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杉並動物園へようこそ2

皆様、こんにちは。
杉並区議会議員の小林ゆみです。
少しずつ夏の気配が感じられるようになってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

諸事情でnoteやSNSを以前に比べて頻繁に更新できておらず、申し訳ございませんでした。
「諸事情」については数ヶ月後に解決しそうなので、その際に皆様に共有したいと思います。

さて、昨日6月21日は、令和6年 杉並区議会 第2回定例会(令和6年になってから2回目の大きな議会)の最終日でした。
定例会は数週間続き、最終日には
・議決(杉並区長が議会に提出した議案に対し、議員たちが賛成/反対を示す)

・陳情の審査(杉並区内外の住民が出す意見・要望について、議員たちが採択/不採択を示す)
等があります。

今回、区から杉並区議会に出された議案は、どれも国の法改正に則った条例改正など区民生活に必要なものが多く、小林ゆみは議案には全て賛成しました。

続いて区民からの陳情を審査するなかで、杉並区議会の都市環境委員会に付託された、

【6陳情第14号
杉並区での公有地でのAV撮影の禁止を求める陳情】

が取り上げられました。
小学校と直結している杉並区立公園において、所謂ロリコン近親相姦もののアダルトビデオの撮影がSODによって区に無許可で行われたことについて、主に小学校の保護者から不安と怒りの声が噴出しているため、今後は杉並区の公用地ではAV撮影を控えてほしい、という内容のものです。

【週間女性PRIME 東京・小学校の校庭と一体となった杉並区立公園でセクシービデオ撮影が物議「実におぞましい」公園管理スタッフは直撃に「申請の記憶ない」】より。

本日の区議会本会議に先立ち、都市環境委員会では多数決により不採択となっていましたが、本日の本会議での〈採択 or 不採択〉の討論では、8名もの議員が登壇して、自身が所属する会派の意見を述べました。

そもそも区立公園の占有は、杉並区立公園条例第11条により、撮影許可などの申請をしたうえで杉並区長の許可を受ける必要があります。
そのため、映像作品の内容に関わらず、区への申請無しの撮影は条例違反となります。
今回の場合はそれだけではなく、映像作品の内容が児童虐待的な要素を含むものであり、それが小学校横の区立公園で撮影されたということなので、私個人の意見としては、二重の意味でアウトです。

本日、この陳情に対しての討論が行われたので、各議員の主張を以下に短く纏めてみます。
(※討論を聞きながら私が纏めたものであり、議員の発言そのものではないので、その点をご了承くださいませ。
※お名前の横のカッコ書きは所属する会派名です。)

【井口えみ議員(無所属・都民ファーストの会)
…都市環境委員会で本陳情が不採択となったが、それに反対。⇨陳情を採択すべきと思っている】
子を持つ親として、保護者の心配の声について理解する。
今回、当該アダルトビデオ会社は杉並区に無断で、近親相姦ものの作品を撮影した。
小学校の横で作品が撮影されたことで、作品の内容が現実味を帯びて子供達に精神的な悪影響をもたらしかねない。
今回の作品の内容は、犯罪行為を助長するものではないか。
本来、私たち大人は子供たちをいかに守るかを考えるべき。
表現の自由は大切だが、東京都のように公園など公共スペース占有の場合には一定のルールを設けるべきだ。

【山本ひろ子議員(杉並区議会公明党)…陳情不採択】
アダルトビデオ撮影者が、占用許可申請が通らないと知りながら無許可で撮影を行ったのであれば、決して許されるものではない。
区や不採択を主張した議員への誹謗中傷などが収まらない状態であれば、混乱を招いていることに対して、事業者から区民、区議会議員、区へ改めて謝罪があっても良いのではないかと思う。
この陳情を不採択にしたからといって、AV撮影を許した訳ではない。
公明党は子供の権利を守るためにこれまでも努力してきたし、これからも努力する。

【田中ゆうたろう議員(杉並をセンタク致し候)…陳情の不採択に反対。⇨陳情を採択すべきと思っている】
杉並区は、「公園での撮影の規制は表現の自由に抵触する」と主張するが、この作品は近親相姦ものであり公序良俗に反している。
杉並区長は区長として抗議文を出す訳でもなく、本事案をマスコミなどに公表する訳でもなく平然としている点がおかしいし、無責任である。
更に、公園で撮影をする際の規定の占有料をたとえ事後であっても徴収すべきであるのに、それをしないということは「杉並区が占有料を徴収すると、杉並区がAV撮影を許可したことになる」とわかっているからしないのではないか。
杉並区は、まずいことをしたという自覚があるはずだ。
杉並区長はアダルトビデオ監督であるペヤンヌマキ氏に自身の宣伝映画を撮ってもらったことからも、アダルトビデオ業界に忖度していると見做されてもおかしくない。

