アンドレア・ピルロ2世はいらない

私はアンドレア・ピルロを愛している。



セリエAのACミランやユベントス、イタリア代表で活躍した選手だ。



CLやWcup優勝などタイトルは書ききれない。



中盤の守備的な位置から左右どちらの足でもピンポイントに長短のパスを出せる。



運動量やアスリート力が必須項目のような現代サッカーへの移行期に活躍した、



パスと攻撃に特化した生粋のファンタジスタだ。



活躍した背景にはイタリアサッカーのアイデンティティが味方した。



「Catenacio」と呼ばれる守備的な戦術が20世紀中盤に流行して以降、守備に長けた選手がたくさんいた。



後ろにはファビオ・カンナバーロやパオロ・マルディーニ、頭突き事件で有名になったマルコ・マテラッツィ(ネタじゃなくめっちゃいい選手だった)をはじめとした守備陣、



中盤の相棒にはもう止めてあげたいくらい走りまくる
ジェンナーロ・ガットゥーゾ、マッシモ・アンブロジーニ、クラレンス・セードルフなどがいた。



こんな豪華な面々がいたんだから、守備なんてしなくてもいいレベルだった。



ピルロは私が初めて個人のファンになった選手である。



サッカーの花形はやっぱりゴールだと思う、だってゴールが全てやし。



でもなぜかその前のパスを供給し続けるピルロに惚れた。



フリーキック上手すぎたし、ゆっくりドリブルしながら不意を突いて打つミドルシュートとかで割と点獲ってたけど。



特に2000年代のACミランではカルロ・アンチェロッティ監督がピルロを完全に中心にしてた、ピッチ上の指揮官なんてそりゃあかっこいいでしょ。



ゴール獲ること以外でもこんな目立てるんか!



とめっちゃ体が小さくてピルロと同じレジスタ(ボランチとほぼ同位置)をやらされていた私はパスに目覚めた。



パスの名手を上げていけばキリがない。



バルセロナで活躍したシャビ・エルナンデスやセスク・ファブレガス、日本戦で無回転ぶち込んだジュニーニョ・ペルナンブカーノ、メスト・エジル、ルカ・モドリッチ、ポール・スコールズ、ジネディーヌ・ジダン。



どの選手も個性の塊だ、そしてどの選手も国民性が出てる気がする。



やっぱりピルロが一番好きだ、



ゆったりしたフォームから足元にスッと収まるパス、
蝶のように舞うという形容もイイ、
彼が蹴るボールを見るとなぜか気持ち良くなってくるのだ。



文化は進化して過去のものになっても、未来において想起されることがある。



しかし文化を支える技術は応用されるのみで、未来で称賛されることは少ない、所謂上書き保存てやつだ。



ピルロのスタイルはしばらく受け継がれないだろうが、構わない。



その分だけ、彼が体現した文化の価値は高まっていくのだから。



自室の壁に飾ってある赤と黒の21番のユニフォームは、



当分このままにしておこうと思う。

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