誕生するという意味なのだと思います。「君たちはどう生きるか」でも13個の石を崩さないようにケアしているおじさんがいました。
12の次はまた1から始まる、この世界の法則を突き抜けて、新しい時代を生きるというメッセージが込められているのだと思います。

自分の世界の創造主は自分であること。
途方もないことのように感じるでしょうが、仏教もずっと昔から、そのように説いています。エヴァンゲリオンはキリスト教の世界観ですが、そこに東洋的な哲学を注入して、循環を抜けて自分の宇宙を創造するのは自分なのだと、25年も前から訴えていたことを、えらいこっちゃと思います。

そして令和の今ですけれど、鬼とか呪いとか葬送とか、不穏なタイトルのアニメに心を鷲掴みにされています。
昭和の時代、敵は自分の外にいると思っていました。
エヴァンゲリオンで、自分の世界は自分で創造していることを知りました。
そして令和の今、自分の心の中の負の感情が、他の人たちの負の感情と結託して、この世界を争いに巻き込んでいるという構図が明らかになってきました。
ウクライナとロシアの戦争だって、遠い世界で起きているようでいて、自分の心の中の負の感情が、世界中の人たちの負の感情に合流して、悲惨なことを起こしているということです。

ひとつひとつ呪いを解いて、自分の中から解放していくことが、最終的にこの世界を平和に向かわせる近道なのだと思います。
家庭の中が不穏なのに、世界が平和になるはずもなく、誰の心の中にもある負の感情は、小さいうちにちちんぷいぷいしないと、とんでもなく大きなモンスターに育ってしまうことになります。

高校生の頃、源氏物語の漫画を読んで(漫画なのかい!)生き霊で人を殺すってありえないとか思ってましたけど、いえいえ、全然アリです。それくらい、人の負の感情のエネルギーはヤバいです。

その感情が、自分の世界を作っているわけで、そのような世界で生きているのは、とてもしんどいだろうと思うのです。
どうせこの世は虚仮だとしたら、楽しむ方が吉ではないでしょうか。
戦うのは、漫画の世界に任せておけば楽しいと思うのです。

いいなと思ったら応援しよう!