【奥田雅子議員(区議会生活者ネットワーク
)…陳情不採択】
杉並区に事前に撮影の申請をせず、撮影時に通行人が映り込むなどのトラブルがあったが、杉並区の指摘に対してアダルトビデオ制作会社であるSODは謝罪し、当該動画の配信をストップした。
今後、杉並区で不適切な撮影が為されることが無いよう要望する。
都市環境委員会の決定には賛成する。

【ブランシャー明日香議員(緑の党グリーンズジャパン)…陳情不採択】
杉並区は動画の制作者であるSODへの抗議をし、4月17日には当該動画は配信停止された。
区としては、正当な理由なくアダルトコンテンツの規制をできないうえに、表現の自由をおかすことはできない。
一部の業種のみ規制を設けることは、職業差別に当たるのではないか。

【へんみ純一議員(杉並区議会自由民主党)…陳情不採択】
杉並区は、「今回はアダルト動画全体のうち、杉並区立公園内では性行為がないドラマパートの撮影であったため、問題がない」という認識をお持ちのようだが、今後は、作品全体を見て公序良俗に反しないか否かをチェックする必要がある。
性的描写無しのドラマパートであれば、子供がアダルトビデオを視聴しても良いとでも言うのか?
また、都市環境委員会では、ある議員から一区民である陳情者に対する侮辱発言があり、問題視している。
都市環境委員会では陳情の主旨採択を主張したが、それが否決された場合は不採択にする以外の選択肢が無いため、不本意ながらも不採択とする。

【前山なおこ議員(立憲民主党杉並区議団)…陳情不採択】
杉並区は理由なくアダルトビデオ撮影を拒むことはできない。
今回の件で、犯罪行為は行われていない。
アダルトビデオだけ規制することは、職業差別である。
アダルトビデオには犯罪行為を含むものがあるが、それはあくまでフィクションである。
また、観ようと思って探さない限り、アダルトビデオの映像には辿り着けないはずので、子供たちの目に入るということもなく、今回のケースは問題ない。

【くすやま美紀議員(日本共産党杉並区議団)…陳情不採択】
杉並区はSODから謝罪を受けているうえに、公序良俗に反するものではない。

討論の纏めは、以上です。
各議員の発言の主旨を見て、皆様は如何お感じになりますか。
私個人としてはは、今回の井口えみ議員の意見に深く賛同します。
小林ゆみ(far right)は「都市環境委員会の決定通り、陳情を不採択とすること」に反対し、この陳情の採決で起立しませんでした。

私は子を持つ親として、仮に自分の子供たちが通う小学校の横で、ロリコンもの、近親相姦もののアダルトビデオが撮影され、パッケージに学校横の区立公園のシンボルである門が写っていたとしたら、背筋が凍ります。

世の子供の親たちは、ロリコンという性癖を持つ人を警戒しているはずです。
私個人、世の中に様々な性的指向・性的嗜好があることは勿論理解しますが、それが当人よりも弱い立場の子供や動物などに向けられて実行されることは、絶対にあってはならない虐待行為であると感じます。
恐らく、私だけではなく他の親御さんも同じ感覚をお持ちなのではないでしょうか。

国政では、立憲民主党や日本共産党の議員たちが、女性への性搾取であるということからアダルトビデオ女優の仕事そのものを否定して、フェミニズム的論調で女優さん達を非難している方が多いように思います。

しかし、ここ杉並区では立憲民主党や共産党が、
住民の不安と怒りが込められた今回の陳情を「不採択」とし、
「アダルト系だけ規制するのは職業差別だ」、
「AVにはよく犯罪行為が出てくるが、それはフィクションなのでOK!」
と言ってしまうのです。
「性の多様性条例」がある杉並区だけ、国と方針が違うのでしょうか…?
これでは、杉並区は独立区なの?と言われても仕方がありません。

そして、田中ゆうたろう議員が陳情の討論の際、
「杉並区は性の多様性条例ができてから、おかしくなってきているのではないか。
日本共産党杉並区議団所属の区議会議員が、都知事選の卑猥なポスターにSNS上で嫌悪感を示していたが、彼女は旧Twitterで自分の性器を息子に見せて性教育を行っていると発言したこともあり、どの口が言う?という話だ。」
という主旨の発言をした際、自身の性器を息子に見せて性教育をしていたと思しき議員と、彼女が所属する日本共産党杉並区議団の議員たちから嵐のような野次と罵声が、田中ゆうたろう議員めがけて飛びました。

「ご静粛に。」という副議長の声も虚しく、数分間にわたってギャアギャアと「性器見せ」「誹謗中傷だ」「卑猥だ」「議長、黙らせて!」などと罵り合う議員たち。

素晴らしい。
これこそが、杉並動物園です。

懐古厨と言われてしまうかもしれませんが、私が議員になったばかりの頃は、当然ながら議会はもっと「きちんと」していました。
議会は立法の役割を持った厳かで神聖な場所であり、皆スーツや着物を着て議会に挑みます。
議場に一歩足を踏み入れると、自然と背筋が伸びました。
子供・障害者・高齢者の福祉、教育、防災、まちづくり、財政、ふるさと納税制度の活用などについて、自由闊達な議論が交わされていました。

それが今や、
ヨレヨレ・ダボダボの服装で議場入りする者、
Tシャツ姿で壇上に上がる者、
金髪・赤髪・ピンク髪…。

「包括的性教育を進めよ」という主張の中で、性器、精子、卵子などのワードを必要以上に連呼する男性議員、
「月経カップ」など生理用品の具体名を挙げて質問し、大勢の中で男性の防災課長に詰め寄って辱める女性議員、
「性の多様性条例」に「変態」や「複数性愛」を含める!と高らかに宣言する杉並区、
アダルトビデオ監督に撮ってもらった自身の宣伝映画を全国で上映してもらう、岸本聡子杉並区長…。

そこにきて、今回のアダルトビデオ論争です。
最近、議会ではこんな話ばかりです。
もっと高尚な話がしたい。
私は何をやっているんだろう?と、虚しくなる時が最近は多々あります。
杉並区の魅力発信や、補助金の活用、福祉、教育、まちづくり、防災の話をもっとしたい。
東京外国語大学を出て、銀行と予備校で働いて、やっと議員になって今議論しているのが、アダルトビデオの話。
もう…勘弁してほしいです。

私は、コンドリーザ・ライス元米国務長官に憧れて政治家になったという経緯があります。
10代の頃から、私のロールモデルはライスさんです。(そのため、私の大学生時代からのあだ名は、畏れ多くもライスです。)

私のバイブルです。
『プライドと情熱: ライス国務長官物語』
(アントニア・フェリックス著、渡邊玲子訳)の表紙。

ライスさんは、故郷のバーミンガムで「黒人」&「女性」という二重の差別を受けていました。
しかしめげずに、「じゃあ、白人男性より勉強も何もかも頑張っちゃおう!」と決意し、勉強でもバレエでもピアノでも一番を取り、15歳で大学に入学し、外国語も堪能で、黒人女性初の国務長官となった方です。

ライスさんは、「私は女性で…」「黒人で差別されて…」等と悲観的に主張することは無く、その悔しい思いを全て勉強とピアノ・バレエに捧げた方です。
そしてどの分野でも成果を上げ、結果的に国際社会に無くてはならない存在となり、米国のプレゼンスを高めました。
貧乏・地頭悪し・色々な意味で冴えない私は、そんな彼女の生き方に心酔し、「私も努力を重ねて世の中の役に立ちたい」と思って、政治の世界に飛び込みました。

しかし、今の杉並区政は…。
「女性だから優遇せよ。」
「性的少数者は差別されている!優遇せよ。」
「性の多様性が尊重される社会を目指すべき。複数性愛や変態も、尊重されるべき。」
そんな議論ばかりです。

仮にも、区民に選ばれた議員が48人も集まっているのだから、もっと他に話すべきことがあるのではないか?
1人でも多くの区民の幸せに繋がるような議論が、他にあるのではないか?
杉並に今ある問題を解決し、なるべく区民税を使わずして幸福度を上げるために、党派関係なく頭を捻って議論する必要があるのではないか?

そんなことを考えながら、昨日も議席に座っておりました。
いつかこの「動物園」が、人間らしい、あるべき姿に戻る時があるのだろうか…。
私の任期中にその光景が見られるか不安ですが、とにかく建設的な議論を重ねて頑張っていくしかありません。

これからも、区議会議員としてやるべきことをしっかりやってまいります。
先日私が行った一般質問についても、後日noteに纏めますね。

今日は一段と暑いですね!
水分補給をこまめにしてお過ごしくださいませ。素敵な一日になりますように。

次男と。

令和6年6月22日
杉並区議会議員 小林ゆみ

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